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防災インタビューVol.116

地震火災 ~来たるべき大地震に備えて~

放送月:2015年5月
公開月:2015年12月

廣井 悠 氏

名古屋大学減災連携研究センター准教授

プロフィール

名古屋大学の減災連携研究センターで准教授をしています。都市防災という分野を対象に研究していまして、都市の安全安心に関するさまざまなテーマを分析したり対策案を考えたりしています。対象としては、地震火災の予測やどういうふうに地震火災の被害を抑えればいいか、あるいは東日本大震災の時にも首都圏で帰宅困難者が非常に多く出ましたが、そういう帰宅困難者の研究や一般の避難に関する研究をしています。

この番組「サロン・ド・防災」が受賞された廣井賞のきっかけになった、日本災害情報学会の初代会長の廣井の長男です。父は社会学で、私は都市計画なので、直接のつながりはないのですが、対象が安全安心というところが共通しています。

「地震火災」とは

私は東日本大震災以降、「地震火災」に関する研究を精力的に進めています。まずは、この「地震火災」についてお話しさせていただきます。あまり知られていないのですが、東日本大震災でも非常に多くの地震火災が発生しました。東日本大震災は、ご存じの通り、津波災害や原発災害が非常に深刻だったので、それと同時に非常に数多くの地震火災が発生していたという事実を知らない人が非常に多いです。今回、われわれの調査グループが調べてみると、関東大震災や阪神淡路大震災を超える地震火災の出火が発生していることが分かりました。今後発生するであろう首都直下地震や南海トラフ巨大地震の際にも、非常に多くの地震火災が発生すると言われていまして、このような巨大災害に対する火災対策が非常に重要になると考えています。

ただ、首都直下地震や南海トラフ巨大地震における地震火災の発生状況というのは、大きく違うと思います。首都直下地震の際には、阪神淡路大震災のように密集市街地から火災が発生して、それからどんどんじわじわ木造密集市街地をなめ尽くすというような火災の発生状況が一番懸念されます。それに対して、南海トラフ巨大地震のような津波災害を伴う地震火災になりますと、今回の東日本大震災のように、「津波火災」と言われる火災が非常に多く発生するだろうと予測されています。同じような巨大地震であっても、津波の有無や建物倒壊の度合い、停電がどれくらいあるか、余震がどれくらいあるのかというような地震の特徴によっても、地震火災の状況は随分違うということを知っておいていただきたいと思います。

東日本大震災にみる「地震火災」

東日本大震災では、さまざまなタイプの地震火災が発生しました。関東大震災の時の出火点は134点、阪神淡路大震災の時は285点と言われていますが、東日本大震災は377件の地震火災が発生しました。東日本大震災では被災範囲が非常に広かったというのもありますが、非常に多くの地震火災が発生しています。

われわれはこのような地震火災を大きく3つに分類しています。その1つが「揺れに伴う地震火災」というものです。これはどういう形で発生するかというと、大きな揺れが来てストーブなどが倒れたり、建物がつぶれてそこから出火するというタイプの地震火災で、東日本大震災では150件前後発生しています。それからもう一つのタイプは、「間接的な原因で発生した地震火災」と呼んでいますが、この火災の原因になっているのはロウソクなどです。地震が発生して停電が広範囲で大規模に起きますと、多くの方々が明かりを確保するためにロウソクを使います。場合によっては、不安なためそれをつけたまま寝てしまうこともあるでしょう。そうすると余震が発生した際、ロウソクが倒れてそこから出火してしまうということで、東日本大震災で30件ぐらい起きています。東日本大震災では、それも含めて間接的な原因で発生した火災は50件前後発生しています。もう一つは、津波が原因で発生する火災で「津波火災」です。東日本大震災でも「津波火災」は160件前後発生しています。

このように東日本大震災では、3つの火災のタイプがありましたが、関東大震災や阪神淡路大震災では、最初の揺れに伴う火災が非常に多く発生しました。津波浸水があったり大規模な停電があったりすると、その間接的な原因で発生する火災が多く発生しますし、余震が多いかどうか、津波の浸水範囲がどれくらい広いかによっても、発生する地震火災は随分違うということが今回改めて分かりました。

東日本大震災では、どれが地震火災だか分からない状況のものもありました。例えば地震が起きてから1週間後に発生する火災、7月、8月に発生する火災などもありました。津波で流出したがれきを積み上げておくと、微生物が悪さをして、そこからブツブツ燃えていくという火災も発生しています。これも、もちろん地震が原因で発生した火災ではあるのですが、7月、8月になって発生した火災も「地震火災」と呼ぶのかどうかは難しいところで、地震火災の定義というのが、東日本大震災ではちょっと不明確になりつつあります。今までは、大体1週間から1カ月ぐらいの間に発生する火災を「地震火災」と呼んでいたのですが、「どこからどこまでが地震火災か」という定義が、今回の地震ではかなり混乱してしまったという現状です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。