「スタートキット」とは
鍵屋先生のご講演の中で「初動ですぐに動けるように一か所に必要な備品ややるべきことをまとめた物を準備しておくと良い」というお話がありました。そこで考えたのが「スタートキット」です。この「スタートキット」は大規模災害が発生した場合、誰もが担い手になれるように、初動時にとるべき行動を6つの事柄にまとめ、マニュアル化したものです。
大規模地震は人が潤沢にいる時に起きるとは限らないですね。夜間や休みの日のような人がいない時に発生することも多いです。対応できるのがたまたま残業していた数名のスタッフしかいないという状況もあるかもしれません。そこで誰もが動けるように整えたのがこの「スタートキット」です。
また合わせて、必要な備品なども同じところに置いておきます。災害時に優先的につながる災害時優先電話、衛星無線、情報整理用の大きく拡大したシート、怪我人が出た時にちょっとした手当てができるような備品などを準備し、目立つように赤いラックに入れて、職場で1番偉い人の横に置いて誰もが認識できるようにしております。
「スタートキット」の内容
ラックの中にはリーダーとなる人が見るマニュアルをはじめ、誰もが担い手になれるように、初動時とるべき行動を6つの事柄にまとめ、マニュアル化したものを事前に置いて、取り出しやすいような形で設置しています。
災害が発生してから、どこに何があったかを思い出しながら必要なものを集めたのでは、まずそれだけで時間がかかり、初動が遅れます。それを事前に必要なものが何なのかと考え、その必要なものを全てそこに置いておく、それが「スタートキット」のミソであると思っております。
訓練などを実施しながら、必要なのは6つの事柄であるとまとめました。
①社屋内の状況確認。②なにか起きた時に対策を考える対策本部員を集めること。③対策本部の設営。④役割分担を決めること。どんな役割が必要なのか事前に決めてあります。⑤情報整理の指示・方法。大規模災害になると様々な情報が集まるため、まとめやすいように情報整理の仕方を記載しています。⑥安否確認。自分自身の安否報告については訓練でも行っていると思いますが、自分以外の安否情報を誰でも確認できるようなマニュアルを用意しています。
「普段からこれらの情報を知る必要はないよ。ここに全てまとめたマニュアルがあるから、いざとなったらここを見れば大丈夫」と言っておくと、皆さんも安心しますよね。
この「スタートキット」を開けると「これを見たあなたが指揮者です。まずは一度深呼吸をして落ち着いてください。」と書いてあります。最初に手にした人がまずは指揮者です。落ち着いたら先に進み、「近くにあなたに代わる指揮者はいますか。いなければ、あなたが指揮者です。」と、このように誰でも指揮者になれるようなつくりになっています。
その指揮者が先ほどの6つのことを進めるのですが、これを一度に1人では出来ませんので、近くにいる何人かを集めて「あなたは対策本部員を集めてね」「あなたは対策本部を設営してね」というように役割分担をすることによってスムーズに行動が出来る、このようなことを示したのがこの「スタートキット」です。


