熱中症による被害
実は、気象の中で今1番多くの方が亡くなっているのが熱中症です。統計では毎年熱中症で亡くなる方が1,000人を超えてきているため、そのまま見過ごせない状況になっていると思います。
熱中症は、もちろん地球温暖化が大きな原因かもしれませんが、日本の場合は高齢者化社会ということでやはり熱中症対策が大事だと思っています。個人的な話で恐縮なのですが、私の母が2021年に亡くなったのですが、実はその前年の夏が暑くて、熱中症になってしまい、それをきっかけに脳梗塞を起こしました。それ以降は寝たきりに近い状態になってしまいました。
いろんな病気の中でも熱中症に関わることがその人の人生を変えるような出来事を起こすといったことを目の当たりにして、熱中症をなんとかしたいなということをつくづく感じています。
やはり高齢の方は、夜寝る時や昼間でもエアコンを切ってしまう傾向があります。今は国からも「夏場はエアコンを入れっぱなしにしましょう」と呼び掛けていますよね。これは結構大切な事で、屋外で活動している方が熱中症になられる印象はあるのですが、実は熱中症になる半分程度の方が、自宅にいて夜間なんとなく調子が悪くなって救急搬送されています。先ほどお話したように、熱中症と診断されて亡くなる方は1,000人程なのですが、実際はもう少し多いのではないかと思います。2024年の資料からみると、救急搬送される方が5万人から10万人程度、都市によっては増えています。特に2024年は6月から多くなっており、搬送された人数は2番目に多い月になります。時期的には梅雨の時期ですが、梅雨明け直後に急に気温が上がり暑さに慣れていないため熱中症になる方が多くなっていると思います。
メディアでも熱中症のリスクがある日を報道していますよね。「危険な暑さ」という言葉が最近使われていますが、まさにそのような危険な暑さの日は熱中症に注意していただきたいです。
熱中症警戒アラートと熱中症特別警戒アラート
気象庁と環境省で共同発表している熱中症警戒アラートという情報があります。WBGTという気温・湿度・輻射熱を考慮した、暑さ指数とも呼ばれている熱中症の発生危険性を評価する指標があります。この数値が一定以上の数字になると、「熱中症警戒アラート」を発表しています。2024年からはもう一段階高いレベルの「熱中症特別警戒アラート」が設けられ運用が開始されました。まだ実際には発表されていませんが、「熱中症特別警戒アラート」が発表されると、各自治体が暑さを凌ぐための「クーリングシェルター」施設を用意する必要があったり、場合によってはイベントや運動などの様々な活動を制限することが出来ることになっています。そうすると社会的には大きな影響があるかもしれませんが、最近では「熱中症警戒アラート」が毎日のように発表されていて、前半でお話したように熱中症で亡くなる方も増えていますので、熱中症が起きやすい日を意識していただくためにも必要な情報だと考えています。
「熱中症警戒アラート」の発表は、基本的に前日の夕方と当日の朝の2回行われています。そのような情報を見ながら、特に屋外で作業される方は暑さの厳しい時間帯は涼しい場所で少し長めに休憩していただくとか、少し考えた上での行動をお願いしたいなと思います。
また、エアコンを適切に使っていただくことが1番だと思います。決して贅沢ということではなく、最近の新しいエアコンは性能が良く電気代もそれほどかからなくなってきています。特に年齢の方々は暑さに対して感覚が鈍くなります。「あまり汗もかかないから気にならない。」と言われますが、実は非常に危険な状態です。熱中症で汗もかけていないということは、体温だけどんどん上がっていっている状況です。ぜひエアコンはしっかり使って欲しいですね。