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防災インタビューVol.227

マンション防災

放送月:2024年7月
公開月:2024年12月

三橋 博巳 氏

一般社団法人 マンション防災協会会長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

一般社団法人マンション防災協会(MALCA)の活動

一般社団法人マンション防災協会は2013年に設立いたしました。私も設立から参加をしていますが、2023年で10年を迎えました。ちょうど関東大震災から100年の年と同じ年に10周年ということになりました。設立時から現在まで様々な活動をしていますが、大きな目的としては、MLCP(Mansion Life Continuity Plan)という継続計画を策定して、災害への事前の対策、あるいは災害時の対策、災害後の対応等について計画をしっかり立てて災害に備えていこうということ。また先にもお話しましたが、マンションが災害時に逃げ込むことができる安全な建物になるよう、管理組合等、運営上でも対応出来るようにしていこうということを目指しています。

大きな役割としては、居住者あるいは管理会社と、地域の行政等と結びつけるような中間的な支援組織として立ち上がった組織です。MLCPというのは、BCPというオフィスビル等で継続して事業ができるように立てる事業継続計画のマンション版と言ってもいいのかなと思っております。

これまでに取り組んできた事例を少し紹介いたします。1つは武蔵野市吉祥寺での事例です。旧耐震のマンションで耐震診断をして補強しなければいけないところを補強しようということで取り組んできた事例です。役所の方と管理組合あるいは自主防災組織も立ち上げていただいて一緒に活動した例です。

特にここでは行政の武蔵野市の方が地域防災計画の中にMICP(マンション生活継続計画)の考え方を導入して明記していただきました。地域防災計画の中にこのような意見を取り入れてくれる行政はなかなか無いのですが、行政と結びつける役割を果たした1つの例でございます。

もう1つは高知県高知市の事例です。津波の避難ビルに指定されているところなのですが、行政に大変熱心な方もおられて、一緒に津波が来た時の避難の受け入れや管理組合の運営などについて、どのように行っていくのかなどの支援をした例がございます。

最後に江戸川区の事例です。これは江東区等地盤が低いところでよく言われていることですが、ここ最近は気候変動による水害が増えています。そのような水害対策に対する支援活動、それから、ちょうど新型コロナの対策も必要になっていたのでそれらも含めて支援をしたという例でございます。また、このような事ができるマンション防災認定管理者という人材育成も実施を続けております。

マンションの防災力向上に向けて

一般社団法人マンション防災協会の活動を紹介しましたが、これからもマンションの防災力を向上させていかなければいけないと思います。そのためにはどうしたらいいのかということで、これは協会の方の意見とも一致するかと思うのですが、1つは、先にお話しした旧耐震のマンション、これはやはり耐震診断とともに、近年の気候変動による水害の問題、耐水診断、などを含めた地域の診断も必要になってきていますので、耐震と耐水、水害に対しての対策というものをこれからしっかりやっていければと思います。

既存不適格の建物について、法律通りに作ればいいということではなく、法律よりももっと上のレベルの耐震性を目指して高耐震化していかなければいけないと思っています。経済的コストがかかるなど様々な問題もありますが、現状では震度7に耐えられずに随分倒壊していますので、行政も含めて耐震性の強化をもっとしっかりとやっていかなえればいけないと考えています。

それから、MLCPという考え方を普及・啓発しているのですが、相談を受けたり、マンションあるいは地域を支えられるような中間支援組織を全国展開していく必要があるのではないかと思います。それによって、生活が継続できる建物や地域・都市にしていけるのではないかという風に考えております。

もう1つは、やはり防災です。安全性があるものはやっぱりいい建物だという風に評価されるような、不動産のマーケットでも評価されるような評価制度みたいなものを作っていきたいなと思っています。そのような制度によって防災力が向上していく、意識も上がりますし、それから建物も、管理組合あるいは管理会社も含めて防災力を高めていく。それによって資産価値も上がっていくということができれば、安全なマンションが出来ていざというときに逃げ込める避難もできるようなマンションがどんどん増えていくのではないかと思っております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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