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防災コラムVol.41

施設を訪ねる「野島断層保存館」

公開月:2006年2月

兵庫県淡路市に阪神・淡路大震災を伝える記念館がある。

風化させないための施設

世界有数の「災害大国」である日本。天災や人災による多大な被害も時と共に風化することから、過去の災害から学び、未来の災害に備えるために、日本各地にはさまざまな施設が存在している。実際の訪問記を通じて、過去の災害から改めて学びたい。今回は阪神・淡路大震災で出現した野島断層が保存されている兵庫県淡路市の「北淡震災記念公園 野島断層保存館」を紹介する。

穏やかな地に残るつめ跡

記念公園は淡路島の北西岸に位置し、神戸市内から電車とバスを乗り継いで1時間半ほど。明石海峡大橋のダイナミックさと島内の穏やかな風景を眺めつつ、「震災記念公園バス停」で下車。バス停から保存館までは数分、記念館の独特な長い建物に沿って歩く。「長い建物」とは、出現した断層を140mに渡って屋根をかけて保存しているため。北東から南西方向に伸びる断層の北端が保存館の入口となっている。

エントランスに入ると、まず目を引くのが、再現された国道43号線の倒壊現場モニュメント。高架道路に押し潰されたトラックにあの日の光景が蘇える。地震発生からの状況がまとめられたパネルを見ながら進むと、いよいよ野島断層が眼前に。大きな自然のつめ跡に思わず息をのんだ。

保存館完成まで

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野島断層は六甲山から淡路島に至る「六甲淡路断層帯」の一部にあたる活断層で、兵庫県南部地震の活動により断層面が地表に露出、総延長は約10kmに及ぶとされている。このうち露出状況が顕著な旧北淡町(現淡路市)小倉地区については、その貴重性から震災後早い段階からビニールシートなどで現場が保存され、多くの実地研究が行われた。その後、北淡町震災記念公園として整備され、1998年4月に野島断層保存館がオープン。3カ月間で約100万人が訪れ、同年7月には国の天然記念物に指定されている。

その後、メモリアルハウス公開や震災体験館の完成など施設内容も多彩となり、今日も多くの訪問者に震災を問いかけている。

断層の特徴が凝縮

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140mにわたる保存エリア内の断層はさまざまな顔を見せる。見学の際には海側から山側を見ることになるが、山側に盛り上がる段差が露出した断層で、この付近では上下に最大50cm、左右方向に最大1.5mのずれが発生、山側の地盤が隆起したことを物語る。入口付近にはアスファルト舗装された道路が断層露出により破壊されている状況が生々しく残る。側溝が大きくずれていることからも、地震によるわずか数十秒の揺れの間に起きたことの凄まじさが伺える。

保存エリアの真ん中付近では、段差が2つ生じていることから断層が2つに別れている状況や、生け垣が左右方向にずれている状況などが残されている。あぜ道のずれの状況では、ずれる前の位置がポイントによっても示されていて分かりやすい。

出口付近では、断層の一部を掘り下げた溝(トレンチ)部があり、地中の様子も展示されている。斜めに地上まで走る断層が、地面の色が異なる状況などからはっきりと分かるのが不気味に感じられた。

強烈な印象を残すメモリアルハウス

メモリアルハウス 塀が斜めにずれている

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保存エリアの建物を出ると、その南側には屋外施設としての「メモリアルハウス」がある。まさしく断層のほぼ真上に建っていた住居がそのまま保存されたもので、庭先を断層が走っている状況がはっきりと分かる。内部も1階の台所付近が公開されており、地震発生直後の家具や食器などが散乱した様子が再現されている。

2004年に完成した震災体験館では、一般住宅の室内に起震装置が設置され、兵庫県南部地震の地震動をほぼ忠実に再現した揺れを体感できる。地鳴りやガラスが割れる音などにより、揺れると分かっていても動揺してしまうほどの揺れだった。

自然エネルギーの迫力を実感

阪神・淡路大震災は、神戸を中心とする都市直下型地震として大きくクローズアップされているが、地中には巨大な自然エネルギーが眠っており、それが日本各地にもあるのだと実感させられる施設だった。かの震災から干支が一回りした2007年、神戸で「都市復興」の意味を考えると共に、淡路島まで足を延ばして、自然の力を目の当たりにして頂きたい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 宝来英斗)

◆施設詳細とアクセス
野島断層保存館の開館時間は毎日9:00~17:00。原則無休だが、冬季に臨時休館となることもあり、サイトなどで事前に確認しよう。入館料は大人500円、中高生300円、小学生250円。保存館の周辺は入場無料の公園として整備されており、風力発電塔や震災モニュメントなどが見学可能。保存館に隣接して物産館があり、なまず料理が名物のレストランや土産物・地震対策グッズを販売するショップがある。

公共交通利用は、明石港からの「淡路ジェノバライン」が便利。最寄りの富島港からは徒歩15分ほどとなる。淡路島内移動には岩屋・津名・東浦から淡路交通の路線バスがあるが、本数が少ないので要事前確認。ちなみに神戸市内から淡路島方面への高速バスは複数路線あるが、いずれも経由しないため、島内路線バスとの乗換が必要になる。最寄りの震災記念公園前バス停から保存館までは徒歩3分ほど。

自動車の利用は、神戸淡路鳴門自動車道を利用、神戸方面からは明石海峡大橋を渡り淡路ICから、徳島方面からは大鳴門橋を渡り北淡ICからそれぞれ一般道を15~25分ほど。無料駐車場あり。

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