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防災コラムVol.230

東日本大震災の過酷な現場に挑んだ活動報告(準備編)

公開月:2011年6月

2011年6月15日

これまでにも何度か、本コラム上に登場しているNPO法人国際ボランティア学生協会。 全国のボランティア団体も同様かとは思うが、彼らは、東日本大震災発災直後から、救命・救急活動・復旧活動を行っている。そんな彼らの活動を「準備編」「活動編」の2部構成でお伝えする

今、被災地に必要なマンパワーを擁する組織

国際貢献や環境保護、福祉活動、災害救援など社会のために自分のパワーと感性を活かしたい。そうした希望を持つ、首都圏と関西圏を中心とした学生が集まった組織がNPO法人「国際ボランティア学生協会」(本部事務局=東京・世田谷)である。IVUSAは、International Volunteer University Student Associationの頭文字をつなげ、「イビューサ」と読む。
IVUSAは1992年に国士舘大学が行った企画がきっかけとなり設立された。学生の夢を募集し、それを実現させようという企画で、「社会に貢献したいという希望を持つ学生が多いことに驚いた」と代表理事の下村誠氏がいうほど多数の社会貢献がしたいという応募があった。
そして、実際に社会貢献活動を行ったところ、「もっと活動がしたい」という学生達の熱意を受け、IVUSAはその歩みをはじめた。
以下、そんなマンパワーの塊とも言えるIVUSAから寄稿頂いた、貴重な活動報告を掲載する。

【寄稿】IVUSA活動報告

商業施設におけるIVUSAの活動の様子(新潟県十日町市)

東日本大震災発災から3ヶ月が経過し、警察・消防・自衛隊は懸命に行方不明者の捜索を行っている。6月9日現在、未だに行方不明となっている方は約8,000人、避難されている方は14万人を超えている。各自治体も頑張っているのだろうが、仮設住宅の建設も思いのほか進まず、現地の状況は発災時とさほど変わっていないのが現状だ。また、福島原発の事故は、前にも増して難しい状況になっているようである。このような状況にも関わらず、世間の関心は残念ながら薄らいでいる感があり、悔しさと寂しさを感じずにはいられない。
現在、IVUSAでは、この震災に対するボランティア活動参加者の募集を行なっているが、プレスリリースを行なったマスコミも、さらにツイッターでも告知を行なっているが、それに対する反応も極めて低く、震災は一般の人たちにとって、徐々に過去のことになりつつあるようだ。さて、3月11日の発災から、IVUSAではこの災害の対策本部を立ち上げ、事務局、担当学生は怒濤のような生活が始まった。これまでの活動の経過を、裏話を交えて報告する。

3月11日14時46分頃、大地震発生。東京世田谷区の事務所にいたIVUSA危機対応研究所の宮崎所長は、大きな揺れの中、冷静な対応で棚の上に並べられたものを押さえていた。
安否確認システムと電話やメールを使った連絡網で会員の安否確認を開始。このときIVUSAはバングラデッシュで環境活動、また、新潟県十日町市でお祭りの手伝いなど地元の方々との協働活動を展開中であった。事務局・幹部学生が手分けをして、活動を行なっているそれぞれのチームに連絡。状況説明と共に、参加者の安否確認、家族の安否確認を行うよう指示した。また、遅れて十日町市の活動に参加するため移動中だった池田事務局員は東京駅で被災。その後、帰宅難民となり6時間ほど歩いて世田谷の事務所に到着。

この日の夕刻、事務局、担当学生が集まり災害対策本部会議を開催。この震災が広範囲であり、さらに地震・津波・原発事故の三重災害であること。初期の災害救援活動にあたっては、前述の3点に余震等を考慮して、学生の参加を見合わせることとし、事務局員・卒業生で災害救援の初動である、救命・救援(物資の配送等)活動を行うことを決定。準備に入った。

翌日未明3時59分、長野県北部・新潟県中越地方で、震度6強の地震が発生。十日町市協働活動に参加していたIVUSA学生150名が被災。宿舎から市の施設に避難した。さらに5時42分にも震度6弱の地震が発生し、この日行われる予定であった雪原カーニバルの中止が決定した。この日は、地震によって作動したスプリンクラーで水浸しになったユーモール(商業施設)の復旧活動を行い、翌日、全員無事に帰京した。

震災以降、すべてのテレビ局が被災状況を中継。そこからは世界が驚愕した津波の映像が流れていた。広範囲な被災地域の中からIVUSAとしてどこへ行くのか。マスコミ情報とIVUSAネットワークで現地入りしている個人・団体からの情報と、さらに原発問題等を考慮しながら、第一次隊として宮城県石巻周辺への救援物資の配送を決定。そこから救援物資の調達(水・毛布・炊き出しの食材)、さらに輸送手段とドライバー等の作戦計画の策定と物資調達を開始した。

そのような中、卒業生が勤める株式会社カーブスジャパン(フィットネスクラブ施設を運営)から「ペットボトル330ml、6本入り2400ケースを提供できる」また、同じく卒業生の長岡市議から、「新潟県長岡市のバックヤードセンター等から救援物資と毛布・ガソリンを提供できる」と連絡が入る。さらに、東京のスーパーなどでは物資が買い占められて不足していたことから、炊き出し(豚汁)の材料となる食材を、同じく卒業生の新潟県十日町市職員2名に依頼。その他、企業に交渉し、消毒液や使い捨てカイロ等を協賛いただいた。

これらの準備に発災から連日関わっていた事務局・学生たちの慰労と体力増強を兼ねて、この日は事務所で「焼肉」をやることになる。意気込んでスーパーに買い出しに行くと、そこは野菜も肉もすべてが売り切れ。見事なくらいスーパーの棚には何もなく、側にいた若い客が空の棚をバックに記念写真を撮っていた。それにしても、迅速な対応というのか、大衆心理というのか、見事に何もない。焼肉を期待していた学生たちは、ひどく落胆していたが、東京の物資不足は深刻だった。

今なお、足りないマンパワー

以上が、IVUSAの活動報告「準備編」である。
なお、被災地は今現在、より一層のマンパワーを必要としており、IVUSAでは、6月以降の活動も予定している。会員外の参加者募集も行っているので、興味がある方々は下記「災害ボランティア隊員募集」のページをご参照頂きたい。

(監修:レスキューナウ 文:国際ボランティア学生協会)

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