ご近所 de BOSAIの活動について
東日本大震災から3年経過した頃、空気が変わってきたよねと周りの人と話をしていました。被災地のものを買うという支援の仕方もありますが、やはりそれだけでは甚大な犠牲が無駄になってしまうのではないかと、とても心が痛くなりました。
私自身も神戸の大地震で学んだことを一生懸命やってきたので、自分で自己満足で防災対策を行うのではなく、PTAや町会の会員でもあるという経験を活かし、周りの人を繋ぐようにして防災のグループを作り、みんなで何かやってみようという思いからご近所 de BOSAIの活動が始まりました。
私たちは、東日本大震災の教訓を忘れていないことを伝えるために、3.11から「11ポーズ」というものを作りました。このような事を伝えるだけでも、ささやかな心の支援にならないかと考えました。備蓄品を食べてコンテストをするところから始まった団体で、2023年11月でちょうど10年目に入ります。
初期のメンバーは文京区ばかりではなく、今も半分ぐらいは南相馬や仙台など様々な場所から参加されていますが、12名から15名が文京区のメンバーです。主婦の方も当然いらっしゃいますが、その他にも災害ボランティアを長くやってこられた方や、中国から移住して来られた方が加入してくださったおかげで、日本に居住していても日本語があまりできない方がいっぱいいらっしゃって、お子さんが通訳をしているという方の状況もよくわかるようになってきました。
最初は備蓄品を食べている団体だと言われていましたが、だんだん人数が揃って様々な話をするようになり、「私たちの不安は何だろう」と考えたときに、ほぼ全員の意見が「同時多発火災」であると一致しました。それからは、同時多発火災に取り組み、ちょうどコロナの頃に、同時多発火災が起きる原因は住宅火災だと学びました。大阪北部地震でも、住宅からボヤが発生していました。また、家具の転倒対策も、地味ではあるけれど災害時には本当に重要なことなので挑んでみようと、コロナ禍でオンラインでの活動の際には、家具転倒対策について取り組みました。その後は、家具転倒対策ではなかなか伝えきれないところがあり、現在は通常の怪我にも対応でき、病院が全部閉まってしまうような大災害時も自分たちで自分たちの命を守ることができる応急救護について、1つのプロジェクトとして始めようとしているところです。
ソングde BOSAI
「ソングde BOSAI」という歌を作りました。私ひとりで作ったものではなく、文京区で長年防災に取り組んでいるリーダーや、民生委員の方、ペット防災に携わっている人、防災に関心があるお母さん方と話し合って「直下地震の時に何をしたらいいんだろう」ということをテーマに、学んだことを歌に込めて作成しました。
以前、神戸市の消防隊員だった方が「生き埋め状態になった人を1時間でも早く救助して、その後の医療的ケアに繋げないと目の前で亡くなっていってしまう」と涙目でお話しして下さいました。生存率が下がるのは被災から72時間以降だと認識していたので、とても驚きました。近所の災害看護師の方にも参加いただきみんなで勉強してみると、やはり強く圧迫された場合は、1~2時間で救出して医療に繋げないと救助しても目の前で亡くなってしまう可能性が高いことが分かりました。これは本当に消防や自衛隊が来る前に、ご近所でなんとかしなければいけないと思い、地震発生直後のやることを歌詞に込めました。
神戸で発生した大地震のデータでは、救助のエキスパートに助けられたのはたった1.7パーセントでした。家族で助け合うか、自分で出てくるか、あるいは通りすがりの人や友人が駆けつけて3割強の人が助かったとのことです。
1番の歌詞には、「揺れの後すぐ自分の身を守る」という行動について、2 番の歌詞には、「地震から10分後ぐらい」の行動について入れ込みました。地域の防災ガイドには、1~2分で揺れがおさまったら、家族の安全を確認すると記載されています。当然重要なことなのですが、実際に関東大震災では、3分・2分・2分と10分間で強い揺れが3回も発生し、揺れがおさまって安心した頃にまた地震が来ました。土地の特徴として関東平野は揺れやすい場所であるため、揺れが落ち着いてすぐに、子供が母親を探して駆け出してくるのはとても危険です。子供部屋にも、軍手やスリッパ、頭を守るヘルメットなどを用意しておいて、揺れが落ち着くまで、「お母さんは無事だよ、ここにいるよ。揺れが収まるまでそこで待っていてね。」などと子供に声をかけ、駆け出さないようにしましょう。
3番目の歌詞には、「地震から1時間後ぐらい」の行動として、ご近所の皆さんと声を掛け合い、無事を知らせることを入れ込んでいます。全国でも行われているところも多いのですが、災害が起こったときに無事であることを近隣住民や周りに伝えるために、玄関や郵便受けなどに黄色いタオルなどを掛けて無事を知らせます。関東大震災の際には、被害の把握ができないため不安になりデマが発生したり、事件が起こってしまいました。少しでも早く被害の確認ができるように、実態調査に協力することは住民がすべきことだと思い、私たちはイベントの時、いわゆるメモリアルデーと言わていれる1.17や3.11などの日に黄色いものを掲示する練習をして、いざという時に備えています。
ソングde BOUSAIはYouTubeで公開していますので、検索すれば聴くことができますので、ぜひ聴いてみてください。