阪神・淡路大震災から学ぶこと
2016年から開催されている「ぼうさいこくたい」には、できるだけ毎年参加して勉強させていただいています。昨年は神戸で開催されたので「人と防災未来センター」に立ち寄り、時間をかけて見学しました。神戸の人たちが10年かけて、科学者や行政、消防、その他関係者、そして被災体験者の人たちが、自分たちに何があったのかということを検証して、見事にまとめられていました。都市での直下地震というものの恐ろしさと、災害の被害を減らすための方法などをわかりやすくまとめているのに、それが私たちに継承されていないということに、大変ショックを受けました。
例えば、家具転倒対策についても省略した言い方の「家具転」と言っても、わからない方もまだ多いですよね。被災して突然命を奪われた方もたくさんいらっしゃるし、家族を残しながら救助にあたった消防隊の方もいらっしゃいますが、その経験や当時のことなど、いろんなことを全部無駄にしてしまっているということが本当にショックで立ち上がれない程でした。やはり日本は揺れる国ですので、しっかり対策を行って欲しいと思います。
家具転倒対策も賃貸ですと、部屋の壁に穴をあけるという行為について、エアコンの穴は開けてもいいと認識されていますが、家具を固定する穴については退出する時に修復のためにお金がかかってしまうことがあります。東京では「東京防災」という防災ブックに「最も確実な方法は、壁にL型金具でネジ止めすること」と記載されていますが、実際にはその行為が許されていない、もしくは費用がかかることになってしまうため、対策を躊躇ってしまう原因になっています。
神戸の子どもたちは4年生から、被災経験者の話を聞いたり、防災未来センターのようなところで、震災の時に何が起こったのかを音や映像で学んでいます。首都圏の子供たちも、手軽に防災について学べるようになっていたらなと思います。
今後の活動目標
今年度は、「いつも」から「もしも」のために、応急処置の力を皆でつけていこうというテーマで東京医療保健大学の立川看護学部の先生方にお手伝いいただいて活動しています。非常に人気で、私たち自身も手応えを感じています。
現在は、同時多発火災、避難行動、それから、歴史街歩きという町の歴史を訪ねながら室外の危険を確認するというような区民防災講座をセットにして行えないかという話を、関係者の方としています。
私たちに出来るのは、自助、そしてご近所間での助け合いと町会などの共助、ここまでの行動がスタンダードなものですが、具体的にやるべきことが明確でないために、防災に熱心に取り組まれている町会長や役員の方は「今年は何をしよう」「どうしたら子供たちが参加してくれるだろうか」と悩んでいます。私たちの団体は、今まで学んできたことや、活動していく上で培った科学者の方や専門家の方とのつながりがありますので、仙台市や神戸市が行っていることを、文京区でも早く始めたいと思っています。
区民防災講座というのは、防災に特化したものなのですが、参加者には意識が高い方が集まります。講座の後には交流会を開いて、参加者それぞれの意識をしっかり高めて、各自の備えや技を向上していただきます。
区民防災講座以外にも、あまり関心がない方でも気軽に参加できるようなお祭りのような防災イベントを開催したいと考えています。今年度は、市のホールを借りることができ、防災遊び、手ぬぐいワーク、災害用トイレの組み立て体験などを行いました。
今後、防災グッズに実際に触れて購入することができ、飲食も可能でダンスや歌などのステージと、防災の専門家のワークショップにも参加ができ、一人でも親子で来場しても楽しめるような防災イベントを東京ドームで開催したいと都民提案に応募しました。残念ながら通りませんでしたけれども、いつか必ず、実現させたいと願っています。各地の美味しいものを販売して、いざという時の疎開先の候補にと検討していただけて、専門家の知識や知恵など、自分の興味が向くところに簡単にアクセスできるようなお祭りにしたいと思っています。