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防災インタビューVol.67

賢い被災者になるために ~被災からの生活再建に向けて~

放送月:2011年9月
公開月:2011年11月

重川 希志依 氏

富士常葉大学教授

防災意識について

早いもので、東日本大震災からもう6カ月以上がたちました。私はこういう仕事をしていますので、時間がたってもその意識は変わらないのですが、マスコミで取り上げられる機会が減っていくと、多くの方はつらいこと、嫌なことはだんだん考えないようになってしまうのではないかと心配しています。

防災訓練なども参加するのは同じ人ばかりで、声を掛けても出てこない人が増えています。その上、防災訓練どころか町内会費すら払わないということで、これは都市部だけではなくて日本全国、地方都市に行っても皆さん同じ悩みを抱えていて、日本全国的にコミュニティー崩壊、コミュニティーの希薄化がとても大きな問題になっています。特に防災訓練では、一般的には物資搬送や炊き出し訓練、避難訓練などをしていますが、炊き出し訓練などはしなくてもご飯は作れますし、避難訓練などしなくたって学校までは歩けます。「本当に大事なのは一体何なのだろうか」ということを考えたとき、一番大事なのは隣近所の人の顔を知っているか、普段その人たちと話しているか、名前を知っているか、ということだと思います。交友関係をつくる場所の一つが防災訓練の場であり、夏祭りの場であり、地区の運動会だと思います。防災訓練に出てこないから防災が駄目なのではなく、隣の人と話しているかどうか、隣の人の名前を知っているかどうか、避難所に逃げてきたときに近所の人の顔が分かるかどうかが大切です。逆に、あなたがいないときに避難所で、「あっ、重川さんまだ来ていない」と誰かが気付いてくれるかどうか、それが一番大事です。それさえ分かって皆が守り合えれば、ご飯は作れますし、名簿なんて作っていなくても「あっ、どこどこのおばあちゃん、いないじゃない」と言って探しに来てくれます。今はそれが後先逆になってしまっています。顔も知らない、名前も分からない、しかし全員が助かるためにどうすればいいかと考えるのは難しいです。個人情報がある中で、要介護者名簿、避難台帳を作って「さあこれを普段、誰が持っておくんだ?」「誰が助けに行くんだ?」ということになり、作ったはいいけれど皆頭を抱えてしまっています。それは、やるべきことが後先になってしまっているために大変になっているのではないか、という気がしています。

コミュニティーの一員として

防災訓練も大事ですが、もっと大事なのは自分でコミュニティーをつくって、コミュニティーの一員になっておくということです。コミュニティー活動というと、人のために参加させられていると誤解をしている方がよくいます。例えば、ごみ置き場を順番で掃除すると言うと、「ああ、面倒くさいな。地域のためにやらされているな」と思ってしまう方もいますが、実はコミュニティーというのは人のためにやらされているものではなくて、いざというときに自分が助かるために必要なものなのです。隣の人が「誰々さん、大丈夫?」と声を掛けに来てくれるためには、自分から地域の中に顔を売って、名前を覚えておいてもらわないといけません。自分が助かりたければコミュニティーの一員として、積極的にいろいろ活動に参加してください。それが嫌だという人は、いざというときには誰も助けてくれないということを覚悟してください、ということをいつも申し上げています。

どのような地域の集まりでもいいですし、集まりでなくても普段の挨拶でも結構です。必ず気持ちよく笑顔で挨拶して、一言二言声を掛け合う、そして名前と顔を知ってさえいれば、必ず心配になります。それが孤立しないで助け合う第一歩になりますので、とても大事です。これは全然難しくないですし、お金も掛からない、すぐにできる防災対策の第一歩です。

揺れている最中には動かない ~地震から自分を守るために~

もう一つ覚えておいていただきたいのが、特に地震災害から命を守り、けがをしないためのコツです。これも簡単なことですが「揺れている最中は絶対に動かない」ということです。地震の際によく、火事が起きてはいけないのでコンロの火を消す、玄関が開かなくなってはいけないのでドアを開ける等々、揺れている最中にあたふたと走り回って大けがをするケースがたくさんあります。例えば、コンロに近寄った途端、鍋がひっくり返って大やけどをする、玄関に向かってダッシュしている最中に割れたガラスを踏み抜く、というようなことです。揺れている最中というのは、一番けがをしやすい時間帯です。電車に乗っているとき、家にいるとき、学校にいるとき、ビル街を歩いているとき、いろいろなケースがありますが、地震が起きたときに命を守る普遍的な大原則というのは、「止まって、小さな姿勢を取って、頭を守る」、これなのです。揺れている最中は動かず、小さな姿勢で頭を守る、これが大原則です。間違っても動いてはいけません。動こうとしてやけどをしたり、ガラスの落下で切り傷を負ったり、ということもありますので、かばんなどを持っていたら、それでまず頭を守ってください。

揺れが収まった後に気を付けてほしいのは火災です。青葉区などでもそうですが、人が死ぬような住宅の壊れ方は非常に少ないと思いますが、心配なのは火災です。延焼火災を起こしてしまったら、数千人、数万人の死者が出る可能性があります。これは関東大震災で、横浜や東京の人たちがつらい思いをした被害ですが、横浜には今でも延焼火災危険地域は残っています。非常の際は消防は当てになりませんので、その場で生き残った人たちが自分たちの町を守るために学校のプール、あるいは冷蔵庫の中のペットボトルの水などを使って火を消します。いざというときに使える水を知っておいて、小さな火のうちに消し止める。延焼火災を絶対に出さないようにすることが、命を守り、財産を守るためにも、とても大事な我が町、我が家の防災対策になると思います。地震保険も大きな頼りになります。私の知り合いで、東日本大震災の際に地震保険に入っていて、家が全壊したが450万円保険金をもらったという人がいます。地震保険は住宅の火災保険に入るときに、地震保険にも入りますというチェックをしてからでないと自動的に入っているわけではありませんので、チェックをした上で必ず入っておいてください。これはいざというときに頼もしい力になります。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。