熊本地震での災害支援活動
2016年に熊本地震が発生したのは、私が仕事を立ち上げた1~2ヶ月後でした。防災を広げたいという思いで起業したのですが、これだけの大きな災害が発生してしまったということで、早速現地に入らせていただきました。最初に携わった活動は避難所運営でした。
熊本市の男女共同参画センターハーモニーという施設に拠点避難所が開設されました。この避難所は、1つのフロアを除いて女性専用避難所という機能を持っていました。市の職員や熊本市民病院の看護師さん達と共に運営に携わらせていただいたのですが、この時に避難所の実態、現場の状況について経験させていただき、今の活動にもたくさん活かされている部分があると思っています。
その後、被災した障がいをお持ちの方々の支援をする団体が現地に立ち上がり、そこに2年間ほど携わらせていただきました。「被災地障害者センターくまもと」という団体なのですが、2017年の夏頃には正規職員を兼務しながら、全国から集まるボランティアのコーディネートにも携わらせていただきました。
障がい者支援に携わり、全国から気持ちのある方々がたくさんボランティアに来てくださり、障がいをお持ちの方々、そしてそのご家族の皆さんのために片付けの活動などに関わっていただいたのですが、この活動を通してとても大きな課題だと感じることがありました。ボランティアに来て欲しいと連絡をいただいた方々には支援を繋げることができたのですが、そうでない方々がきっと埋もれているのではないかと感じました。いろんな支援が集まり、地元の皆さんも頑張っているのですが、そういった支援の網目からこぼれ落ちるような方々がきっとたくさんいるのだろうなと思います。でも、そういった方々に繋がることが、民間の力だけでは限界があると強く感じました。
最近は、行政、社会福祉協議会、そして民間の団体の三者連携という言葉もありますが、三者連携の名のもとにきちんと体制を作って、誰1人取りこぼさない仕組みを作ることに力を合わせていかなければいけないなと現場に入って学ばせていただきました。
災害が起こってしまった後については、もうその状態からなんとかやっていくしかないと思いますので、次に大きな災害が起きて現場に入らせていただくことがあった際には、誰1人取りこぼさない仕組みを現地で作りたいと感じながら過ごしていました。
西日本豪雨被災地での活動~災害ケースマネジメント
2018年の7月に西日本豪雨という大きな水害の被害が発生しました。当時、岡山県や広島県など各地で大きな被害が発生していましたが、私が向かった愛媛県も大きな被害をもたらした地域がたくさんありました。愛媛県の西予市に入らせていただきましたが、愛媛県内でも、高速道路から降りてから、かなり車を走らせないと現地に入れないような地域でしたので、最初は全国からの支援が集まるような仕組みを作らせていただくことを目標に入ったという状況でした。
当初は、西予市の社会福祉協議会が開設した災害ボランティアセンターの運営支援をやらせていただいて、ボランティアさんの受付から現場につなぐ作業や、社会福祉協議会の皆さんやケアマネージャーの職員さんと一緒に協力をしながらヒアリングのため住民宅を訪問し、どのお宅にどんな支援が必要なのかを調査するという仕組みを作ることにも参加させていただきました。
その流れの中で、さらに、地域支え合いセンターという組織を立ち上げるという話になったのですが、専門用語で災害ケースマネジメントというものがございまして、「災害が起こるとこういうことに困る」とか「こういう課題が出る」ということをまとめられてはきていると思うのですが、結局のところ個別に1人1人きちんと確認をしていかないと、具体的に誰がどんな困り事があるのかということがきちんと把握ができません。まず、そういったところを掴む。そして、ご自身の力で再建をしていける方はそれでいいのですが、ご自身の力だけでは生活再建や日常を取り戻すということが難しいという方が、災害という状況なので当然たくさんいらっしゃいます。その地域支え合いセンターというのが、生活支援相談員といった名称で新しく職員を雇用して一緒に訪問活動をしたり、仮設住宅の集会所でイベントなどを開催して、参加された住民1人1人の困りごとを掴んでいくということをはじめたので、アドバイザーという形で2年間ほど活動させていただきました。
後ほどお話しますが、2024年に発生した能登半島地震での支援活動の基盤になっている、災害ケースマネジメントという視点からの支援をさせていただきました。