古代の暮らしを体験「古墳まつり」開催

10月16日、国内最大級の大きさを誇る帆立貝式前方後円墳の「野毛大塚古墳」にて、「第9回野毛古墳まつり」が開催されました。

野毛大塚古墳は、今から約1600年前に南武蔵周辺を治めていた大首長の墓で、墳丘の全長82m、高さ約11mの帆立貝式の前方後円墳。
この方式の古墳としては日本で最大級の規模を誇ります。

野毛古墳まつりは、この古墳を広くPRし、保存していくことの大切さを多くの人に理解してもらおうという趣旨で、世田谷区教育委員会が平成20年度から開催しているもの。近年、古墳を楽しむ若者たちが話題になるなど、注目を集めることが多くなっています。

古墳の解説DSC_0042
■古墳の解説の様子
墳丘の上での解説DSC_0063
■境丘の上での解説の様子

野毛大塚古墳も取り上げられることが多くなり、会場は子どもから大人まで多くの人たちで賑わいました。

古墳愛好団体「古墳にコーフン協会」会長のまりこふん氏によるトークショーでは、「古墳は日本全国に約16万基あり、コンビニの約3倍存在する。土地の開発などで無くなってしまうものもあるが、より多くの人に古墳の魅力を伝えたい。ここ野毛大塚古墳は都心の中でも規模が大きく、形も綺麗で分かり易い。くびれ部も美しくお薦めの古墳である。」など、古墳への熱い思いや古墳にまつわる知識など語られ、来場者は古墳の魅力に耳を傾けていました。

また、芋や豆などを使った古代食の試食コーナーも設けられました。
試食を食べるために列ができるほどの人気ぶりで、でき上がったスープを試食した来場者は「豆や芋のとろみが美味しい。心なしか土器で煮込んだような風味も感じる。」と感想を話していました。

ミニ土器づくりDSC_0084
■ミニ土器づくり

このほか、ミニ土器づくりや勾玉づくりに加え、古代をテーマにした紙工作をつくる紙風景コーナーも人気で、レプリカの古墳の周りに紙で制作した土器などを飾り付けるなど、参加者は思い思いの古代の風景を想像して楽しんでいました。

野毛大塚古墳から出土した埴輪や滑石製品のレプリカなどの展示のほか、学芸員による古墳解説には約60人もの人が参加し、実際に墳丘に登って解説を聞いたり、「古墳の向きに意味はあるのか?」「この古墳の周りには墳溝(水路などの溝)はあったのか?」など、古墳の成り立ちや構造などについて熱心に質問をしたりして、古墳時代の人々の生活や考え方に思いを馳せている様子が見られました。

 

東京都指定史跡 野毛大塚古墳
(野毛1-25 玉川野毛町公園内)

■トップ画像はまりこふん氏によるトークショー