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防災コラムVol.268

「情報」を正確に理解しよう-次の災害に備えるために

公開月:2012年3月

来るべき災害に対して、私たちにはどのようなことができるのだろうか。

災害の脅威はいつでもある

次の災害への備えとして、私たちは東日本大震災から多くのことを学ぶ必要がある(画像:津波の被害を受けた福島県いわき市四倉)

2012年3月11日。東日本震災から1年が経過したこの日、被災地の各地では追悼式典が催され、1年前の出来事を改めて見つめなおす日となった。
しかし、いまだに収束の気配がみられない余震活動や、東北地方太平洋沖地震による大きな地殻変動で、強い地震が誘発されている現状がある。
2012年3月14日には、三陸沖と千葉県東方沖でM6.0クラスの地震が相次いで発生。三陸沖の地震では津波注意報が発表され、千葉県東方沖の地震では最大震度5強を観測した。
つまり、強い地震や津波の脅威は依然として残されている。また、日本は気象災害に見舞われることが多いことも認識しなければならない。来るべき災害に対して、私たちは何をすればよいのだろうか。

緊急地震速報発表-瞬時に身の安全を確保!

2007年10月1日から本格的な運用が始まった「緊急地震速報」。東日本大震災以降、テレビ・ラジオ・携帯電話などで見聞きする機会が増えた。しかし、予測震度よりも大幅に小さい地震でも発表されるケースがあるほか、直下型地震の際には緊急地震速報が発表される前に本震がきてしまうこともある。このように技術的な限界があることも事実だ。
ただ、地震が発生したことに変わりはない。そのため、緊急地震速報が発表された場合は、身の安全を確保するための行動をとることが重要であり、外れた場合であれば「訓練ができてよかった」と前向きに捉えればよい。
震災以降、緊急地震速報が多い頻度で発表されているため、速報が発表されること自体に慣れてしまったかもしれない。しかし、その「油断」が大きな落とし穴であり、命を落とすことにつながるのだ。

「津波」を正しく理解しよう-50cm程度の高さでも流される!

津波で押し曲がったガードパイプ(画像:福島県いわき市四倉)

東日本大震災では多くの方が津波の犠牲となった。津波に関する情報について、気象庁や報道機関では、その伝え方に課題があったとして見直しを行っている。一方で、私たち住民側も津波について正しく知ることが必要である。
津波注意報の発表基準となっている「高さ50cm程度の津波」。この情報を聞いて、すぐに避難する方はどのくらいいるだろうか。「50cm程度なら大丈夫」と捉える方もいるかもしれないが、その考えは自分の命を危険にさらす可能性がある。なぜなら、50cm程度の津波でも、簡単に流されてしまうからだ。
津波は、海底から海面までの海水が大きな塊となって、勢いよく陸地へ迫る波のことである。沖合から陸地へ向かって次から次へと海水が流れ込むため、50cm程度の津波でも、激流の川に足をつけるのと同じような状況になる。大津波警報レベルの「高さ3m・6m・10m」の津波ともなれば、木造家屋が簡単に流されてしまうことは容易に察しがつく。

気象庁から津波に関する情報(大津波警報・津波警報・津波注意報)が発表された場合は、即座に安全な高台へ逃げることが、命を守ることにつながるのだ。

地震・津波だけではない-気象情報を理解しよう!

東日本大震災から1年。福島・いわき市の公共施設では亡くなれた方々の冥福を祈るキャンドルが準備されていた(2012年3月11日の様子)

東日本大震災の発生を受け、地震や津波に関する情報に関心が集まっているが、気象災害が多いのも日本の特徴である。2011年は新潟・福島・紀伊半島など各地で記録的な大雨があったことはまだ記憶に新しい。また、いわゆる「ゲリラ豪雨」と呼ばれる突発的に発生する雷や突風を伴った豪雨が、ここ数年で毎年のように発生し、竜巻の発生件数も増加傾向にある。 気象庁では、昨今の気象現象に対応する形で「土砂災害警戒情報」や「竜巻注意情報」の発表を行うなど、新たな情報の提供を始めている。一方、私たち住民側に求められるのは、自身の安全を図るために、それらの情報がどのような場合に発表されるのかを、事前に把握することだ。気象庁ホームページには、各気象情報の詳細が掲載されているので、調べる際には是非参考にしてほしい。
情報の詳細を調べることなく、「発表された情報が分かりづらい。もっと分かりやすい情報を」という受け身の姿勢だけは、どうしても避けなければならない。

防災・減災を実現するためには、私たち一人ひとりがその情報の意味を的確に把握し、災害に関する知識を正しく理解することが重要である。
「これまで○○だったから大丈夫」・「予想はいつも外れるから・・・」などのように、楽観的な考えのもとで行動してはならない。その意識が「万が一」の際に命を落とすことにつながるのだ。常に最悪の事態を想定し、気象庁や自治体から発表される最新の情報に耳を傾けてほしい。

 

(文・レスキューナウ危機管理情報センター 三澤裕一)

参照:気象庁ホームページ

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