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防災インタビューVol.67

賢い被災者になるために ~被災からの生活再建に向けて~

放送月:2011年9月
公開月:2011年11月

重川 希志依 氏

富士常葉大学教授

住宅を再建するには

いざというときに賢くうまく自分自身の生活再建を自分の手で切り開いていくために、「賢い被災者」になる必要があります。そのために知っておくべきことということで、大切な住宅再建についてお話しさせていただきたいと思います。

首都圏に住んでいる方たちにとっては土地も高いですし、多くの方が多額のローンを組んで、借金をして住宅を手に入れています。もしこれがローン支払い途中で、家が壊れてしまって再建をしないといけなくなったら、ローンを返せないままにもう1回ローンを組んで払わなければいけないという、二重ローンの問題が出てきます。とても払いきれないからどうしようかと思っても、宅地も崩れてしまって売るに売れないということもあり得ます。マンションの場合にはもっと難しくて、所有者の、ある一定以上が合意しなければ、マンションを建て替えるのか補修するのかという方針すら決められない。そういうたくさんの問題を抱えているのが住宅再建なのです。

実は災害が起きたときにそういう大きな問題というのは、あまりクローズアップされませんし、我々も知るチャンスがありませんが、本当はとても大きな問題で、皆さん苦労されているところです。二重ローンの問題ですが、二重ローンで大変だからといって、これを公的に「二重ローンをなかったことにしてあげましょう」という制度は残念ながらありません。苦しくても、自分が組んだローン、自分が行った借金というのはきちんと払っていかなければいけない、というのが大原則です。これまでの被災地でも、二重ローンで大変な思いをしながらもローンをもう一度組んで、二重のローンを払って住宅再建にこぎつけた、という被災者の方がたくさんいます。その方たちにとって何が大きな鍵になっているかというと、もちろん公的に受け取ることができる支援金というのもありがたいのですが、もっと大事なのは仕事があるということです。つまり返す当てがあるかどうかということが、頑張ってもう1回ローンを組もうという意思決定をするときに、とても大きな要因になっています。大変でしんどいけれども、失業しないで仕事に就けていたり、あるいは親子2世代でローンを組むことができたりして返す当てがあれば、もう一度ローンを組んででも頑張って、新しい家族のとりでをつくろうとしている人もいます。

そうは言いながらも、公的な支援金というのは大変ありがたいわけです。「いくらくらい出るのか」というと、自宅が全壊をして新たに建て直した方たちについては、1世帯あたり最大で300万円の生活再建支援金を受け取ることができますので、これは住宅再建に活用することが可能なお金となります。

住宅再建のための支援金

自宅が全壊をして、住宅を建て直さなければいけなくなってしまった方には、被災者生活再建支援金といって、最大で300万円、住宅再建に使える支援金を受け取ることができます。これと合わせて、災害救助法の制度の中で受け取れる支援に、住宅の応急修理制度というのもあります。ですから、合わせると350万円ぐらいの公的な支援金が使えます。もちろんこれはありがたいですが、実際に住宅を建て替えるときには、もっともっとお金が掛かるわけです。中には3千万、4千万、あるいはもっとたくさんのお金が掛かるところもありますし、さらに二重ローンを抱えている方もいますので、300万、350万はありがたいですが、公的な支援金をもらったから住宅再建ができるというわけでは決してありません。

そこのところを私はすごく協調してお話をしたいところです。なぜかというと、災害が起きると報道などで「支援金がもらえないから、被災者の生活再建はできないんだ」「こういうケースは支援金がもらえないから住宅が直せないんだ」とよく言われますが、これは話が逆です。頑張って、自分自身の自助努力で住宅を直そう、住宅を建て替えよう、住宅再建に取り掛かろうという意志を持った人にとっては、公的な支援はとても大きな後押しになります。しかし、それはあくまでも自助努力をバックアップする後押しにしかなりません。まず自分自身で家族や地域と協力をして、地域の再建、生活再建を頑張ろうという意志を持つこと、これがとても大事だと思っています。そういう方たちにとっては確かに公的支援というのはとてもありがたいお金になると思います。

罹災証明書で大規模半壊、半壊だけれど修理するにしても相当お金が掛かる、壊して建て替えてもあまり変わらないくらいの壊れ方をした方にも、被災者生活再建支援金が出ます。半壊の住宅で、建物そのものは大丈夫だったけれども、例えば裏が崖地で崩れてくる危険性がある場合は、罹災証明書は半壊だけれども、ここで直すととても危ないので、やむを得なく壊して建て替えたり、別の場所に建て替えるというケースもあります。そういう場合には「みなし全壊」といって、これもちょっと専門的な言葉ですが、罹災証明書の上では半壊だけれども、実際には壊して他で建て替えたりするときには、罹災証明書の判定とは別に被災者生活再建支援金が受けられるという支援制度もあります。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。