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防災コラムVol.55

家族の生命を守る耐震診断と耐震補強を急ごう

公開月:2006年2月

地震被害の軽減の切り札である耐震補強。自治体の助成を有効に活用しよう。

いつでも起きうる首都直下地震

2007年7月の新潟県中越沖地震は木造家屋の倒壊など大きな被害をもたらしたが、中央防災会議によると、首都で同規模の地震が起きれば最悪の場合、1万3千人が死亡、うち8千人が焼死、住宅においては85万棟が全壊または焼失するという。被害総額にして112兆円と試算する。また、マグニチュード7クラスの首都直下地震に前後して、M8クラスの東海地震が起きる可能性もある。東海地震はほぼ150年間隔で起きているが、前回1854年はわずか2年8カ月の間に小田原、東海、南海、江戸直下と4つの大地震が連続して発生した。既に今年で前回から153年が過ぎている。また、南関東への直下地震の切迫が指摘されてから20年、6434人が亡くなった阪神・淡路大震災からも12年が経過し、首都直下地震は明日起きてもおかしくないほど切迫している。

進まぬ耐震補強

平塚の防災まちづくり(2003年7月)

1階・2階とも倒れたり、2階が1階を押しつぶすなどして家が倒壊すれば、中にいる人間は下敷きになってしまう。阪神・淡路大震災の被害者が身をもって示した事実だ。がれきから火が出れば燃え広がり、倒壊を免れた家も燃えてしまう。そういった被害を避けるために進めなければならないのが耐震補強なのだが、遅々として進んでいない。国土交通省の推計では、全国約4700万戸の住宅の4分の1にあたる約1150万戸が耐震性に問題があるとしている(2003年現在)。耐震偽装マンションと同じ状態の住宅が山ほどあり、このままでは破局的な事態となる。住宅の柱を補強するなどの部分的な補強でも良いので対策を講じれば、後で悔やまずに済む。

いつ頃建てた住宅が危険か?

国の耐震基準がより厳しくなる1981年5月以前に建てられた住宅はまず危ないと考えた方がよい。この時期の住宅に住んでいる人は一刻も早く耐震診断を受けてほしい。マイホームに殺されてからでは遅い。簡易な耐震診断は3万円程度で済む。神奈川県平塚市では2万円の補助を受けることができるなど、助成制度のある自治体が続々と増えており、全額を補助する自治体もある。一方で、1981年5月以降に建てられた住宅は絶対に安全かといえば、必ずしもそうとはいえない。不安があるならば、耐震診断を受けてみよう。

業者の選び方

耐震診断の結果、耐震性が十分でないとされた場合には補強が必要となるが、何点か問題がある。まず、どの業者に頼んだらよいのか一般の人には十分な情報がなく困ることが多いだろう。とりあえずは、地元で信用のある業者を選ぶというほかにない。少数だが、この分野には悪徳リフォームや白アリ商法などを行う業者がいる。派手に宣伝している業者も要注意だ。新聞に広告が載っていたからといって安心できない。平塚市や東京都墨田区に続き、練馬区、愛知県安城市、福岡県福岡市などでも耐震協議会の設立の動きが進んでおり、これらの地域の人はこうした協議会に相談するのも良いだろう。

耐震補強の費用

耐震や環境、福祉などに貢献する小碁盤の製作風景

次に、耐震補強にはまとまった費用がかかる。最近は耐震診断の方法が変化して補強個所が増え、工事費用が高くなる傾向もある。NPO法人「平塚・暮らしと耐震協議会」の例では、かつては平均130万円程度でできていたものが、現在は平均200万円程度になっている。こうした費用の増額は高齢者には重い負担だ。幸い耐震補強助成制度を持つ自治体が増えており、工事費の2分の1までを補助したり、上限を50万円程度とするのが一般的である。

だが、一般の家庭にとってはまだ不十分であろうし、拡充が求められるところだ。古い木造家屋を補強し、一定の耐震基準を満たすには、数百万円の工事が必要となる場合が多く、実際には工事は行われず、最悪の状態が放置される結果となる。そうした事態にならないようにするため墨田区や足立区などが「簡易耐震補強助成制度」という制度を始めた。簡易耐震補強とは、「現状よりは耐震性がましになる」と判断される補強工事も助成の対象とするもので、一部屋だけや部分的な補強でも助成が受けられる。

備えていないなら行動あるのみ

大地震で死なないために耐震補強を是非とも多くの人にしてほしい。まだ地震への備えを何もしていないのであれば、まずは自宅の建築年月や傷み具合を調べよう。その上で耐震診断を申し込むなり次のアクションを起こすのだ。補強の方法は様々で、補強箇所や費用などは業者と相談してみよう。まずは行動あるのみである。当然だが、寝室の大きな家具を固定したり、それが無理であれば、その部屋では寝ないなどの基本的なことも忘れずに。

(監修:レスキューナウ 文:木谷正道 NPO法人「平塚・暮らしと耐震協議会」副理事長事務局長)

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