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在宅勤務導入のやり方は?メリットと課題から制度整備のコツを解説

在宅勤務は社員・企業双方にとって魅力的な働き方ですが、導入効果を発揮するには適切な制度整備が求められます。在宅勤務の導入に当たって、制度整備のやり方が知りたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。

在宅勤務のメリットを享受するには課題があることと、課題解決のためにはルール設定が必要であることを知ることで、在宅勤務のスムーズな導入が可能です。そこでこの記事では、社員・企業双方から見た在宅勤務のメリットと課題、そこから見える効果的な制度整備についてご紹介します。

【社員目線】在宅勤務のメリットと課題


ICT(情報通信技術)を活用して自宅で働く在宅勤務は、女性が働きやすく、ワークライフバランスを向上させやすい働き方です。一方で、在宅勤務ならではの難しさもあることを事前に把握しておきましょう。ここでは社員目線で見た在宅勤務のメリットと課題を解説します。

女性が活躍しやすい

少子高齢化社会の日本では若手人材を確保するのは簡単ではありません。さまざまな業界で人材獲得競争は過熱しており、女性をはじめとした多様な人材の活躍が求められています。しかし、女性は結婚・出産といったライフイベントを機に退職するケースも珍しくありません。

そこで人材確保に効果的なのが在宅勤務という働き方です。在宅勤務者はコアオフィスに出社する必要がないので、職住一致を実現できます。女性にとって仕事と育児が両立できることは大きなメリットです。

ただし、企業が女性の働き方に理解を示さなければ効果は得にくいでしょう。単に「在宅勤務ができる」というだけでは環境整備として不十分です。女性が重要なライフイベントを迎えても継続して働きやすい環境を整備し、適切なルール設定をすることが求められます。

通勤時間がなくなる

在宅勤務者にとって通勤時間がなくなることは大きなメリットです。コアオフィスに出社するために往復1時間程度かかるケースは多く、片道1時間以上かかるケースもあるでしょう。在宅勤務では通勤時間がなくなる上、出社のためのコーディネートやメイクといった準備も必要ないので、浮いた時間をプライベートに充てられます。

一方で、運動不足になりやすいことは問題点です。通勤時は自然にウォーキングや階段の登り下りをしていますが、在宅勤務では体を動かす機会が激減します。運動不足によって体調不良になりやすくなったり、体型が崩れたりして、ストレスを抱える在宅勤務者も少なくはありません。

自由な働き方ができる

在宅勤務者は自宅の一角をワークスペースとするので、コアオフィスの環境に依存することなく仕事ができます。仕事中にお気に入りの音楽を流したり、スタンディングデスクを設置して立ち姿勢で仕事をしたりできる他、ベッドにPCを持ち込んで仕事をすることすら可能です。

同僚や上司に干渉されにくいので、仕事の時間配分も比較的自由に決められます。一方で、生活の場でもある自宅で働くことで、オンオフの切り替えが難しいのは問題点です。家族に話しかけられたり趣味のアイテムが気になったりして、仕事に集中しにくいケースもあるでしょう。

さらに、同僚や上司と対面する機会がないので、慢性的なコミュニケーション不足に陥りやすいのも問題点です。情報共有や意思疎通が図りにくく、仕事ぶりや成果が適正に評価されるかどうか分かりにくいケースもあります。

【企業目線】在宅勤務のメリットと課題

在宅勤務を導入すると多様な人材を確保しやすくなり、生産性向上やコスト削減も期待できます。企業側にとっても魅力的な働き方ですが、メリットを享受するには課題があることを事前に把握しておきましょう。ここからは、企業目線で見た在宅勤務のメリットと課題を解説します。

多様な人材が確保しやすい

在宅勤務は社員の所在地を問わないので、雇用形態の自由度が高く、多様な人材を確保しやすい働き方です。

確保しやすい人材は女性だけではなく、例えば都心の企業が地方在住の人材を、逆に地方の企業が都心在住の人材を在宅勤務者として抱えられます。自社以外の組織で活躍する人材を、勤務時間・日数の少ない複業人材として抱えることも可能です。

多様な人材が働きやすい環境を整備することで、対外的なイメージの向上や、離職率の低下にもつながるでしょう。ただし、人材が多様化するほど管理は難しくなります。人材によっては在宅勤務以外の選択肢が考えにくく、社員に占める在宅勤務者の比率が高くなり過ぎることもリスク要因です。

社員の生産性向上

在宅勤務の導入によって生産性が向上したと実感する社員・企業は珍しくありません。在宅勤務者は理想的なワークスペースをカスタマイズでき、比較的自由に仕事を進められるので、仕事に集中しやすい環境を構築できれば生産性を向上させられます。

ただし、社員によって在宅勤務に向き不向きがあるのは注意点です。全ての社員が在宅勤務で生産性を向上させられるわけではありません。

在宅勤務前からデスク環境が整っている社員はスムーズに在宅勤務に馴染めるとしても、ローテーブルしかなければ長時間のデスクワークは難しく、スペースがなければ十分なデスク環境を整備できません。

また、業務内容によっては、在宅勤務では仕事が進めにくいケースもあります。ICT環境を整備しても、情報リテラシーが不足する在宅勤務者はツールを使いこなせないケースも見受けられます。

コスト削減

在宅勤務者が増えるとコアオフィスの管理維持費用が削減できることもメリットです。コアオフィスを管理維持するには、賃料や通信費・光熱費の他にもさまざまな費用がかかります。

例えば、資料作成にかかるペーパーコストや通勤にかかる交通費です。会議のために支社から本社へ人員を集める場合には、月に1・2度程度でも多額の交通費・宿泊費がかかります。これらの費用は、在宅勤務を取り入れることでコストの大幅削減が可能です。

一方で、在宅勤務者にかかる費用は増大します。例えば、自宅の環境整備にかかる費用や、自宅の通信費・光熱費です。こういった仕事に必要な費用は経費の範疇ですが、自宅のデスク環境は必要・不必要の境界があいまいで、家事按分は容易ではありません。在宅勤務者の費用補助や、複雑化した費用の取り扱いについてのルール作りが必要です。

BCP(事業継続計画)に対応しやすい

新型コロナウイルス感染症の拡大により、働き方改革で推進されてきた在宅勤務は一気に拡大しました。各業界が在宅勤務の普及によって痛感した点に、コアオフィスに依存することのリスクや「BCP(事業継続計画)」の重要性が挙げられます。

BCPとは、企業がテロ・災害・パンデミック・システム障害といった危機的状態に置かれた場合でも、重要な事業を継続して生き延びられるための計画・計画書です。コロナ禍では在宅勤務がBCPにおいて大きな効果を発揮し、在宅勤務の魅力が見直されています。

在宅勤務を導入する企業は多い一方で、場当たり的な在宅勤務導入は社内に混乱をもたらすので、長期的な視点で計画的に進めることが大切です。

【企業目線】在宅勤務のやり方と効果的な制度整備

在宅勤務は社員・企業双方にとってさまざまなメリットがある働き方ですが、単に在宅勤務を導入しただけでは社内に混乱を生み、逆効果になるケースもあります。メリットを享受するには制度整備が必要です。以下では、在宅勤務導入に当たって整備したい効果的な制度やツールを解説します。

在宅勤務者や対象勤務の選定

在宅勤務がポジティブな効果を発揮するのは、在宅勤務向きの人材に限られます。自宅スペースの関係上デスク環境の整備が困難だったり、インターネット接続環境がなかったりするケースもあるでしょう。企業が在宅勤務への移行を求めても、コアオフィス勤務を希望する社員もいるはずです。まずは在宅勤務者の選定が必要です。

さらに、業務内容によって在宅勤務向き・コアオフィス勤務向きの違いがあります。例えば、ICT環境がベースの仕事は在宅勤務に向いていますが、ハードウェアの管理保守などの仕事は在宅勤務が困難です。社員の性質だけでなく業務内容も踏まえて、在宅勤務の可否を検討することが求められます。

就業規則の変更

在宅勤務者の働き方はコアオフィス勤務とは大きく異なるので、在宅勤務者向けの就業規則の設定が必要です。始業時刻・終業時刻や各種手当の他、在宅勤務ならではの時間の使い方に関する項目も盛り込みましょう。

例えば、子どもの送り迎えや介護などプライベートな時間が就業時間に含まれる場合、コミュニケーションツール上でどのように報告・相談するかを決めておきます。

また、自宅の光熱費や通信費を企業側がどれくらい、どのように負担するかを決めることも大切です。在宅勤務者はPC環境やオフィス家具といったワークスペースの整備に費用が発生するので、在宅勤務手当をいくら支給するか、手当の対象に光熱費・通信費を含めるかといったことも規定しましょう。

人事評価制度の見直し

在宅勤務では仕事にかけた労力は上司に伝わりにくいため、成果重視型の人事評価制度にシフトしやすいでしょう。年功序列からの脱却には好都合ですが、業務内容によって成果の見えやすさは異なるので、「努力しても評価されないのではないか」とネガティブに考えてしまう在宅勤務者も珍しくありません。

社員のパフォーマンス・生産性向上のためには、自社のビジネスや在宅勤務ルールに合わせて人事評価制度を見直し、評価基準を在宅勤務者に対して明示することが重要です。

在宅勤務向きの人事評価制度の例としては、ビジネスツールを利用した業務プロセスの可視化と定期面談による「プロセス重視型」の評価制度、上司だけでなく同僚や部下からの人事評価材料も集めて総合的に評価する「360度評価」が挙げられます。

在宅勤務者の健康管理

在宅勤務者は運動不足になりやすく、体調不良や体重増加に悩みを抱えるケースも多くあります。コアオフィスほど整備されていない自宅環境で長時間のデスクワークをすることで、腰痛や肩凝りが悪化し、仕事に支障をきたすこともあるでしょう。

また、コミュニケーション不足による孤独感や家族関係のプレッシャー、仕事のしにくさや評価に対する不安などで、企業側が考える以上にストレスが蓄積しやすい環境です。そこで、産業医によるストレスチェックや定期的な健康診断、運動不足解消に関するTIPSの公開や相談窓口の明示が求められます。

勤怠管理・業務フロー管理システムの導入

企業によって在宅勤務者の始業時刻・終業時刻の考え方は異なりますが、出社・帰社というアクションがないために勤怠管理はしにくい傾向にあります。在宅勤務者としても企業側に仕事ぶりを見せられないために、「サボっていると思われるのではないか」という不安があるという声も耳にします。

また、在宅勤務者の業務フローは見えにくく、非効率な協働に悩まされやすいのも問題点です。これらの問題を解決するためには、勤怠管理や業務フロー管理のシステムを導入することが求められます。

例として、「box」などの有償版の高機能なクラウドストレージを導入すれば、ファイル共有だけでなく勤怠管理・業務フロー管理も一元管理でき、お互いに情報を見せ合えるコラボレーションプラットフォームとして利用できて効率的です。

コミュニケーションツールの導入

在宅勤務者は慢性的なコミュニケーション不足に陥りやすく、仕事のやりにくさを感じたりモチベーションが低下したりするケースが多くあります。そのため、企業主導によるコミュニケーションツールの導入は必須です。

チャットツールやグループウェアを導入し、活用方法を紹介したりルーム作成・グループ分けのルールを明示したりすることで、在宅勤務者同士の交流を活発化させられます。

「Zoom」などのWeb会議システムを導入すれば、1on1ミーティングや多人数の会議の他、オンライン商談にも活用可能です。在宅勤務ならではのコミュニケーションシステムを構築することが求められます。

VPNの利用と通信環境の整備

在宅勤務では社外ネットワークから社内情報にアクセスすることも多いので、VPN接続の標準化は必須です。社内にVPNサーバーを設置して在宅勤務者のデバイスと紐付けることで、通信パケットを秘匿・暗号化してセキュアな通信ができる上、Webサイトやインターネットサービスの利用も社内ネットワークを経由できます。

ただし、VPNサーバーにトラフィックが集中すると深刻な遅延の発生もあり得るので、自宅・企業双方の通信環境の整備も大切です。在宅勤務者の自宅は回線工事が難しいケースもありますが、モバイルWi-Fiルーターを貸与すれば住環境にかかわらずサポートできます。

【番外編】在宅勤務あるある問題の対応例

在宅勤務を導入した企業が直面しやすい問題として、子どもがWeb会議に乱入することや社員のモチベーション低下、紙ベースの伝票や請求書の処理が困難になることを挙げられます。こういった在宅勤務でありがちな問題の対応方法も把握しておきましょう。

子どもがWeb会議に乱入!

在宅勤務者のワークスペースはリビングや寝室など、生活空間の一部を活用しているケースが一般的です。子どもがいる家庭であれば、Web会議中に仕事と無関係な音声や映像が紛れ込んでしまうこともあります。

この問題のスマートな対応方法は、顔出しのための映像を常時オフにして、画面共有は資料のみにすることです。マイクもミュートで構いません。音声によるコミュニケーションが必要な場合のみマイクをオンにすると決めれば、子どもを持つ社員も作業しやすいでしょう。

社員のモチベーションが低下

在宅勤務者は慢性的なコミュニケーション不足に陥りやすく、仕事のしにくさや孤独感でモチベーションが低下してしまうこともあります。コミュニケーションツールの導入は必須として、「必要に応じて在宅勤務・オフィスワークのどちらでも選べる」という形で、在宅勤務者もオフィスワークを選択できる仕組み作りが効果的です。

また、自宅の環境整備の難しさもモチベーション低下の原因に挙げられます。最低限の環境が整うまでは数万円の補助金を出したり、より効率的な環境整備のために特別賞与を支給したりするなど、目に見える形で在宅勤務者をサポートすることも大切です。

伝票や請求書などオフラインでの処理が困難

在宅勤務者もコアオフィス勤務者と同様、伝票や請求書といった書類の処理を必要とします。これらが紙ベースだと、コアオフィス外にいるというだけで承認プロセスが困難になるのは問題点です。

そこで、紙資料を電子化する仕組み作りが求められます。請求書をPDFで発行し、郵送ではなくメールで受け取れるようにするなど、社内回覧・承認・処理のプロセスを電子化によって効率化することが重要です。

在宅勤務導入をスムーズに!通信環境の整備ならイッツコム!

在宅勤務を導入すると社外デバイスから社内ネットワークへのアクセスが多くなり、企業のネットワークリソースは想像以上に不足するので、快適な通信環境の整備が求められます。

イッツコムなら高速かつ安定した光回線や、テレワーク環境に向いたVPNサービスをセットで導入可能です。イッツコムの多彩なサービスの中から、イッツコム光接続サービスとモバイル閉域接続を紹介します。

イッツコム光回線

イッツコムの法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」は、下り最大2Gbpsの安定した高速回線を利用できます。一般的な光回線サービスはプロバイダサービスと別に契約する必要があり、メールやマイページといったサービスも基本料金に含みますが、イッツコム光接続サービスは光回線とプロバイダサービスを一括提供する仕様です。

電話サポート以外はオプション提供にすることで、他社サービスよりもランニングコストを抑えられます。必要なサービスだけを選択できるので、予算に合った柔軟な契約が可能です。さらに、トラブルの際も問い合わせ窓口はひとつなので、スピーディーに問題の切り分けや連絡ができます。

モバイル閉域接続

イッツコムの「モバイル閉域接続」は、VPNの仕組みを利用したセキュアな通信サービスです。PCやスマホに専用SIMを挿入するだけで導入でき、通信キャリアのモバイル回線網とイッツコムネットワーク内の閉域網で接続します。

エリア内のどこからでも、インターネットを経由せず社内ネットワークに接続できるので、テレワークの大幅なセキュリティ強化が可能です。モバイル閉域接続の導入によって、主に以下のことが実現できます。

・社外のデバイスからも社内セキュリティポリシーを維持して通信できる
・場所と時間を選ばない働き方ができる
・ペーパーレスで営業に行ける
・専用SIMを挿入するだけで、スマホ・ドライブレコーダー・監視カメラの動画も簡単に共有できる

まとめ

在宅勤務は社員・企業双方にとって魅力的な働き方ですが、メリットを享受するためには課題があり、課題解決のためには環境整備が求められます。在宅勤務者向けの労働条件・人事評価制度・健康管理などについてルール設定をし、通信環境やビジネスツールも整備して、スムーズに在宅勤務を導入しましょう。

イッツコムはモバイル閉域接続・boxによるセキュリティ対策やワークフロー管理の他、ZoomやホットプロファイルによるWeb会議や営業支援、光回線やWi-Fi接続によるインフラ整備まで幅広いサービスを提供しています。ビジネス環境のトータルなアップグレードをお求めなら、多彩なサービスを自由に組み合わせられるイッツコムにご相談ください。