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防災コラムVol.16

足元から安全を見直す

公開月:2006年1月

地震発生後、守らなければならないのは足

グラッときたら身の安全を考える

大きな揺れを感じたら、何よりも身の安全を守ることが大切である。2003年の宮城県北部地震や十勝沖地震、2004年の新潟県中越地震の被害をまとめた資料によると、負傷者の実に半数が「家具類の転倒」や「落下物」が原因という。屋外ではブロック塀や建物のガラス、外壁などが凶器に変わることは広く知られているが、室内では家具や照明器具などが危険である。つまり家の中で被災したときは、外に逃げるまでにけがをする可能性は十分にある。屋外へ出るにも下駄箱が開かないこともあるだろう。では、けがをしないでスムーズな避難ができるようにするための方法はどのようにしたらよいのだろうか。災害対策というと水や食料の準備を考えがちで、それも大事であるが、足元の安全を確保しないことには水や食料も持ち運べない。今回は足元の安全を見つめ直してみよう。

脱げ易いスリッパ

阪神・淡路大震災の教訓から、「枕元にスリッパを置く」ことが防災対策の知恵となっている。避難する際に思わぬけがをした方が多かったためであるが、ひとえにスリッパといっても多種多様。そこで足を保護するという観点から考えてみたい。まず注目すべきことは、靴底の厚さや材質だろう。停電してしまえば、暗い室内でガラスやとがった物がどのような状態で散乱するか分からなく、突き刺さって破れるような薄さは論外である。一見厚いからといって、柔らかい材質だと深くつき刺さったり、細かい破片がたくさん付着することで、別の場所で思わぬけがをすることも考えられる。

最近では靴底に金属板を入れて補強し、材質を脱げにくいものにした「防災スリッパ」も千円~数千円程度で販売されているが、スリッパの弱点はかかとを覆わないため脱げ易いことである。避難する際には、散乱した家具などを踏み越える状況もあり得る。つま先や甲の保護も忘れてはいけない。誰しも日常生活で家具に小指をぶつけたり、足の甲に物を落とすなどして、思わぬ痛さを感じた経験もあるだろう。周囲が不安定な状況で避難するわけで、何が起きるか分らないことを念頭におく必要がある。

こうなると靴を準備したいが、靴にしても靴底やつま先の材質、その他足元の安全に注目することには変わりない。何よりも日常生活で使用するという視点から捉えることが大切だろう。靴擦れや劣化などを考えても、「いざという時のために使う」というよりは、普段から履き慣れた靴が「いざという時にも使える」ことのほうが重要だ。ただ、実際に毎晩寝る前に靴を枕元まで運ぶのは面倒かも知れない。そこで、今は履いていない靴を捨てずにとっておき、ベッドの下や枕元の近くに常に置くようにしてはいかがだろうか。

オシャレで機能的な「安全靴」

ミドリ安全の安全靴

工場や工事現場などで作業員の足元を保護している「安全靴」というものがあるが、最近では軽作業用や女性向けなど、カラフルでデザインにこだわったスニーカータイプが多種登場している。安全靴は靴底やつま先の素材、性能などJIS規格が定められており、品質が保証されている。素材などを見直すことにより大幅に軽量化されるなど機能性も向上。かつては保護性能ゆえの足蒸れが指摘されたが、通気性が改善された製品も作られている。価格も数千円からと一般の靴と大差なく、日用品店や通信販売などで入手は比較的容易といえる。選択肢の一つとして十分検討に値するだろう。

ライト付の多機能シューズ

多機能のエマージーシューズ

ユニークな多機能シューズもある。暗がりで足元を照らすLEDライトがストラップ部分に取り付けられ、助けを呼ぶホイッスルなどもついた「エマージーシューズ」がそれである。ワンタッチで履け、靴本体が軽いため長い距離を移動するのに都合がよい。ステンレス鋼板で靴底を強化してあり、滑り止めのラバーもつくなど災害時を想定している。靴の中のインソールは夏と冬で調整できるよう着脱が可能。自分の連絡先などを書き込める「個人認証証」なども含まれている。9800円(税込)と多少値は張るが、一足あると安心できるかも知れない。

防災対策は足元から

避難する際に足元がしっかりしているのとしていないのとでは大きな違いとなる。日頃から室内にいる際にも、常に靴がどこにあるかを意識しておくことで、いざというときにも比較的落ち着いて靴を履き、避難などの行動に移ることができるのではないだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 水谷公郎)

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