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防災インタビューVol.67

賢い被災者になるために ~被災からの生活再建に向けて~

放送月:2011年9月
公開月:2011年11月

重川 希志依 氏

富士常葉大学教授

プロフィール

私は今、静岡県富士市にある富士常葉大学で防災を教えています。この大学は阪神淡路大震災が一つのきっかけになり、また静岡は30年間にわたって東海地震の備えをしていますので、静岡にぜひ環境問題や防災問題を教える学部を持った大学をつくりたいということで、今から11年前、ちょうど西暦2000年に大学ができました。私は大学ができた時から、環境防災学部で学生に防災を教えると同時に防災の研究もずっとそこで続けているという日々です。富士常葉大学には学部が三つありますが、その中で防災を一つの専門科目として扱っている、多分日本で一番最初に防災学部として学部レベルで防災に取り組んだ大学だと思います。

富士常葉大学ができた当初から、消防士になりたいとか、警察や消防のような人の命を守る仕事に就きたいので防災を勉強したい、という意志を持って入って来る学生は大変多いです。警察や消防は公務員試験を受けなければいけませんので、大学で学ぶ防災の専門的な知識がそのまま公務員試験に直接役立つというわけではありませんが、論文を書いたり面接を受けたりする際に、意識が高く、専門的なことを知っているということで評価をしていただいているのではないかと思います。

実はさかのぼると古いのですが、私は学生時代は建築を学んでいました。建築の中でも火災に対する防火という部門がありまして、火災に対してどう建物を強くするか、延焼火災を防ぐためにどういう町並みにするかということを研究して、そのまま卒業して防災の研究機関に入りました。それ以降、対象とするのは火災だけではなく、地震や風水害などのいろいろな災害を対象にするようになりました。守るべきものも最初は建物でしたが、それが社会全般であったり、人であったりというふうにだんだん広がってきて今に至っているという状況です。

被災者学 ~賢い被災者になる~

「被災者学」、こういう言葉を使っていいか分からないのですが、このことについてお話ししたいと思います。もし自分が災害で被災をしてしまった場合、もちろん命を守ったり、避難所生活を送ったりするのですが、その後、暮らしの再建、住宅再建という長い長い道のりが待っているわけです。そこで「賢い被災者になる」ということをキーワードに、もう少し長い時間の中で、被災者として何を知っていればいいのか、どういうふうに振る舞えば、よりサクサクと楽に賢く生活再建ができるのかといったことを考えてみたいと思います。

幸い私自身は、まだ大きな自然災害によって大変な被害を受けて、被災者になるという立場にはなったことがありません。横浜市にお住まいの皆さんの多くも多分そういう方が多いと思います。しかし、ちょっと「自分が本当に大きな災害で被災してしまったら、一体どうなるんだろう」ということを想像してみてください。

東日本大震災の被災地で、今はちょうど仮設住宅が建って、避難所からそちらのほうにだんだん移っていくという段階に入ってきていますが、被災者の生活の大変さ、苦しさというのは、私たちは断片的な情報しか知らないのです。避難所の中で24時間、3カ月、4カ月暮らすというのはどういうことなのだろう、仮設住宅で、このあと生活はどうなっていくのか。このように、ある人の生活を縦に、時間に沿って見ていくということが、なかなかできていないのです。ですから、とても貧弱なイメージの中で、自分の被災者像というのを想像しなければならないわけです。それともう一つ、これからはやはり地域の復興がとても重要な問題になってきます。

現在は、暮らしの再建、地域の復興ということが盛んに言われるようになっています。その時によく取り上げられるのが、公的支援と義援金です。義援金というのは公的支援ではなく民間からの善意ですが、「義援金をいくらもらえるんだろう」「被災者生活支援金というのはいくらもらえるんだろう」「いろいろなものに対する補償はどれくらいもらえるんだろう」ということで、具体的に個々の被災者が一体どれくらいのお金をもらうことができるのか、ということがすごく話題になります。私が被災者になってもそうだと思いますが、「いくらお金がもらえるのか」、もちろんこれは被災者にとってとても重要で気になるところです。しかし、実はその被災者に対する公的支援というのは、お金の他にも、いろいろな形の支援がなされているのです。

被災者に対する金銭面以外での支援

大規模な災害が起こったときには避難所がつくられ、避難所では食事が提供されます。その他にも衣服や毛布、寝具なども提供されます。これは「災害救助法」という法律に基づいて被災者が受けられる災害時の行政からの支援です。この他にも仮設住宅が建てられ、被災者が無料で住むことができますが、こういうものも全て「災害救助法」という法律に基づいて、公的なお金で建てられるものです。公的な支援策として税金の減免、税金を減らしたり、免除したりという幅広い公的な支援策がとられています。このことを理解していくことが、まず第一歩になるのではないかと思います。

自分がもし災害による被災をしてしまったときに、より良い生活再建をする、つまり賢い被災者になるために普段から備えておくべきこと、知っておくべきことを考えてみようということでお話をさせていただきました。被災者になったときには、いろいろな公的な支援、具体的には支援金を頂けるということだけではなく、避難所での生活支援もしてもらえるし、仮設住宅を建ててもらって、家賃無料で最長2年間住むことができる。そういったさまざまな公的支援策がとられています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。