全国各地で行われている様々な地域の防災訓練。こうした訓練に参加する意義とは何なのだろうか。
自分たちの命は、自分たちで守る

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、死者6,434人、行方不明者3人、負傷者:43,792人、住家被害639,686棟の被害があった。(総務省消防庁「阪神・淡路大震災について(確定報)」より)
この地震では、助かった人の約8割が自力または地域の人たちに救助され、そのほとんどが発生から15分以内に救助されている。
大規模災害が起こった場合、市や消防署、警察、防災関係機関は総力で活動に取り組むが、同時多発的に119番通報などが入り、道路の破損・ライフラインの遮断などさまざまな要因で迅速な救出救助活動が行えない状況になる場合がある。
災害の規模が大きくなればなるほど、「自助(自分の身は自分で守る)・共助(力を合わせて助け合い、自分たちのまちを守る)」が重要となる。普段から近隣の方と顔見知りになり、地域での協力態勢を作っておきたい。
防災訓練はなぜ必要か
防災訓練の目的は、その地域のことやどんな人がいるのかを知ることでもある。なぜならば、それが自助・共助のための大きな一歩となる絶好の機会となるからだ。また、当然ながらこれ以外にも下記のような目的があるだろう。
- 災害の基礎知識を得る
災害と一言でいっても津波・地震・風水害・火災・テロなどたくさんの種類がありまた、豪雪や津波など地域ならではの特徴もある。つまり、身のまわりに起きうる災害の特徴を知ることで危険を回避できるというわけだ。 - 地域における個々の役割を理解する
- 団体行動をとるにあたり、地域の人たちと協力し、自分のやるべきことを理解しておかなければならない。災害が大きくなればなるほど、一人の力でできることは限られてしまう。
- 防災資機材の習得
災害時に使用する資機材は、日常生活では利用することのないアイテムも多く、安全に使えなければ救う側が怪我をしてしまい、2次災害となってしまう。 - 避難場所の確認や避難経路の確認
どこに集まり、どこに避難しなければならないのか。また、避難場所までより安全に移動するため、事前に経路を把握しておく。
自分でもできる防災訓練
地域の防災訓練だけでなく、コミュニティの最少単位である「家族」でも防災訓練はできる。防災訓練後自宅に帰ってから、または「防災の日」などを利用して、定期的に「防災」をテーマにした家族会議も立派な防災訓練となる。事前に以下のような安全対策を心掛けるといいだろう。
- 家族での役割分担
- 災害時の連絡方法、避難経路の確認、非常持出品の点検
- 家具・電化製品の固定(固定器具を使って転倒・落下防止)
- 収納の工夫(重い物は下部に、軽い物を上部に、扉は金具で固定)
- ガラスの飛散防止対策(飛散防止フィルムを貼ったり、アクリル板に変える。)
- 家の中の整理整頓(出入り口を整理整頓し、棚上の物は落下防止を行う)
- 消火器類の確認(火災が発生しても取り出しやすく、火元から少し離れた場所に設置)
- 何をしなければ分からない場合は、地震などをテーマにした映画や漫画をみて災害についてイメージしてみることから始めることも良いだろう。
事前にできることから日々積み上げていくことで、災害時には少しでも危険要因を減らすことができ、あわてずに行動できるようになる。
積極的に参加しよう

昔よく行われていた防災訓練は、消火器や三角巾の使い方にはじまり、バケツリレーが定番であった。しかし、最近では防災訓練のマンネリ化を防ぐため、フリーマーケットや地域の祭りなど楽しみの要素を加えたり、机上訓練やインターネットを活用するなど、訓練の内容も多様化しつつある。しかし、本当に必要なことは、ただ参加するのではなく、「いざという時どうするか」ということをイメージすることだ。災害の規模が大きければ大きいほど、自助・共助が必要となる。自分が災害を生き抜くために、また、周囲の人を災害から救うためにも、地域の人たちとの交流が図られる防災訓練には積極的に参加してもらいたい。
(文・レスキューナウ危機管理情報センター)
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