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ファクトチェックのやり方完全ガイド|基本手順からAI活用まで解説

SNSやニュースで日々あふれる情報の中には、誤情報や誇張された内容も少なくありません。そうした情報を見抜き、正確な判断をするために欠かせないのが「ファクトチェック」です。

本記事では、ファクトチェックの基本的な考え方から、公的機関や一次情報を用いた確認手順、複数メディアでのクロスチェック方法までを詳しく解説します。

さらに、ChatGPTやGrok、GeminiといったAIを活用した最新のファクトチェック手法や、Fact Check Explorerなどの専用ツールの使い方、実際のビジネス・メディア事例も取り上げます。

初心者から実務で活用したい方まで、今日から使える実践的な内容を網羅した完全ガイドです。

ファクトチェックとは?基本概念と重要性

SNSやAIの発展により、日々膨大な情報が飛び交っています。そのような現代社会では、誤った情報や意図的な偽情報が瞬時に拡散され、企業の信頼を損なったり、個人の判断を誤らせたりするリスクも多く含まれています。

こうした状況で注目を集めているのが「ファクトチェック」です。情報を正しく扱うために必要な基本概念や、なぜ今ファクトチェックの手法を身につけることが重要なのかが問われています。

まずは、ファクトチェックの定義や目的をはじめ、情報リテラシーとの関係について、実務で活用できる視点から解説します。

ファクトチェックの定義と目的

ファクトチェックとは、社会に広がっている情報や言説が事実に基づいているかを調べ、その検証プロセスを記事化して正確な情報を人々と共有する営みです。単なる情報確認ではなく、客観的な証拠に基づいて真実性・正確性を検証し、その結果を発表することが本質です。

重要なのは「事実」を検証する点で、個人の価値観に基づく意見や評価は基本的に対象としません。ファクトチェックの目的は、誤情報や偽情報の拡散を防ぎ、民主主義社会を守ることにあります。

ファクトチェックの重要性

近年、SNSや動画プラットフォームの普及により、誰もが簡単に情報を発信・拡散できるようになりました。その一方で、誤った情報や文脈を切り取った情報、意図的な偽情報が短時間で広がるリスクも高まっています。

また、生成AIの登場により、もっともらしい文章や画像が容易に作成できるようになったことも、情報の真偽を見極めにくくしている要因です。

こうした環境だからこそ、情報をそのまま受け取るのではなく、「本当に事実なのか」を確認するファクトチェックの重要性が、これまで以上に高まっています

【関連記事:生成AIとは?簡単に理解できる基本概要と実務で役立つ活用方法】

ファクトチェックと情報リテラシーの関係

ファクトチェックは、情報リテラシーを構成する重要な要素のひとつです。情報リテラシーとは、情報を正しく理解し、評価し、活用する能力を指しますが、その中心にあるのが事実確認の姿勢です。

ファクトチェックを行う習慣が身につくと、情報源を意識して読む、複数の視点から考える、感情的な反応で拡散しないといった行動が自然とできるようになります。

これは、個人が誤情報に振り回されないためだけでなく、誤った情報の拡散を防ぐという社会的な責任を果たすことにもつながります

項目内容
情報リテラシーとは情報を適切に収集・評価・活用する能力
ファクトチェックとの関係情報リテラシーの中核をなすスキル
求められるスキル情報源の確認、複数ソースの照合、事実と意見の区別、検証ラベルの理解
国内の現状ファクトチェックの認知度は過半数が「知らない」と回答
情報発信者の役割ファクトチェック実践を通じた情報リテラシーの向上と信頼構築

ファクトチェックの基本的なやり方・手順

情報の信頼性を確かめるには、具体的な手順に沿って確認作業を進めることが重要です。

ここでは、公式発表との照合から、一次情報の確認、複数ソースでのクロスチェック、そして事実と意見を見分けるポイントまで、実務でそのまま使える基本的なファクトチェックのやり方を分かりやすく解説します。

情報源を確認する(公的機関・公式発表との照合)

ファクトチェックの第一歩は、その情報が「どこから出てきたのか」を確認することです。特に、政策、法律、統計、災害、健康、経済などの分野では、国や自治体、国際機関、企業の公式発表と照合することが重要になります。

例えば、政府の制度変更に関する情報であれば、担当省庁の公式サイトや報道発表資料を確認することで、正確な内容を把握できます。

また、信頼できそうな記事であっても、情報源が明示されていない場合は注意が必要です。発信者の立場や専門性、公式な裏付けがあるかを確認することで、誤情報や誤解を含む情報を見抜きやすくなります。

一次情報と比較する重要性(原文・原データの確認)

ニュース記事やSNS投稿は、一次情報をもとに「編集」された二次情報であることがほとんどです。そのため、正確な事実確認を行うには、可能な限り一次情報にさかのぼることが重要です。

一次情報とは、公式文書、原文の発言、調査データ、統計資料など、情報が最初に発表された形を指します。

なお、翻訳記事や要約記事では、表現が簡略化されたり、文脈が省略されたりすることがあります。原文や元データを確認することで、数字の意味や発言の真意を正しく理解でき、誤解や誇張に気づきやすくなります。

複数メディア・複数ソースでクロスチェックする方法

ひとつの情報だけを根拠に判断するのは、ファクトチェックとしては不十分です。信頼性を高めるためには、複数のメディアや情報源を比較し、内容に一貫性があるかを確認するクロスチェックが欠かせません

具体的には、同じニュースを複数の報道機関がどのように伝えているかを確認したり、国内外のメディアを見比べたりする方法があります。

もし主張や数値が大きく異なる場合は、どの情報が一次情報に基づいているのかを見極める必要があります。複数ソースで共通して確認できる事実は、信頼性が高いと判断しやすくなります。

事実と意見・推測を切り分けて考えるポイント

ファクトチェックでは、「事実」と「意見」や「推測」を混同しないことが重要です。事実とは、客観的に確認可能な情報であり、データや公式発表などで裏付けられます。一方、意見や推測は、書き手や話し手の解釈や評価に基づくものです。

「〜と考えられる」「〜の可能性がある」といった表現が使われている場合、それは事実ではなく推測の可能性もあります。情報を読む際は、何が確認済みの事実で、どこからが解釈なのかを意識的に切り分けることで、誤った理解や過度な不安、早合点を防げます。

AI・ツールを活用したファクトチェックの実践方法

ファクトチェックのやり方は、AIや専用ツールの登場によって大きく進化しています。ChatGPT、Grok、Geminiといった生成AIを使えば、瞬時に複数の情報源を参照でき、ファクトチェック専用サービスを活用すれば、検証済みの情報へ効率的にアクセスが可能です。

ただし、AIには「ハルシネーション」と呼ばれる誤答のリスクもあり、使い方を誤れば逆に誤情報を信じてしまう恐れもあります。

ここでは、各ツールの特性や具体的な操作手順、信頼性を見極めるポイントまで、実務で使える実践的なやり方を見ていきましょう。

ChatGPT・Grok・Geminiを使ったファクトチェックのやり方

ChatGPT・Grok・Geminiは、それぞれ異なる強みを持つAIツールです。情報の真偽を確認したいとき、各ツールの特性を理解して使い分けることで、ファクトチェックのやり方がより効率的になります。

Grokは、X(旧Twitter)の投稿に「@grok」とメンションするだけで、投稿内容の真偽を即座に判定し、出典付きで回答します。SNS上の速報や拡散情報を迅速に検証したい場合に向いています。

一方、GeminiはGoogle検索と連携しており、公式サイトや主要メディアと照合しながら事実確認を行えます。幅広い情報源から信頼性を判断したいときに有効です。

ChatGPTは汎用性が高く、プロンプトに「推測せず出典URLを明記してください」と指示することで、より正確な回答を引き出せます。ただし、いずれのツールも最終的には人間による確認が不可欠です。

AIツール主な特徴適した用途
GrokX投稿のリアルタイム検証SNS上の速報・拡散情報の真偽確認
GeminiGoogle検索との連携公式情報・主要メディアとの照合
ChatGPT汎用性の高い対話型AIプロンプト指示による詳細な検証

AIファクトチェックの具体的な操作手順とプロンプト例

AIにファクトチェックを依頼する際は、プロンプトの書き方で精度が大きく変わります。事実部分と主張を分けて入力し、出典の提示を必ず求める(URL付き)ことで、検証の質が向上します。

さらに「最新情報のみで回答」と指定すれば、古いデータによる誤判断を防げる点も押さえておきたいポイントです。

具体的なプロンプト例として、「以下の文章の事実関係を検証し、根拠となるURLを3つ提示してください。肯定・否定の両面から分析してください」と入力すると効果的です。

長文は要約、主張の列挙、各主張の検証という段階的な指示で分割すると、AIが文脈を正しく把握しやすくなります。質問形式を「回答はYes/Noで、根拠URLを提示」と固定するのも有効です。

ただし、AIが提示した出典URLは必ず実在するか確認し、リンク先の内容が引用と一致しているか人力で再チェックすることが不可欠です。

ファクトチェック専用ツール・サービスの活用方法

AIの次は、ファクトチェック専用ツールを活用しましょう。Googleが提供するFact Check Explorerは、世界中の検証記事を横断検索できるツールです。キーワードを入力すると、各国のファクトチェック機関が公開した検証結果を一覧表示してくれます。

日本ファクトチェックセンターでは、国内で拡散された言説の検証記事を無料で閲覧できます。検索窓からテーマやキーワードで過去の検証結果を探せるため、類似情報の真偽判断に役立つでしょう。

ファクトチェック・ナビは複数の検証機関の記事を集約したポータルサイトで、特定の主張や話題について、過去にファクトチェックが行われているかをすぐに確認できる点が便利です。

これらのツールは、既に専門機関が検証済みの情報を効率よく探せるため、ゼロから調査する手間を大幅に削減できます。

AI・ツールを使う際の注意点と信頼性判断のポイント

AIやツールは効率的な検証手段ですが、生成AIは「ハルシネーション」と呼ばれる誤った回答を生成するリスクがあります。存在しない情報源を示したり、事実と異なる内容を提示したりする場合があることに注意が必要です。

そのため、AIが提示した情報は必ず人間の目で再確認し、元となる公式サイトや一次情報に直接アクセスして内容を裏付けることが不可欠です。URLが実在するか、リンク先の記述とAIの引用が一致しているかを確認しましょう。

実務では、複数のAIツールで同じ質問をして回答を比較する「クロスチェック」も有効です。異なる結果が出た場合は、より慎重に検証します。最終的な判断は、専門知識を持つ人間が情報の文脈や社会的影響を考慮して行うことで、信頼性の高いファクトチェックが実現できます。

【関連記事:生成AIによるハルシネーションとは?企業が取るべき対策と人材戦略】

AI・ツールでファクトチェックするメリット【業界別】

ファクトチェックにAI・ツールを活用することは、限られた人員でも大量の情報を効率よく確認できる点が大きな強みです。ただし、求められる精度や確認対象は部署・業務ごとに異なります。

ここでは代表的な業務別に、ファクトチェックにAI・ツールを活用する具体的なメリットと、導入時に意識すべきポイントを整理します。

広報・PR担当者

広報・PR担当者は、プレスリリースや公式サイト、SNS投稿など、企業の信頼性に直結する情報を発信する立場にあります。そのため、誤記や誇張、過去発表との不整合がないかを事前に確認する校閲作業は欠かせません。

しかし、数値や表現を裏取りするために複数資料を照合すると、作業に多くの時間を要するのが実情です。

AIやツールを使えば、文章内の数値や表現を学習済みデータや外部ソースをもとに、誤りや不整合の可能性がある箇所を自動で提示できます。過去リリースとの比較も効率化できるため、校閲時間を短縮しつつ、発信情報の正確性と信頼性を高めることが可能です。

ただし、AIの指摘は「誤りの可能性」を示すものに過ぎないため、最終的な表現判断は人が行う必要があります。また、自社固有の表現ルールや未公開情報についてはAIが判断できないため、社内基準とのすり合わせや確認フローを事前に整備しておくことが重要です。

マーケティング担当者

マーケティング業務では、市場調査や競合分析を行う際に、公開情報を正確に収集・整理する力が求められます。

情報が最新かどうか、特定企業に有利なポジショントークが含まれていないかなどを見極めるには、複数ソースでの確認が必要となり、人力では大きな負担になります。

AIやツールを活用することで、公開情報の真偽や根拠をリンク付きで提示できるため、情報収集と検証を同時に進められます。これにより調査スピードが向上し、誤った前提に基づく施策立案や戦略ミスを未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。

しかし、AIが提示する情報は網羅的である反面、必ずしも自社の前提条件やターゲット市場に最適とは限りません。提示されたデータが「自社の文脈で使えるか」を見極める視点を持ち、最終的な分析や判断は人が行う体制を維持することが重要です。

リスク・コンプライアンス部門

リスク・コンプライアンス部門では、IR資料や契約書、社内文書、さらにはSNS上の言及まで、多岐にわたる情報の監視と確認が求められます。しかし、対象となる情報量が膨大なため、全てを人手でチェックするのは現実的ではありません。

AIやツールを導入することで、社内外の文書やSNSを横断的に監視し、虚偽記載や不適切表現、機密情報漏えいの兆候を早期に検知できます。24時間モニタリングに対応したツールを選べば、重大リスクの見落とし防止や初動対応の迅速化も可能となるでしょう。

編集・コンテンツ制作部門

メディア企業やオウンドメディアの編集部門では、原稿内の表記ゆれや数値の正確性、出典の信頼性を確認する作業が欠かせません。従来は、違和感を覚えた箇所を都度検索し、統計や論文、公式資料を個別に確認する必要があり、校閲に多くの時間と労力を要していました。

AIやツールを活用することで、原稿内の固有名詞や統計データを自動で抽出し、政府統計や論文、公式サイトなど、信頼性の高い情報の候補を提示できます。編集者は提示された出典候補を確認することで、裏取り作業を大幅に効率化でき、校閲時間の短縮とコンテンツ品質の安定化が期待できます。

一方で、どの出典を最終採用するかは、メディアの編集方針や記事の目的によって判断が分かれます。そのため、出典の採用基準や確認レベルを事前に明確化するとともに、最終確認と表現の判断は必ず編集者が行う運用ルールを設けることが重要となります。

経営企画・新規事業担当

経営企画や新規事業の検討では、市場規模や成長率、競合動向などを複数のレポートから突き合わせ、情報の信頼性を慎重に見極める必要があります。古いデータや過大な推計を見落とすと、事業計画そのものに大きな影響を及ぼしかねません。

AIやツールを活用すれば、仮説やKPIを入力するだけで、最新ニュースや調査データとの一致・矛盾を整理し、出典付きで可視化できます。検討プロセスのスピードと精度が向上し、より根拠のある意思決定を支援してくれるでしょう。

ただし、AIの分析結果はあくまで意思決定の材料の一部です。前提条件や数値の置き方次第で結論が変わるため、経営判断に使う際は「どの情報を根拠にしているか」を必ず人が確認し、過度に依存しない姿勢が求められます。

まとめ

ファクトチェックは公的機関との照合、一次情報の確認、複数メディアでのクロスチェックという基本手順が重要です。

ChatGPT・Grok・Geminiなどのツールや専用サービスを活用すれば効率化できますが、AIの出力を鵜呑みにせず必ずダブルチェックを行いましょう。

事実と意見を切り分け、情報源・最新性・文脈を確認する習慣を日常業務に取り入れることで、誤情報の拡散リスクを防ぎ、信頼性の高い情報発信が実現できます。