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防災コラムVol.12

火災による悲劇を防ぐ火災警報器

公開月:2006年1月

早い気づきが火災の恐怖から命と財産を守る。

火災の恐怖

火災は煙にまかれることが怖い

全国の火災件数は6万件を割り、年々減少傾向にあるが、火災による負傷者や死者は減らずに2002年には1000人を超え、いまだに増加している。毎日どこかで火災により命を落としている人たちがいる。11月から年末をピークに3月頃まで、火災は大幅に増加する。火災といわれると「炎に包まれる建物」のイメージが強いかもしれない。しかし、火災の恐怖は火にまかれるだけでなく、煙に含まれる有毒ガスを吸い、動けなくなり逃げ遅れてしまうケースもあることだ。火災による死亡原因の約7割が逃げ遅れである。また高齢者の増加に伴い、火災による死者の約6割が65才以上の高齢者である。いかに早く火災の発生に気づき消火活動をして逃げるか。それが被害を最小限にする最良の方法である。

火災警報器の義務化

住宅火災における焼死者を減らすため、2004年6月、すべての住宅に住宅用火災警報器の設置を義務付けることを盛り込んだ消防法が改正された。消防法史上初めて住宅に対して法的規制をかけた。新築住宅は2006年6月1日(東京消防庁管内は2005年10月1日)から、既存住宅は2006年6月1日から適用期限が最大5年猶予されており、期限の詳細に関しては各市町村の条例で定められている。だが、違反したからといって罰則は現時点ではない。あくまで火災に対する自主的な防衛を促す面が強いが、火災警報器の設置住宅の死者数は未設置住宅の3分の1という統計データもある。日本ではホテルや病院、デパート、福祉施設などで大火災があるたびに消防法が強化された結果、死者を10分の1程度まで減らすことができた。外国に目を向けると、米国などでは火災警報器の設置が法律で定められており、日本における法改正は世界の中では決して早い取り組みとはいえない。

火災警報器の種類

品質を保証する日本消防検定協会の検定印

火災警報器は最近ではセキュリティーシステムと連動した商品も出るなど種類も豊富で、ホームセンターなどで手軽に購入できる。安いものだと4000円前後で買える。しかし、種類が多いとどの警報器が良いのか迷ってしまう。設置場所や用途・条件などに合わせて最適なものを選びたい。住宅用火災警報器などは、「省令などによる規格に適合するもの」と定められており、品質を保証するものに、日本消防検定協会の鑑定(NSマーク)がある。このマークのついている火災警報器を選ぶとなお良い。

火災警報器には大きく分けて煙式と熱式の2種類がある。また、設置位置に合わせて、天井に取り付けるタイプ、壁に取り付けるタイプ、壁掛けタイプなどがあり、電源のタイプは2年~10年使え電池が切れそうになると知らせてくれる電池式と、ACコンセントに差し込むコンセント式がある。警報もブザー式と音声式があり、最近では煙式・ガス漏れなどの複合器、聴覚障がい者向けに音の変わりにピカピカ光を発する光式、視覚障がい者向けにブザーの増設も可能なタイプもある。

どこにどのタイプをどのように設置するか

煙式感知器(警報機)

火災警報器は寝室とそこにつながる階の階段に設置するのが基本だ。条例によっては台所への設置が義務化されている。それ以外にも、3階建て以上の場合など、部屋がたくさんある場合は別途追加が必要となる。警報器のタイプは、台所は調理中に煙が発生して誤作動が頻発する恐れがあるため熱式の警報器、それ以外の場所では煙式の警報器が効果的だ。

取り付け位置は天井に設置する場合は、住宅用火災警報器の中心を壁から60cm以上離し、梁がある場合も同様に取り付ける。壁に設置する場合は、天井から15~50cm以内に住宅用火災警報器の中心が来るように取り付ける。いずれの場合も煙の流れなどを考えて、換気扇やエアコンなどの吹き出し口から1.5m以上離す。以上が法令などで定められている基準だが、予算に余裕があれば増設を考えてもよいだろう。

詐欺に注意

今回の消防法改正を巧みに利用し、あたかも法律で規定されているかのように「設置が義務化され、早く設置しなければ法律に違反するため、罰金刑が科せられる」などと市職員や消防関係者を装い高額で販売する詐欺事件が発生している。実際、今回の消防法改正では、火災警報器の未設置による罰則規定はなく、市や消防の職員は火災警報器を戸別に販売することもない。また、事業者に販売を委託することもない。もし間違って購入してもクーリングオフすることができるので知っておこう。

火災に対する心構え

火災対策の基本は火災を発生させないこと。特に11月を過ぎると、暖房機具による発火や不審火などによる火災が急増する。身の回りの火災の原因を排除しつつ、万が一発生した場合に備え、今回紹介した火災警報器や消火器を設置することと、メンテナンスも行い、万全の火災対策をとっていただきたい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 歌代翼)

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