1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 防災の輪を広げる仕掛人
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.231

防災の輪を広げる仕掛人

放送月:2024年11月
公開月:2025年6月

小野 修平 氏

ジョージ防災研究所 代表
防災アドバイザー

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

中高生が小学生向け防災講座の企画をする

私の地元は東京都の西東京市なのですが、その西東京市の公民館で「小学生向けの防災講座」を行っています。この講座は、中学生や高校生が主体となって企画をしていくという取り組みです。これは世代関係無く課題になっていると思うのですが、一般的に公民館に来て活動をするということが、なかなか機会がないのかなと思うのですが、特に小学校高学年以上になってくると、全く公民館に行かないという状態になってしまうこともあります。

その中でも、中学生や高校生は地域でボランティア活動をしてみたいといった意欲があることをずっと前から感じておりました。私自身もこの仕事に携わらせていただくきっかけとなったのは、小さい時から地域の様々な活動に関わらせていただき地域の皆さんに育てていただいたことだと思っています。その中学生や高校生が地域で関わりたいと思っているところに着目し「小学生向け防災講座を企画するボランティアを募集するんだけどやってみませんか」と、地域の学校に募集をかけるという取り組みをはじめ、2024年で3年目となりました。毎年15人から20人程応募していただき、最初にボランティア説明会という形で中学生にお話をさせていただきました。その時に中学生だった参加者が卒業して高校生になっても、引き続き関わってくれているので中高生と一緒に活動しているのですが、最初の説明会で「ボランティアのイメージってどうですか?」と聞いてみると、「大人に言われた仕事を言われた通りにするのがボランティア」と回答がありました。間違いではないのですが、自分でチャレンジが出来る場だというイメージを持っていないのだと感じました。

この講座の企画では「ボランティアはそのイメージとは全く逆だよ」という説明をします。本番当日だけ参加するのも良し、準備会から関わるのも良しで、出られる時に参加すればいいし、参加時間は自由で「休みます」という連絡も間に合わなくても問題ないというスタンスで実施しています。私自身、教育学部に通い元々学校の先生になりたいと思っていたのでついつい口を出したくなるのですが、公民館の職員さんと一緒に出てきそうになる言葉を押し込めて、活動を黙って見守ろうという形で取り組んでいます。

講座に参加する小学生にとっても、年の近い中高生が進行をしていくので、親近感が湧いているようです。スタッフ資料から当日のスライド資料、チラシやクイズのパワーポイントも全部中高生が作っています。その頑張っている姿は、見ている保護者の皆さん、そして地域の皆さんに「私たちも頑張らなくちゃね」という気持ちにさせてくれます。防災対策という細かい部分もそうですが、それだけではなく、みんなでこの地域防災に関わろうという繋がりみたいなものが、中高生が主体となって活動していくことによって広がっていくのを感じています。

防災のイメージを広げる

「防災対策」という言葉に対して多くの方が抱くイメージは、家が潰れないように家屋を耐震化しよう、室内も安全な空間にしよう、トイレ・水・食べ物といった物を備蓄して備えよう、というものだと思います。私自身も防災講座でそのような話をしてしまいますし、もちろん大事なことで欠かせないことなのですが、みんなで力を合わせて取り組んでいくという人の繋がりなどにも併せてアプローチしていくことも必要です。そういったソフト面に対してどのように充実させていくのかということを、もっともっと広げていくことが、日本の防災で今後も力を入れていかなければならない重要なポイントであると感じています。

また、災害現場で活動をしていると、防災についての講座などで伝えていることと、住民の皆さんの実際の困りごとが大きく乖離していると感じる場面がたくさんあります。

被災した現場で起こっていることをきちんと論理立ててまとめて、平時の防災の場に繋げていくという人材がなかなかいないというところも一つの課題として感じています。

毎年、各地で大きな災害が起きてしまっているので、災害現場により関わっている方々は、どうしても平時の防災につなぐ活動が疎かになりがちであると心を痛めていらっしゃいます。現場での教訓などを平時に繋げるという役割も必要だなと思い、私も微力ながら貢献していきたいと考えております。

災害というのは、生活の全てに影響があるので、どんなところからアプローチをしてもいいのではないかと思っています。皆さんの関心を示される場所も1人1人違うと思います。関心があるところにうまくマッチした時に、災害のことも見据えて日常生活を工夫していこうかな、いろんな対策をしていこうかなと思えるようになると考えています。

先ほどから「防災のイメージ」というキーワードを使ってお話しているのですが、「防災のイメージ」を変えるというよりは、広げるというイメージで取り組んでいきたいなと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針