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防災インタビューVol.220

被災者の自立へ向けた支援の在り方

放送月:2023年12月
公開月:2024年5月

北川 進 氏

日本社会事業大学 大学院 専門職大学院 講師

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

日本社会事業大学 専門職大学院の北川進と申します。福祉の専門職である社会人の方々が、働きながら通われる大学院の講師をさせていただいております。私自身、3月までは出身地である宮城県の社会福祉協議会に25年間勤務していました。その中で、主に災害ボランティア支援といった取り組みに従事しておりました。

災害時の取り組みを考えるにあたって、災害時に起こった出来事を逆算していくと、当然日頃の取り組みが防災につながっていきます。例えば、ボランティアの存在を、日頃から理解しておくということは、災害が発生した時にも、ボランティアの方々のお力を上手に借りることに繋がる防災になるのではないかという考えです。

私自身、様々な被災地で色々な活動をさせていただきましたが、その中でも2011年の東日本大震災での出来事が、色々な意味ですごく大切なものがたくさんありましたので、主に、この東日本大震災での出来事を中心に発災から復興までの取り組みを時系列に沿ってお話していきたいと思います。

東日本大震災発災当時、私自身は仙台の地下鉄に乗っている最中でした。なんとか脱出して、仙台の中心部だったので、当然津波の被害はありませんでしたが、直後から津波警報や、津波の到達情報を携帯電話やラジオで得ていたことを思い出します。

被災直後、どんな事が起こっていたのか、また、福祉支援という業務をしていたので、災害のことについても「被災された方々が支援を得て自立していく」という大きなテーマでお話させていただきたいと思います。

被災住民同士の助け合い

災害発生直後、私自身ももちろん避難を行いましたが、仕事の立場上色々な避難所に出向かせていただきました。また、道路が寸断されてしまい孤立している集落に向かう自衛隊のヘリコプターに乗せていただき、調査や物資を運ぶお手伝いをすることもありました。

避難所では、被災された方々が大変な状況の中寝泊まりをされていますが、どの避難所に行っても、被災された住民同士でいろんな役割を担いながら助け合っている姿をたくさん拝見しました。例えば、男性は廃材を集めて、避難所の外で煮炊きを行っていました。女性は避難所の中で、生活に関わる身の回りのお世話などをしていました。子供たちは、出来ることを自ら探して、いろんなことをしてくれていました。例えば、僕が出会った小学生は、10時と3時に避難所の小学校の昇降口に出て、自ら掃除をしていたり、中学生たちは小学生の勉強の手伝いや遊び相手になってくれていました。子供たちが、自分たちでできることはないだろうかと考え、大人たちを励ますために自分たちで壁新聞を作って避難所の中での記事を書くという有名な話もありますが、このような取り組みがいろいろな避難所の中で行われていました。

「被災者」と言われると、どうしても大変な存在であるとか、支援を必要とする人たちという風に捉えられがちです。もちろん支援は絶対に必要なのですが、それぞれが被災者と呼ばれる立場でありながらも、生きるために協力し合って支え合っている姿を目の当たりにし、当時大変印象深かったという風に思っています。

生きるための力

発災から間もない初期というのは、1人1人が生きるために、命を守るためにということを共通の目的として行動しています。その支え合い・助け合いというのが、本当に分かりやすい形で行われていました。

もちろん、しばらくすると外からの支援がたくさん入ってくるのですが、この「生きるために持っている力」ということをまず前提に置いて、外からの支援や、外部の方々が何かしら協力をするということを考えていかないと、良かれと思って手伝うことが、そもそも持っている力を削いで行ってしまう結果になるのだと感じました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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