今回は、幅を取らずにスッキリ収納できる組み立て式ヘルメット「コンパクメット」を紹介する。
こんな声から誕生
災害が発生し避難をするとき、落下物や周囲の障害物、そして転倒などから頭を守ることは何よりも大切なことである。
「ヘルメットは必需品。しかし、保管するスペースを確保するのに困ってしまう。何とかならないだろうか・・・」。株式会社香彩堂の森正道さんはこのような声を聞いたとき、自分自身も山登りや沢登りでヘルメットを愛用していたため、すごく共感したという。
このことが、今回紹介する「コンパクメット」の開発のきっかけとなった。
「コンパクメット」の3つの特長

ちょうどヘルメットを横3つに輪切りしたような作りになっており、とても独創的なヘルメットである。
「コンパクメット」には次の特長がある。
1.場所要らず!
3分割収納すれば、厚さ8.5cm。防災用としても、家庭や事務所における収納スペースを有効に使うことができる。また、オフィスの机の横でも場所を取らずに置くことが可能であり、重量はわずか500gである。
2.組立簡単!
?パッケージから出す
?組み立てる
?留め具を三箇所止めて完成(30秒以内で組み立て可能)
3.優れた耐久性!
この商品は、下記2つの国家検定を取得しており、耐久性にも優れているので、安全性を実感できる商品でもある。
● 飛来・落下物用 (型式検定合格番号第TH3409号)
・人の頭の模型(5kg)を高さ1mから自然落下させても、このコンパクメットは衝撃を吸収することができる。(衝撃吸収性試験)
・人の頭の模型にコンパクメットをかぶせて、1m上から先が尖った重さ3kgの円錐模型を落下させても、先端が頭に当たらぬようにコンパクメットで守ることができる。(耐貫通性試験)
● 墜落時保護用 (型式検定合格番号第TH3410号)
・コンパクメットの前と後ろで衝撃を受けた時、重さ5kgの板を1m上から自然落下させても衝撃を吸収することができる。(衝撃吸収性試験)
・重さ1.8kgの円錐を0.6mの高さからコンパクメットの前、後ろ、両側の面に自然落下させたときに、先端の突出量が15mm以下であれば合格。(耐貫通性試験)
「コンパクメット」の活用シーン

【工事現場で】
ほとんどの人がヘルメットを着用する工事現場。「コンパクメット」なら、ヘルメットを分割できるため、置き場所や保管場所の限りあるスペースを有効に活用できる。
【外回りの営業で】
コンパクトに持ち運べるため、営業など外回りのときなどもビジネスバッグに入れることができ、簡単に持ち運ぶこともできる。
【オフィス内や学校で】
それぞれの机の横に、専用バッグに入れた「コンパクメット」をかけておけば、急に襲ってくる地震の場合でも、すぐに頭を守ることができる。
小学校などでは児童一人ひとりが椅子に”防災頭巾”を敷いているところも多いようだが、こうしたコンパクトサイズのヘルメットを常備していれば、ガラスの破片や落下物から子どもたちをより安全に守ることができるだろう。
【家庭で】
家族全員分の「コンパクメット」を玄関に収納すれば、災害発生時に外へ出るときでもすぐにかぶることができる。専用バッグに入れておけば、日常生活の中でも目立たなくなり気にならない。
新しい発想から生まれるもの
この商品を見たときに「ヘルメットを3分割にする」という発想がとても新鮮であった。「今あるものから新しいものを創り出した、まさに発明品だ」という印象を受けた。
従来のヘルメットはその形状から持ち運びがしにくく、保管するにも広く場所を取ってしまう。この厚さ8.5cmというコンパクトなサイズで収納・持ち運びができるメリットは、ヘルメットを多く使う工事現場や、従業員を多く抱える企業、学校機関、地域の備蓄倉庫などで注目されるのではないだろうか。
正しい保管・正しい使用
ヘルメットの劣化を防ぐためには、高温多湿の環境を避けた場所に保管するなど、保管方法やメンテナンスに日頃から気を配る必要がある。また、一度強い衝撃を受けたヘルメットは、次の強い衝撃には耐えるこが難しいと言われているため、衝撃を受けたヘルメットの使用は避けた方がいいだろう。
また、ヘルメットをかぶる際は、あご紐をしっかりと結び、頭からずれないようにするなど、正しい使用方法を徹底することが重要である。
商品開発までの道のり(株式会社香彩堂 森正道さんのお話)
ヘルメット屋でもなく、プラスチック屋でもない、単純にもの作りが好きで、納得出来るヘルメットを作りたい、その一心で産業用安全帽衝撃吸収性能試験装置を購入し、試作を重ね、試行錯誤を繰り返し完成させたのが、この「コンパクメット」です。
その思いは様々な専門分野の方々に通じ、持てる能力を発揮して頂き、こちらも負けずと様々なアイデアを出し、知識を積み上げて完成を目指しました。
この完成はまさに関係者皆様の思いの凝縮であり、賜物だと思っています。
この場をお借りして、深く御礼を述べさせて頂きたいと思っています。
(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 水上 崇)
copyright © レスキューナウ 記事の無断転用を禁じます。