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防災インタビューVol.225

人命を守る車止め~抑止から阻止へ~

放送月:2024年5月
公開月:2024年10月

奥田 浩也 氏

帝金株式会社
代表取締役社長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

滋賀県大津市の事故

2019年5月8日に滋賀県大津市の県道交差点で右折車と直進車がぶつかり、巻き添えで 保育園児ら16人が死傷したという悲しい事故がありました。事故は午前10時頃、同市の大萱(おおがや)6丁目交差点で起きました。右折車と直進車が衝突して、散歩中で歩道にいた園児の列に直進者が突っ込み、園児2人が亡くなって、園児11人と保育士3人が重軽傷を負いました。

その事故以来、マスコミやお施主様などから問い合わせを多くいただくようになりました。例えば、「車止めなので車は止まりますよね」とか、「もちろん実車試験はしておられますよね」というような質問がありました。実は日本で設置されている車止めの大半は抑止であって阻止することはできない商品が多いのです。「ここから入ってはいけませんよ」という目印のようなものなのですが、車止めというネーミングによって『車が実際に止まる』と誤解されてしまうのかもしれません。

例えば、支柱がとても太くて、一見頑丈そうに見えても、地中のコンクリート基礎が小さければすぐに転んでしまいます。実際は「車よけ」というネーミングがいいのではないかと思っています。

事故を受けての商品開発

大津の事故以来、社内一丸となって「人命を守る車止め」の開発に急ピッチで取り組みました。失敗を繰り返しながら、今では時速40㎞の普通乗用車(重量約1トン)を1本で止めることにようやく成功し、「耐衝撃性車止め・ハイパーボラード」という商品を2019年12月に発売しました。事故からわずか7か月というスピードで開発し、施工性も良く施工業者様からも好評です。私共のホームページに動画を載せていますので、ぜひご覧ください。

多くの悲しい事故がございましたので、弊社としても安全に特化した新しい商品を開発することが使命だと感じております。

耐衝撃性車止め・ハイパーボラード

耐衝撃性車止め・ハイパーボラードの高さは80センチ程度で、直径は大体10センチほどです。今までのものは中が空洞でしたが、耐衝撃性車止め・ハイパーボラードは、空洞部分に特殊なユニットを入れることによって強度を増しています。また、強くするのはいくらでも強くできてしまいますが、太ければ太いほど今度は人が通行しにくくなるという問題があります。そこで私共は、できるだけ細く施工しやすく強度があるというものを開発しました。

事故防止もそうですが、信号待ちをしている人だけではなく、車の乗員の安全ということも必要です。車を運転している運転手もわざと歩行者に向けて突っ込んでいるというわけではありません。軽自動車は強すぎる衝撃で大破してしまいますので、その辺りも考えて、衝撃を吸収し倒れながら止めるということを課題として商品作りを行いました。

実際に、ハイパーボラードで車を止めることができたというケースがたくさんありますが、その報告を受けた時にまず気になるのは、乗車している方は大丈夫だったかなということです。実際にスタントの方に車に乗っていただいて試験していますので安全性は確認していますが、心配事のひとつです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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