防火と防災
弊社は、火災予防、消防設備をメインとした事業で創業し、消防設備の点検と消防設備の工事、消防法で決められている法定点検や工事も行っているのですが、これは全て火災予防にまつわるものです。火災予防の点で事業を行っている我々が防災に対しても、建物の安心・安全を提供していくというのはとても価値があることではないかと思っています。
例えば、法律で実施が決められている消防訓練では、消火器の使い方や火事が起きた時の警報音の確認、実際に避難するという訓練を行います。この訓練と一緒に防災訓練も実施する、消防に加えて防災に関しても学ぶなど、防火と防災をセットで考えていくことがとても大事なことだと考えています。実際、自然災害で地震などが発生した場合にはセットで火災も発生しています。
初期消火で使用する設備は、消火器や消火栓などを含めて様々なものがあります。このような事を知っていると、実際にこれらの設備を使って消化作業をすることができ、とても効果のあることだと思います。総務省消防庁でも、初期消火が可能であれば行ってくださいと謳っていますので、広く知っていただくことが大事なことだと思っています。
お住まいのマンションや、働いているオフィスビルや工場、様々な建物で消防訓練が行われていると思いますので、ぜひ参加していただきたいなと思います。実際に消火栓の扉を開けたことがない人がほとんどだと思います。中にホースが入っていて、バルブを開けて水を放出するのですが、慣れていないといざという時に使えないと思いますので、地域の防災イベントなども含めて積極的に参加していただきたいと思います。
火災予防と防災をセットに
消防設備や火災予防というのは、基本的に消防法という法律で考えられています。特にこの火災予防に関しては、精緻に法律が作られているなと日々感じています。我々としては、防火と防災をセットにして対策や安心・安全を考えていくと提唱していますが、消防法だけ守っていれば防災についても対応できるのかというと難しいと思っています。
「防災」は建築基準法でも考えられていますし、例えば地域の危機管理室など、様々なところで考えられているのですが、法律ではなかなか謳い切れているものは少ないと感じています。ルールになっているようでなっていないことも防災に関しては多いです。これはどうしても「防災」とひと言で言っても、水害なのか地震なのかでも異なりますし、課題がありすぎて「これをしなさい」というのが謳いにくいことも難しい点だと思います。
消防法では、消防設備点検や防火対象物点検など、様々な点検についてしっかり法律で決まっていて、ルール通りに守っていれば安心安全が比較的担保される状況ですが、防災でそのような状況が作れているかと言うと、なかなか難しいかなと思っています。
我々としては、消防設備点検をはじめ火災予防で謳っているこの法律の中に、防災としても、「ここまでは一緒にやりましょう」と、元々ある法定点検に上乗せする形で、安心・安全の提供という価値を増やしていけるのではないかと考えています。
この火災予防においてもう1つ重要な考えが「防火管理者」という存在です。一定の建物の大きさ、グループホームであれば10人以上建物の中に人がいるとか、商業施設なら30人以上、普通のマンションでは50人以上のような建物であれば「防火管理者」という立場の方を置く必要があります。この「防火管理者」は、防火管理、火災予防のことを考えるための責任者として存在していますが、この方々が防災のことも考えていく文化形成になっていけば、消防訓練の実施を考える時に一緒に防災訓練も考えようかという流れになりますし、防火管理者の方が防災についても考えるということが重要だと思っています。