宝塚市のカラオケボックスの火災で、煙を吸って3人が犠牲となった。ある防災グッズを持っていれば助かったかも知れない。
火より煙が怖い
兵庫県宝塚市のカラオケボックスで2007年1月20日、3人が死亡した火災は、避難用のはしごや非常用の誘導灯が未設置であったりなど防火設備の不備が指摘されている。カラオケボックスに行く時はアルコールが入っていたり、室内では大きな音量で火事に気づきにくくなりがちである。このような防火設備の不安があっては安心して遊べない。
店舗は防火対策にきちんと取り組むべきだが、それだけをあてにするのではなく、何か自分たちで備えることはできないだろうか。防災グッズの「SBKけむりフード」は、透明なフィルムで作られた煙よけの袋だ。これにきれいな空気をいっぱい入れて頭からすっぽりとかぶれば、煙の中でも目を開けたままで、袋の中の空気を吸いながら避難できるというスグレモノ。カラオケボックスに限らず、誰でも、いつ、どこで火災に遭うか分からない。最近の火災では「火より煙が怖い」ともいわれている。煙には一酸化炭素(CO)が含まれているだけでなく、内装の素材によって様々な有害なガスが発生するからだ。そのような時の備えとして、常にカバンやバッグの中に入れておきたいグッズだ。企業の中には全社員に配布している会社もあるほか、全客室に常備しているホテルもある。
煙の中でも大丈夫か?

材質はナイロンなどの特殊多層フィルムでできており、耐熱温度は150℃。実際は煙の中を避難する時に使うもので、火の中を通るわけではない(そのようなことをしたらフィルムは無事でも、人間がやけどをしてしまう)が、これだけの耐熱性があれば安心だ。このフードは普段は折り畳んでビニールケースに収納してあり、その収納時のサイズは約9cm×13 cmで厚さは5mmとコンパクト。だから、ワイシャツのポケットやポーチにも入れておくのも良いだろう。
どのくらいの時間、避難に使えるの?
このフードは「走って3分、歩いて5分」は十分に使えるだけの空気をためることができる。これだけの時間を使えれば、建物の10階から地上までゆっくり下りても大丈夫である。煙をシャットアウトしているため、煙を吸わないで済むだけでなく、目を開けて前や周囲の状況を確認しながら避難できるのが強み。
誰でも簡単に使えるの?

非常時に一般の人が使う物は、原則的に3つ以内の動作でできなければならないといわれている。例えば消火器は、1)安全栓を引き抜く、2)ホースをはずし火元に向ける、3)レバーを強く握るの3つの動作だ。
では、「SBKけむりフード」はどうだろうか。1)フードをケースから取り出す、2)フードを上下に大きく振って空気を充分に入れる、3)頭からすっぽりとかぶり、密封状態になるようフードの末端を胸に密着させるの3挙動で済む。
少ない動作のため誰でも簡単に使用できる。また、消火器の操作が簡単で、訓練すれば上手に使えるのと同じように、「SBKけむりフード」も練習すればより上手に使えるようになるだろう。この「SBKけむりフード」は、財団法人市民防災研究所(SBK)が開発したもので、504円(税込)。ホームページのウェブショップで申し込みが可能である。
(監修:レスキューナウ 文:財団法人市民防災研究所事務局長 細川顕司)
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