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防災コラムVol.34

乳幼児がいる家庭の災害対策

公開月:2006年2月

ミルクやおむつだけでなく、消毒の熱源など必要なものは多い。

都内自治体の防災計画

2007年3月25日に発生した能登半島地震では、避難所生活を強いられている高齢者の現状や、医師・カウンセラーによる健康チェックの様子を多くのメディアが報道している。1995年の阪神・淡路大震災、そして2004年の新潟県中越地震などの教訓を踏まえ、災害時の高齢者に対するケアは向上している。一方で乳幼児に対するケアはどうだろうか。2007年3月に東京都は『都内町村の妊婦・乳幼児に関連した防災対策調査』の結果を発表した。

  • 乳幼児に必要な調製粉乳を確保している自治体:75.8%
  • 調製粉乳でミルクを作るための水を確保している自治体:22.6%
  • アレルギー用ミルクを確保している自治体:17.7%
  • 離乳食を確保している自治体:14.5%

この数字は東京都内の自治体におけるものだが、結果を見て乳幼児のいる家庭ではどのように感じるだろうか。今回は乳幼児がいる家庭の災害に対しての備えのうち、最も関心があると思われるミルクについてまとめてみた。

ミネラルウォーターはNG

蒸留水は災害備蓄に適している

乳幼児のために揃えるものとして、まず思いつくのが調製粉乳と水だが、水には注意が必要だ。子どものために、きれいな水を飲ませたいという思いから、ミネラルウォーターの購入を考える方がいるかもしれない。しかし、調整粉乳の中にもミネラル分が含まれており、ミネラルウォーターで溶いたミルクを飲ませると、ミネラル分を乳幼児へ過剰に与えることになる。腎臓に負担をかけ、ひいては脱水症状を引き起こしてしまう可能性があるため注意してほしい。また、ミネラルウォーターの中には、天然の水を無殺菌のままペットボトルに入れているものもあるため、年月がたつとカビが発生する恐れがある。

以上のことから、防災備蓄用に適した水として蒸留水があげられる。蒸留水は水を沸騰させることで発生した水蒸気を冷やしたものである。ほぼ純水に近い水で、不純物は全くといってよいほど含んでおらず、防災備蓄には適している。

避難生活でのミルクの問題

「愛のミルク」

母乳による育児を行っていない家庭であれば、確実にミルクの準備は欠かせない。しかし、ライフラインの停止によって、乳幼児器具の煮沸消毒は支障を来たすことから、日常のようにミルクを与えることは困難だ。そこで、煮沸消毒を行うための熱源を備えておく必要があるが、加熱剤入りのパックはその代表的なものだ。パックの中にはアルミ剤と生石灰が入っており、それらを水との化学反応で発熱させる仕組みで、袋の中は最高98度にまで達する。このパックに水の入った容器を入れることで煮沸消毒用のお湯を確保できる。

しかし、長い避難所生活を前提に準備するとなると、調製粉乳や水などの量は相当なものになる。そうした負担を少しでも減らせるとして開発された製品が「愛のミルク」である。製品には哺乳瓶代わりとして使用する缶の中に、滅菌水、粉ミルク、乳首清浄布がセットで入っている。哺乳瓶(缶)の中心部分を押すと水が沸き、哺乳瓶(缶)と乳首は繰り返し使用できる。保存期間は1年半だが、それだけの期間があれば乳離れするため、各家庭における備えとしては十分な長さといえる。保存期間が近づいた場合は、旅行やレジャーなどの際に持参して消費するとよいだろう。

適温のミルクに必要な準備

普段使い慣れている哺乳瓶であれば、使い勝手も知っており調乳は問題なくできるが、非常時に使う場合、沸いた水の温度は何度ぐらいまで上げるのか、冷ますのにどの程度の時間が必要かなどを調べておくと、いざ災害が起きても適温のミルクをタイミングよく与えることができ、乳幼児はやけどせずに済むだろう。

災害シーンごとのリスト作り

乳幼児がいる家庭では、今回取り上げたミルク以外にも、おむつやその廃棄に使うもの、衛生用品のほか、体温調節など乳幼児が必要な物は多岐にわたる。そこで、避難所へ持っていく物のリストを、「乳幼児用」と「保護者用」に分けて作っておくことをお勧めしたい。それぞれに「緊急時に持ち出す物」と「災害が落ちついた時に自宅から持ち出す物」とに分類し、災害シーンごとのリストを作っておくと頭の整理になる。ウェブサイトや書籍などを参考に、家族で相談しながら自分の家庭に適した災害対策を練っていただきたい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 三澤裕一)

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