プロフィール
ご近所 de BOSAIという防災啓発ボランティア団体の代表をしています。30歳の時に神戸の大地震が発生し、関西に住んでいた多くの友人が被災し、直接話を聞いていたこともあり、結婚してからも引っ越しをする度に家具の転倒対策などは気を付けて行ってきました。
ご近所 de BOSAIというのは活動を始めて3年後程で着いた名前です。私は、子供時代に台風の多い九州で育ちました。子供会も活発で、側溝の掃除は子供たちが楽しみながら行っていました。その後、東京都文京区に長く住むようになり、ご近所力はどうなのかなという思いがあったことと、神戸の大地震の時に、周りの人たちが助け合って救助を行ったということも知っておりましたので、やはりご近所力は自分たちで育てていかなければいけないのではないかと思いました。
母は、証券会社に勤めている父について2年ごとに転勤があり、大変だったようです。私自身も結婚してから結構引っ越すことがあり、札幌で過ごしたこともありますし3.11の直後には上海への転勤、港区にも2年間住んでいたことがあります。それぞれの土地で、まさにご近所の人たちに助けてもらいました。
私が子供の頃の九州では、台風の警報が出た際には学校は休校となり、子供をひとりで歩かせることはほぼ考えられませんでした。しかし東京都文京区では、警報が出てもほぼ被害も出ないことから、子供がひとりで学校まで歩いていくことがあり、危機管理の感覚が自分と違うのかな、大丈夫なのかな、と感じていたところが活動の出発点なのかもしれません。
防災への取り組み方
台風で警報が発令されている時の学校の対応に危機感を覚えたというところから、毎年9月1日に行われる引き取り訓練がとても心配でした。
神戸の地震では火の粉が飛んでいくこともあったので、いつも使用して慣れた通学路だとしても、地震が発生した時に狭い道路を使うのではなく、回り道でも広めの道路を使用することが重要だと考えています。しかし、実際の引き取り訓練では、親が仕事を休んで迎えに行くことになるため、避難時に必要なヘルメットも持っていませんし、とりあえず参加をして、書類を先生に提出して終わるという簡易的なものでした。神戸の大地震を学んだ私としては、とても心配に感じました。
今のところは被害が出ていないけれども、これからはもっと暴風が吹く可能性もありますし、現在は治水のお陰で洪水が発生しにくくなりましたが、内水氾濫も含めて毎年リスクは上がっていくと聞いています。やはり想像力を持って、大人も子供も知識や経験を蓄えておくことが重要だと考えています。
ご近所 de BOSAIでは、子供だけではなく親子や多世代で参加して楽しめるようなイベントを目指しています。地元でお店を経営していたり、地域のお祭りの運営に参加している方から思いつかないようなちょっとした知恵を出してくれることもあります。みんなが楽しく学べるイベントに仕上げるためには、時間がかかっても多世代向けに啓発活動を行っていくべきだと思っています。
大地震の時、神戸の被災地では1つ先のブロックまでも行けない状態になったと聞いています。そういう時に声を掛け合ったり救助ができたりという意味では、ご近所で親しくならなくても、挨拶などを通じて自分の存在や家族構成などを周りの人に知っておいてもらうことが、大地震の時に命を繋いでいく大事なきっかけになるのではないかと思います。