プロフィール
私は東急株式会社に勤めております。生活サービス事業部という東急線沿線の方々に様々なサービスを提供し、お客様により豊かになっていただこうという事業部なのですが、その中で主に危機管理を担当しております。
1978年に東急電鉄株式会社に入社して、鉄道部門の自由が丘駅に配属になりました。
入社当時は駅業務を簡単に考えていたため、業務の覚える事の多さに驚きました。例えば、改札口の業務だけを見ても、東急線をはじめ乗り入れしている路線の駅名と運賃を全て覚え、当時は手作業での精算でしたので、瞬時に暗算で計算をする必要がありました。
また、鉄道事業としては田園都市線の車掌や東横線の運転士等を9年程経験し、安心や安全について学びました。その後、人事部の社員教育を行う部署に異動の辞令が出たのですが、これまで教えてもらうことはありましたが教育をする側の経験はあまりなかったので大変驚きました。この異動は、リーダーシップのあり方や職場のコミュニケーションの作り方、仕事の教え方など、様々なことを学ぶ機会になりました。
BCP推進担当へ
その後、スポーツ事業を担う役割となり、スポーツクラブ・テニス倶楽部・嶮山スポーツガーデン(現在のあざみ野ガーデンズ内にあるスポーツ施設)の支配人など第一線の責任者として稼ぐ事を経験し、これまで培った経験を活かしながら各事業所の利益向上を実践しました。このような経験をさせていただき、その後、現在の生活事業部門に移り、関連するグループ会社を含めてBCPの推進を担う業務を任されました。BCPとは阪神・淡路大震災や東日本大震災等の未曾有な大災害が起きている中、企業として大災害に遭遇しても事業継続が素早くできるように事前に備えて、有事の際はすぐに動けるようしていくための計画をするものです。私自身、何をどこから手をつけていいのか全くわからないところから始まりましたので、とりあえずマニュアル通りのBCPを作りかけておりました。
そんな時に、このサロン・ド・防災でも良くお話されてらっしゃいます、跡見学園女子大学 教授、そして一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会代表理事の鍵屋一先生の講演を聞いた時に、私の悩みがぱっと消えました。鍵屋先生は「大規模地震は必ずやってくる。BCPの計画だけ作っても役に立たない。誰もが初動で動けるように考え、訓練をすることが大事である」といった事を分かりやすくお話いただきました。これをきっかけにモヤモヤが晴れ「そうだ!私のやるべきことは、誰もが動けるように準備をして訓練し、一人一人に気づきをもたらすことだ」と認識しました。そのために考えたツールがこの後お話しする「スタートキット」です。


