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防災インタビューVol.224

災害時のトイレ問題

放送月:2024年4月
公開月:2025年2月

加藤 篤 氏

NPO 法人日本トイレ研究所
代表理事

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

仮設トイレ

仮設トイレというのは、工事現場やマラソン大会・花火大会などで設置されるトイレです。仮設トイレはトラックで運搬します。災害時の状況を考えてみますと、建物倒壊や火災発生、液状化、地盤沈下などが起きていると緊急車両ですらなかなか通行できません。そんな中で、仮設トイレがすぐに来るとは思えません。

東日本大震災が発生した時に仮設トイレが避難所に行き渡るまでにかかった日数の調査結果があります。それによると、3日以内に届いたという自治体は34パーセントです。1週間が17パーセント、2週間が28パーセント。ちなみに最もかかった日数は65日でした。実際に地震が起きてみないとどのくらいで仮設トイレが届くのかは分かりません。つまり、 来たらラッキーだと思うぐらいがいいのではないかと思います。

まずは自分で自身や家族を守る。そのためには、できれば1週間分ぐらいの準備があった方がいいと思います。被災された人も支援する人も真っ先に思いつくのは水と食料です。やはりトイレの支援は遅れてしまいます。そうなった時に、他人にトイレを貸してくださいとはなかなか言いづらいことだと思います。トイレの備えがないと水を我慢してしまうことに繋がりますので、やはり自分でしっかり備えておくのが大事だと思います。

排水管のルートを把握する

戸建てであろうと、集合住宅であろうと設置されているのは水洗トイレなので、自宅の排水管がどうなっているのかを意識することが大事だと思います。

特に集合住宅は、上の階と下の階の排水管が繋がっています。むやみに流してしまうと詰まったり溢れたり、ということがありますので、トイレから流れ出た汚水がどういうルートをたどって建物の外に出ていき、下水道や浄化槽につながっているのか、そのようなことをチェックしておくことが大事です。

事前に把握しておけば、排水管のルート上で大きな地盤沈下が起きたり、液状化が発生していたら自宅のトイレを使用することができないのだということが分かると思います。

排水トラブルを最初から回避できるようにするためにも、自主点検が大事だと思います。自宅であれば自己責任ですが、集合住宅はみんなでやらなければいけません。

避難所のトイレを調べ、使用してみる

自宅が危険な時に避難する場所は指定避難所です。そこには様々なトイレがあると思いますので、ぜひ避難する時のことも考えて、避難所に備わっているトイレがどのようなものなのかを事前に調べていただきたいと思います。

何度も説明している携帯トイレは避難所にもあると思います。それ以外にも、マンホールトイレというものがありますが、避難所によって整備されている場合とされていない場合があります。マンホールと言っても、道路にあるマンホールとは違います。敷地内にマンホールトイレ専用のマンホールがあります。蓋を開けると下水道から繋がっている配管があるか、もしくはその下に大きな便槽があります。いざとなったら、その蓋を開けて、穴の上にトイレを組み立てて作ります。

工事現場でも使用されている仮設トイレは、大小便が溜まったらバキュームカーで汲み取る必要がありますが、容量が大きい便槽を備えたマンホールトイレがあれば、しばらくの期間は貯めておくことができます。下水道につながったマンホールの場合、下水道がダメになってしまうこともありますが、問題がなければしっかり下水道に流すことができます。

外部から持ってくる仮設トイレは運搬に時間がかかってしまい、いつ到着するか分からないと説明しました。避難所に整備してあるものや備蓄しているものというのは災害時にすぐに使用が出来るためとても重要です。

被災経験のある宮城県東松島市では、東日本大震災の時にマンホールトイレを使用することができました。ただ、多くの人が使い方を知らなかったので混乱も起きました。その時の教訓を経て、毎年運動会でマンホールトイレを使用しています。防災訓練は、熱心な人が参加しますが、運動会は児童や親、祖父母、地域の人など、多くの人が参加しているので、このような機会を利用してマンホールトイレの存在と使用方法を周知するというのが目的です。

記憶では全国に4、5万基くらいのマンホールトイレがあると思いますが、人口から考えるとまだまだ少ないのが現状です。避難所にマンホールトイレがあるようでしたら、みんなで実際に作って使ってみるという機会を設けることが大事だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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