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防災インタビューVol.159

人と輪を ~防災のまちづくり~

放送月:2018年12月
公開月:2019年6月

葛西優香 氏

HITOTOWA
執行役員/防災士

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

1995年、私が小学校2年生の時に阪神淡路大震災が起こり、大阪府豊中市で被災しました。その後、大学生の時にJR福知山線で電車を待っていた時に、尼崎脱線事故が起こりました。その時は「大きな事故があって電車が来ない」ということしか分からず、脱線事故だったということ、身近な友人もその電車に乗り合わせていたことも、後で知りました。そして、大学を経て社会人になって東京に出てきていた2011年に東日本大震災が起こりました。当時、株式会社リクルートに勤めておりまして、31階のビルにいて大きな揺れを感じましたが、阪神淡路大震災の揺れを経験していたので、「ああ、何か揺れているな」というぐらいの感じで非常に冷静でした。その時に上司が、部下を置いてひとりで逃げて行ってしまい、その現実を見た時に、「ああ、もし東京都内が震源地の大きな地震が起きたら、もう大変なことになるな」と実感しました。それまで一生懸命生きてきた人たちが、大きな地震によって人生がその日で終わってしまうのは、とてももったいないことだと思います。その時、阪神淡路大震災や尼崎の脱線事故を知っている自分が何かしなくてはいけないという使命感を感じました。災害に対して備えていれば、命は助けられると強く思い、そのためにも「防災」について備え、それを発信していこうと思って転職しました。まず、ラジオで災害に備えるために、葛飾FMという防災のラジオ局に転職しまして、防災について発信するためにまちを回っていました。

実際にまちを回っていると、災害直後、ラジオを聴いて災害に対処することも大切だけれど、それ以前の問題として、まちの人々にお互いに助け合うというつながりがないと感じ始めました。ちょうどその時に、以前リクルートにいた時に営業先で会った、コスモスイニシアという会社出身の社長が立ち上げている「HITOTOWA」という会社に出会いました。このHITOTOWAというのは、「人と輪を作って、災害時にも助け合えるようなまちを作りましょう」ということを目指して、まちづくりの仕事をしている会社です。私は、まず人と人のつながりを作ろうと思い、この会社に入りました。まず第一に人と人とのつながりを作り、その後にラジオで発信して、自分の夢をかなえていこう、皆さんにきちんと防災を発信していこうということで、今もHITOTOWAでまちづくりの仕事をしています。

コミュニティ作りから始まるマンションの防災

新築マンションが建ち上がっても、そこでなかなかコミュニティが築けないとよく言われますが、そのような中で、私たちHITOTOWAでは、いろいろなプログラム、イベント、講座を用意して、住民による防災組織作りをするための伴走支援をさせていただいています。マンションに住んでいる方々も、防災について何かやらなくてはいけないと思いながらも、何からやってよいか分からない、今はいろいろなことで忙しいということで、防災が後回しになってしまうことがよくあります。しかしながら最近は、北海道胆振東部地震や大阪の北部地震によって、防災について何かしたいという機運が高まってきています。それまでもHITOTOWAでは、マンション管理組合の方々に対して、防災の取り組み、防災のワークショップなどを企画して発信はしていたのですが、80戸のマンションなのに参加者は5組だけというように、非常に参加者が少ない状況が続いていました。現在は20組以上の応募があるということで、だいぶ皆さんの意識が変わってきたと感じています。

実際にマンションでワークショップを開催していて、マンション住人の方がよく言われるのが、「何から始めればいいか分からない」ということや、年に1回管理組合としてやらなければいけない訓練についても、いつも内容が同じで飽きられてしまうということです。このような中で、実践的にマンションに住んでいる方々に防災について考えてもらう方法を現在HITOTOWAでは検討しています。何をどういうふうに実践的に伝えるかというと、やはり災害が起きた直後の安否確認の方法をどうするのかというルール決めを細かくしていくことだと思っています。10階建てのマンションで発災直後に安否確認をしようとした際に、理事長が全戸を回って確認しようといっても、その時に理事長が留守をしているかもしれませんし、理事長1人で回っていたら実際に難しいし、けがをされた方がいたとしたら、回っていくのに時間がかかってしまって、状況が悪くなってしまうことも考えられます。

そこで、1階から5階までというように細かく分けて担当を決めていき、担当が留守をしていた際はどうするか、もし事前に決めていた人が誰もいなかったとしたらどうするかというように災害に対しての対処方法を細かく想定して考えていった上でルール作りをしていくことを、各マンションで意図的に進めています。

今までは、災害が起こった際には、管理会社の人が助けてくれるだろうと思っていた住民が非常に多くいました。管理会社の方も正義感で「分かりました、助けます。助けに来ます」と言ってしまいがちですが、管理会社もたくさんの物件を管理している中で、実際に災害が起きたときに、すぐそのマンションに来ることは不可能です。ですので、管理会社から住民の方に、「大災害後、すぐに助けに来ることはできません」ということを、勇気を持って住民の方に話していただきたいと思い、管理会社向けの防災セミナーも開催して、そのことを伝えています。具体的な例としては、西新宿に60階建てのタワーマンションができましたが、そこには多国籍、他世代の方が住んでいます。そのマンションは再開発で作られたところなので、もともとから住んでいた地権者の高齢の方もいますし、そこに新しい住民の方も入ってきています。このような中で、各階ごとに交流を持つことを目標に定期的にワークショップを開催していくために、現在話し合いを始めています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。