プロフィール
ジョージ防災研究所の代表で、防災アドバイザーとして活動しております。平時の防災ということで、講座や講演会・研修会などの講師、災害コンサルティングという形で学校や福祉施設、地域の自治会やマンション、行政などを含めて、災害対策のお手伝いをさせていただいています。
一方で、被災地支援という形で、これまで、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨で支援活動をさせていただきました。2024年1月1日に発生した能登半島地震の支援として、2024年11月現在、石川県輪島市門前町へ赴き活動をさせていただいております。
防災は人をつなぐ
学校の先生を目指して、東京都日野市にある明星大学の教育学部に通っていました。大学2年生の時、卒業した瞬間に1人で30人~40人という子どもたちと接するということに自信がありませんでした。同じような思いを抱えた友達もたくさんいたので、何か学校現場を使わせていただいて、実践的な経験をしたいと考えるようになりました。ちょうど大学では企画書を提出して申請をし、企画が通れば補助金をいただけるというプログラムがありましたので、学校現場に受け入れてもらえるテーマを考えました。当時、東日本大震災から2年目という年だったこともあり、小学校を使って防災教室をやらせていただくことになりました。この経験が防災の道に進むきっかけになりました。
防災教室は8月に開催させていただきましたが、まず学校に企画を持ち込んだところ、先生方が「ぜひやりましょう」と思ってもいないくらい前向きに受け入れてくださいました。そこから、保護者の方にも協力していただくことになり、PTA役員の方々にも企画を提案したのですが、PTAの共催事業として公式にやりたいというお話をいただきました。その後、自治会の連合会のような組織の方からも「学生が面白いことやるらしいじゃん」と、会議に呼ばれ説明をしに行きました。「大学生が防災教室をやる」という話がどんどん広がり、地域の人たちが1つに繋がって集まったという経験をさせていただき、その時の感覚が今でも忘れられません。「防災は人をつなぐ、地域をつなぐ」という経験をさせていただいたことから興味を持ち、この仕事をやってみようと考えました。
防災の輪を広げる仕掛人
この仕事に9年間取り組んできて、講座や研修会、講演会に来られる方が固定化しているなという印象を受けています。本当に関心の高い方が多く、その方々にたくさんのことを伝えるということに取り組んできているのですが、会場にいらっしゃらない方々にどうやってこの防災の話を広げていくのか、そこが本当に難しいなと思っています。参加していただいた方々に「家に帰ったら、職場や学校で周りの人に広げてくださいね、伝えてくださいね」というお話は当然させていただくのですが、なかなかそれだけでは広がりが小さいなと感じていて、いつもモヤモヤというか、なんか悔しいなという思いを抱いています。
「防災の輪を広げる仕掛け人」というキーワードを出させていただいたのですが、私が伝えるということはもちろんですが、私以外の人が防災の輪を広げていくということを、 もっともっとしていかないといけないと思っています。最近力を注いでいる取り組みとして、中学生・高校生と一緒に公民館で行う小学生向け防災講座を企画しています。公民館での講座も何年も連続して行っていくと、参加している学生がだんだんステップアップし、このような活動を広げていきたいという声が出てきて、今は「防災カフェ」という名称の取り組みも行うようになりました。休日に公民館の一室を借りて、講座とは異なり「教える・教えられる」という形ではなく、ふらっと立ち寄って、防災について不安なことや心配なことを質問したり、気軽に話ができるような場を作る企画です。参加される方は防災についての心配事を抱えて来られます。講師が教えるとなかなか記憶に残らないのですが、お互いに考えながら解決していくと、家に帰ってから実践することにつながることが多く、住民の皆さん同士での学びというところがひとつのキーワードになっていくのだと感じています。ここ数年間は、このような場づくりを通して防災の輪を広げていくことに力を注いでいます。