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防災インタビューVol.224

災害時のトイレ問題

放送月:2024年4月
公開月:2025年2月

加藤 篤 氏

NPO 法人日本トイレ研究所
代表理事

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害時のトイレ問題

災害時のトイレ問題の本質は3つあります。

まず、不衛生なトイレを作ってしまうと、ノロウイルスなどの消化器感染症による集団感染が起きてしまいます。避難所などでは全員が同じトイレを使います。しかもドアの取っ手、鍵、トイレの蓋、トイレットペーパーホルダー、洗浄レバーなど同じ場所を触ります。そのため、接触感染が起きやすいのでとにかくトイレを不衛生にしてはいけないというのが一つ目です。

二つ目は、トイレが不便もしくは不衛生になったりすると、トイレに行かないようにと水分摂取を控えてしまいます。災害時に体調が良くない状態で水分摂取を控えてしまうと、災害関連死のきっかけになってしまいます。例えば、口の中が乾燥し、雑菌が増えます。雑菌が寝ている時や食事の時に誤って肺に入ってしまい、肺炎を起こすのが誤嚥性肺炎と言います。また、窮屈な姿勢で水分を摂らずにじっとしていると、ふくらはぎの血管の辺りに血の塊(血栓)ができてしまい、エコノミークラス症候群になることもあります。この誤嚥性肺炎やエコノミークラス症候群になる可能性を高めてしまうのが、水を飲むのを控えることです。

最後の三つ目は、不衛生なトイレを作ってしまうと、「もうどうでもいいや」という投げやりな気持ちになったり、イライラしたりします。そうすると、避難生活の秩序が乱れ、治安悪化に繋がります。

集団感染、災害関連死、そして治安悪化、この3つを防ぐために力を合わせてトイレを清潔な状態に保つということがとても大事なことです。

携帯トイレの選び方

携帯トイレには大きく2つの種類があります。ひとつは凝固剤タイプです。袋の中に凝固剤を入れて大小便を固めるのでどちらかというとコンパクトです。もう1つは吸収シートタイプ。わかりやすく言うと、中にオムツのようなものが入っているタイプです。こちらも大小便を吸収してくれるものなのですが、おむつのようなものなので凝固剤よりはかさばります。ただ、凝固剤タイプの袋を破いたりする細かい手先の作業が苦手な場合、吸収シートであればすぐに使用できるので、こちらの方が合っているという場合もあります。非常時じゃない時に一度使ってみて、自分に合ったものを準備しておくといいでしょう。

携帯トイレと一緒に用意しておきたいもの

トイレに行くだけでもいろいろなアイテムが必要です。自宅のトイレに窓がない方も多いのではないでしょうか。窓がない場合、停電すると真っ暗になります。真っ暗な中で携帯トイレをうまく使うのはとても難しいので、絶対に備えてほしいのが照明です。

排泄行為は両手を使います。例えば、ベルトを外す、ボタンを外す、ズボンを下ろすなど、片手でやるのはとても難しいことです。ですから、照明で大切なポイントは、両手がフリーになるような照明を用意するということです。置き型タイプのものや、フックなどでどこかに掛けられるような空間全体を明るくしてくれる明かりがおすすめです。もしくは、ヘッドライトでもいいかもしれません。懐中電灯を備えていても、懐中電灯は見たいところを照らすものなので、トイレだと手に持っていなければなりませんし、ピンポイントで照らしてもなかなか作業がしづらいです。空間全体を照らすことができ、両手をフリーにできるものこれが必要です。

それ以外には、トイレットペーパーも必要です。コロナウイルスが流行した時、店頭からトイレットペーパーがなくなりました。トイレでトイレットペーパーがないととても焦ります。少なくとも1ヶ月分ぐらいはトイレにあるといいと思います。人によって使う長さも異なりますので、トイレットペーパーを使う時にくるくると手に取ったら1度伸ばして長さを測ってみてください。その長さとトイレの回数で必要な量を計算できます。1ヶ月分だったとしても、そんなに量は多くなりません。近年では2倍や3倍巻きのトイレットペーパーなども販売していますので、このようなものを活用して用意してみてください。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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