1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害情報とボランティア
  6. 災害情報ボランティアの役割
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.7

災害情報ボランティアの役割

放送月:2004年10月
公開月:2007年2月

干川 剛史 氏

大妻女子大学人間関係学部 助教授

東海地震ドットネット

今、私がやっているプロジェクトも、1年目で全国の自治体の防災システム、全部で14カ所ぐらいに調査に行ったのですが、だいたい共通するものが見えてきました。

まず、都道府県レベルの情報システムと市区町村の情報システムでは、ちょっと違いがあります。都道府県のものというのは、例えば神奈川県だったら神奈川県と、あと神奈川県下の市町村の間の情報の共有とか伝達をするためのシステムで、あくまでも行政機関の内部、あるいは行政機関の間のシステムです。ごく一部の確定した情報をインターネットを通じて住民に流すというシステムになっているのが、都道府県レベルの防災システムなのです。

それに対して、市区町村レベルだと住民に身近になりますので、市区町村と出先の機関との間の情報共有というのを、そのシステムでやります。それだけではなく、今度は住民と市区町村の間の双方向の情報の流れというのがありまして、市区町村の住民の方が自由に被害情報とか安否情報が書き込めるような形のシステムが、市区町村のシステムには多くできています。そういう面では、都道府県レベルと市区町村レベルではちょっと違いがあり、市区町村のほうが住民から身近なシステムだということです。

それでも、どちらも行政のシステムですから、勝手に一般住民が使うわけにはいきません。しかし、それだと結局は災害が起こったときに、誰でも自由に使えるということになりません。そこで例えば静岡県が、災害ボランティアや私のような災害情報の専門家と連携して「東海地震ドットネット」というものをつくっています。これも東海地震が起こったときにポータルサイト、インターネット上の総合窓口として誰でも使えるものです。私も実際システムづくりに参加しているのですが、そういうものが実際にあって、それが今回私たちがつくるシステムの上で、東海地震ドットネットが一番のお手本になっています。URLは簡単で、「toukaijishin.net」と、ローマ字で表記されています。

http://www.toukaijishin.netの画面

災害ポータルサイトの今後

このようなシステムは、お金がないとつくれませんが、文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」というのがありまして、これは全部で60チームぐらいでつくられている巨大なプロジェクトですが、年間予算が総額3億5千万円ぐらいです。

私のチームはその中で一番金額が少ないのですが、このプロジェクトに入っています。5年計画のうち今は3年目です。その中でいろいろ調査をやって、基本構想をつくって、今、システム構築をしているところです。それで、来年、実証実験、実際にそれが使えるかどうか試すということで動いています。

広域的災害情報共有システムの概念図

そのシステムの実際の仕組みについて説明しようと思います。まずこれは2本立てなのですが、1つは誰でもが使えるものです。これは例えば安否情報などもそうですが、そこに書き込んでそれに対して誰かが答えるという掲示板的なものです。もう1つは確実性の高い、信頼性の高い情報として、行政機関とか防災機関が出しているホームページ上にある情報を取り込んで、それを蓄積する。これはいったん、データベースという形で蓄積して、これをインターネットを通じて、利用したい人がその情報を随時取ってこられるというようなシステムで考えています。実際、誰が使うかということになると、これはまず被災地内の被災者の方とか一般住民が一番大きなユーザーということになります。

そのほかに、地域に自主防災組織とか町内会というものもありますが、こここにも日常的に使ってもらう。災害のボランティアとか団体とか、実際に被災地で立ち上がるボランティア本部、被災地の中の店舗とか企業、行政機関の人に使ってもらってもかまいませんし、被災地の外の住民団体、とにかくいろいろな人に使ってもらうことを考えています。

WIDIS(WIdely Disaster Information Sharing system:広域的災害情報共有システム(http://www.saigai.jp/の画面)

それとまた、重要なことは、インターネットを通じて、すごい情報のアクセスがありますので、そのアクセスをいかに分散するかということです。分散しないとサーバーそのもの、システムそのものが崩壊しますので、これをうまく分散するような仕組みも考えています。全国いろいろなところに同じシステムが入ったサーバーを置き、その間で情報の共有をし、あるところに集中すればそれを他のところに逃がすといった仕組みを考えて、実用性を持ったものをつくろうかということでやっています。

負荷分散システムの概念図
東海地震を想定したtoukaijishin.netとWIDISを併用した災害情報受発信訓練の様子2006.12.1 静岡県総合福祉会館にて

一応このシステムは今年度いっぱいに完成させないといけなくて、来年、最後の仕上げをして、できれば9月1日の防災の日あたりに一般公開して使ってもらおうかと思っています。実証実験という段階で、来年、実際の実験で実用化できるかどうかを確かめようとしています。

このシステムは、どんな立場の人でも使うことができます。いろいろなルートを使って、いろいろな人に知ってもらって、使えるようにということで、これからやろうと思っています。それが本当に使えるかどうかということを、リスナーの皆さんにお試しいただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針