自主防災活動
地域の防災力を考えたときに、自主防災活動の形もいろいろあります。有名なところでいくと、地域の消防団がありますが、これはプロの世界。アマチュアの世界では、地域の防災会などと呼ばれる自主防災活動があります。小さなガソリンの消防ポンプなどを使って消火活動をしたり、いろいろな道具を使って救出活動をするものです。ほかには、自治会、町会、マンションの管理組合、こういうところを単位に活動をされている方が結構いらっしゃいます。ただ、これは全国的に問題にされていることなんですが、この防災活動には、かなりご年配の方が多いということです。結局町会の役員さん、自治会の役員さんというのは、ある程度年配の方が多いです。そういう方々の防災活動がいけないという意味ではなく、そういう方々だけだとまずいということです。40代、50代、子育てされているような方々も含めて、皆さんで取り組めるようにしたら、これが街として非常に大きな力になると思います。

実は、大きな地震が起きた後は、皆さん茫然自失します。どなたもそうだと思います。プロの消防士も同じです。ただ、プロの消防士ももちろんそうですし、私どものような防災担当者もそうですが、正気に戻る時間が早いのです。つまり普段からイメージトレーニングをしていますし、消防の方は訓練をされています。自主防災活動をされている方も、そういう意味では心構えがある程度できているので、自分たちが何をしたらいいかということは、すぐわかると思います。ただ、一定の年齢がいってくると、体力がなくなってしまいますので、そういう意味でも、若い方の力が必要になってきます。その時に、練馬区の自主防災活動をされている年配の皆さんには、「若い方にどんどん声をかけてあげてください。若い人はきっと一生懸命やってくれますよ」そういうふうにお話をしています。自主防災活動をなさっている皆さんは、普段から訓練をされていますので、ぜひそれを普段からたくさんの方に手伝っていただければ、実際に大地震が起こったときにもずいぶん違うと思います。
防災活動の橋渡し
行政にはいろいろな防災機関がありますが、それ以外に地域にある会社や団体の防災力というのもとても重要です。例えば会社やビルには、防災のための自衛消防隊というような組織があります。阪神淡路大震災のときにも、西宮市に、いろいろな企業の寮がありまして、そこの自衛消防隊の皆さんが、近隣のちいさな火事を消して回ったということもあります。自衛消防隊というのは消防の管轄ですが、常に防災の訓練を行なっています。こういう力も大きいと思います。
私ども行政というのは、地域の防災活動をしている団体や、法人、そういう皆さんがそれぞれ、できるだけ周りの皆さんと手を結びながら活動できるような基盤整備をしていくことも大切だと思っています。この場合の基盤整備の役割はどういうことかというと、普段お付き合いがない市民のみなさんと法人、企業の皆さんを結びつける役割であると思います。これは自治体の職員の重要な役割になってくると思っています。
