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防災コラムVol.162

注意!身近なグッズに潜む「低温やけど」の危険性

公開月:2010年1月

本格的な冬の到来を受け、湯たんぽや使い捨てカイロなどを利用する機会が増えてくるが、同時に「低温やけど」への注意も必要だ。災害時においても、寒さをしのぐ有効なグッズだけに、その扱いには注意したい。

急増する低温やけど

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によると、NITEに通知された製品事故のうち「低温やけど」の事故は、1996年4月~2009年10月までの間に77件あった。NITEでは、2004年~2007年度の4年間では合計22件しかなかった事故が、2008年度だけで30件と急増していることや、低温やけどの事故が1月に最も発生していることなどから注意喚起をおこなっている。

「低温やけど」とは

「低温やけど」とは、44~50℃のものが長時間にわたって皮膚に触れることにより、筋肉などが壊死して起こるやけどのことである。一般的には、44℃の場合で3~4時間、46℃では30分~1時間、50℃では2~3分で低温やけどを発症するといわれており、やけどで一般的にみられる痛みなどの自覚症状を伴わないで発症することもあるという。(なお、そのときの体調によって状態は異なる)

症状としては、「皮膚の深部まで赤く腫れる」・「水ぶくれができる」といったものから、「皮下組織が壊れる」といった重傷事例まであり、中には植皮手術が必要になる場合もある。以上のことから、痛みが弱い場合でも早めに医師による診察が必要となる。低温だからといって決して安心はできない。

湯たんぽによる低温やけど

エコブームのためか、湯たんぽの出荷数は2008年度に約890万個に達した

エコブームで人気のある「湯たんぽ」。そのブームのためか、湯たんぽの出荷数は年々増加傾向にあり、財団法人製品安全協会によると、2004年度まで年間100万個程度だった出荷数量が、2008年度には約890万個となった。こうした背景のためか、湯たんぽによる低温やけどの事故が多発しており、使い捨てカイロや電気毛布に比べ圧倒的に事例が多い。以下、NITEが公表している事例を紹介する。

◆2006年12月12日(愛知県、20代男性、重傷)
(事故内容)
湯たんぽに湯を入れ、付属の袋及び別に購入した袋で二重に包んで足元に置き就寝したところ、ふくらはぎに低温やけどを負った。
(事故原因)
就寝前は接触していなかったものの、就寝中無意識に接触してしまい、そのまま長時間接触したため、低温やけどを負ったものと推定される。なお、取扱説明書には低温やけどに関する注意事項が適切に表示されている。

2005年1月29日(千葉県、30代女性、重傷)
(事故内容)
湯たんぽに沸騰直前の熱湯を入れ、付属の袋及びタオルの袋に入れて就寝中、低温やけどを負った。
(事故原因)
長時間接触して使用したことにより低温やけどを負ったものと推定される。なお、取扱説明書には低温やけどに関する注意事項が適切に表示されている。

以上の事例から分かる通り、湯たんぽを専用のカバーやタオルなどに包んでも、低温やけどを負うリスクはある。つまり、湯たんぽによる低温やけどを防ぐためには、湯たんぽはあくまでも布団を温めるための道具であり、体を直接温めるものではないという認識を持つ必要がある。なお、これは電気毛布についても同様である。

就寝前に湯たんぽや電気毛布などで布団を十分に温め、布団に入る段階で湯たんぽを取り除いたり、電気毛布のスイッチを切ることによって低温やけどを防ぐことは可能なのである。

高齢者・糖尿病・神経疾患を患っている方は特に注意!

健常者の場合、比較的早い段階で低温やけどによる痛みや熱さを感じることが可能だが、高齢者や糖尿病・神経疾患を患っている方は、感覚が鈍くなっていることから重傷化する可能性がある。特に上記の疾患を患っている方で、「湯たんぽ」・「使い捨てカイロ」・「電気毛布」・「電気あんか」を使用する場合は、使用する前に医師と相談することが必要だ。新型インフルエンザの流行もあり、感染防止のために体を冷やさないようにしつつ、低温やけどへの配慮も忘れてはならない。

共通する防止策

湯たんぽを付属の袋に入れて使用しても、低温やけどの危険性はある

低温やけどを防ぐためには共通した防止策がある。

「湯たんぽ」・「使い捨てカイロ」・「電気毛布」・「電気あんか」を…
1.肌に直接あてない。
2.同じ箇所に長時間あてない。
3.就寝時には使用しない。

以上の防止策を講じることによって、身近に潜む「低温やけど」へのリスクを少しでも軽減し、寒い冬を快適に過ごしていきたい。

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 三澤裕一)

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