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防災インタビューVol.1

行政が進める耐震診断、耐震改修

放送月:2006年12月
公開月:2006年12月

小川 富由 氏

国土交通省住宅局
建築指導課長

大地震発生時の住宅の問題

大きい地震が起こると、皆さん避難をして、安全確認をしてもらうのが最初のステージです。災害が起こってから3日間72時間ぐらいは緊急の活動ということで、人々は避難をする、問題が起こっている所には消防や警察などが入って人命救助に当たる、というようなことになっています。建築行政の場合は、その間に建物が安全かどうかを確認する作業、応急危険度判定をすることになります。その後は、取りあえず避難所で生活をするということになりますが、そういう緊急の生活から早く応急的な住宅に移れるように仮設住宅を建てて、その後、本格的に住宅復興ということで、きちんとした住宅を再建したり移り住むということになります。ただ、生活再建というのは非常にストレスになりますので、大変な仕事になると思われます。そういう被害、苦しみを、できるだけ少なくしていくことが必要だろうと思います。

応急危険度判定とは

応急危険度判定というのは、最初の建物の安全確認ということです。行政の職員や建築士を動員して建物の被災状況を見て、構造のゆがみや傾き、あるいは場合によっては瓦とか窓ガラスが落ちてきて危ないというような危険性を見て判断をして、建物が安全な場合は緑の紙を貼り、注意をしてくださいというときは黄色の紙を貼り、危険だと判断された場合は赤い紙を貼って、危険度を判定するという作業をします。
中越の地震のときは全国から応援に駆け付けていただいて、延べ3821人の職員、建築士が約36000棟の建物のチェックをしました。そのうち危険だということで赤い紙を貼られた建物が5000棟ぐらいありまして、実は小千谷市内で赤い紙が貼られていた建物が余震でバラバラに壊れてしまったというようなケースもありました。この時は人はいなかったのですが、もしこのような建物に、忘れ物や生活物資を取りに入っていたとしたら、余震の時に人命の災害、2次災害が起こることもあるので、建物に関しては、最初の作業として応急危険度判定をやっています。

もし災害が起こってしまったら

大災害が起こって避難所で暮らさなければならなくなった場合、その後なるべく早い時期に、ある程度住宅的な所に移っていただくことが必要になります。そのためには仮設住宅を造ったり、近くにある公共住宅や民間のアパートの空き室などを活用して、できるだけ早い時期に移れるようにアレンジをしていくという仕事が非常に大きいかと思います。
全国的には、業界の方と地域ごとに協定を結んで、仮設住宅は1カ月ぐらいで何とか供給できるような体制を整えていますが、首都圏で大規模な災害が起こった場合は、まず土地の問題、仮設住宅を建てる場所があるかということが問題になってきます。また仮設住宅を建てたとしても、今まで住んでいる近くに建てるのでないと、被災された方に非常にストレスがかかります。中越地震のときは、できるだけ同じ集落の方が同じ仮設住宅のブロックに入れるようにという配慮を、阪神淡路大震災のときの反省を受けて行いまして、随分好評を頂いたように、細かい住宅対策をしていかなければいけません。仮設住宅で一応生活が安定した後、本格的な住宅の復興、復旧に取り掛かりますが、これは非常に時間がかかる大変なプロセスです。中越、山古志村の方も山を下りて仮設住宅に入っていますが、なかなか山に帰れないということで大変です。長岡市の周辺でもまだ1700世帯ぐらい、仮設住宅で暮らしています。このような災害が大都市で起こったら大変な状況になりますので、どのように被害を小さくするかを考えることが、とても重要です。
「防災」というのは、災害が起こる前に取り掛かっていただかなければなりません。事前に耐震改修などをしっかりやって、できるだけ壊れない建物を増やすことで、仮設住宅などでの長い期間の苦しみを少しでも減らすことができるのではないかと思っています。自分自身の命を守り、その後の住宅のストレスを減らすためにも、なるべく早く耐震診断、耐震改修に取り掛かっていただきたいと強く願っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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