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防災コラムVol.70

暴風雪による停電

公開月:2006年3月

2007年11月、北日本と東日本の山沿いを中心に11月としては記録的な大雪を観測した。本格的な雪のシーズンに入り、暴風雪に対する警戒が一層必要となってくる。そこで今回は暴風雪によって発生する停電被害とその対策について紹介したい。

「ぼたん雪」に注意!

雪の中でも「ぼたん雪」が多く降っているときには停電に対する警戒が必要だ。「ぼたん雪」とは、空気が比較的暖かく、湿っているときに降る水分を多く含んだ雪のことで、サラサラな粉雪と比べ、物にくっつきやすい。そのためベタ雪ともいわれるが、これがたくさん降ると、多くの雪が付着することによって、電線が切れてしまうことがある。また、電線や道路標識から付着した雪が落下することがあるため、歩行などの際に頭上にも注意が必要だ。雪の量によっては自動車のフロントガラスが割れてしまうほどの衝撃がある。

強風による停電

気象庁HPの気象警報・注意報

強い寒気が日本列島に入り込むと、雪だけではなく風も強まる。このような気象状況では停電が発生する危険性が高まる。その原因と考えられているのが「ギャロッピング現象」である。「ギャロッピング現象」とは強い風が吹き荒れる中、重い雪が電線に付着することによって、電線が縦に大きく揺れる現象だ。この現象が発生すると、複数の電線が接触することによってショートが起こり、停電が発生する。

また、強風によって巻き上げられた海水と雪が電線に付着することによって漏電し、停電することもある。特に広範囲で強風が吹く場合には、海水が内陸部にまで達するため沿岸部以外の地域でも停電になることがある。

2005年12月22日に新潟県下越地方で発生した「新潟大停電」では、ギャロッピング現象によるショートと海水による漏電で、最長31時間にもわたって停電となった。

なお東北電力では、2007年11月29日に、停電が発生した地域での再発防止策を全て完了したと発表した。

気象情報から停電に備える

しかし、停電の発生を予測するのは困難であるが、気象情報を注意深く読み解くことで事前にその可能性について知ることはできる。例えば、気象庁が発表する「着雪注意報」は着雪によって災害が起きるおそれがある場合に発表されるが、その基準として「通信線や送電線などに被害が起こるおそれがある場合」と定めている。「着雪注意報」が発表されたら、その程度によっては停電するかもしれないと考え、心構えともに備えの確認をしておきたいところだ。

このほか、「強風注意報」や「暴風雪警報」が発表された場合には、停電の可能性が一段と高まることも知っておこう。

身の回りの備え

手回し充電式の防災グッズ

冬場の停電で困るのが、暖をとることができないことだ。日頃から電気ストーブやこたつを使用している家庭では、自家発電機を用意したり、カイロを多めに備蓄しておくとよいだろう。また、電気を使用しない石油ストーブや薪ストーブも有効だ。

車の中で暖をとる場合には、エンジンをかける前、マフラーに雪が付着していないか必ず確認するようにしよう。もしそれに気がつかずにエンジンをかけてしまうと、車内に一酸化炭素が充満し、命を落としてしまうことになる。

そして、「明かり」と「情報」の確保も必要だ。特に情報は正確な行動をとるために必要なので、ラジオを準備することをお勧めしたい。最近の防災グッズの中には、懐中電灯・ラジオ・携帯電話の充電装置が一つになっているものもある。日頃から防災用品をチェックし、足りないものを補充するといいだろう。

あまり降らない地域ほど・・・

雪国以上に注意が必要なのが、雪がほとんど降らない地域である。そうした地域は緯度では南側に位置し、冒頭で述べた「ぼたん雪」が積もる可能性が高く、ひとたび大雪となれば雪国よりも被害の影響が大きくなることがある。雪に不慣れな地域ほど雪害に対する備えが不十分なことが多いためだ。風雪によって停電が引き起こされることを知っておけば、日々の気象情報からその可能性に気づき、早め早めの対策が取れるのではないだろうか。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター専門員 三澤裕一)

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