素早く情報を知るために ~Xバンドレーダー~
急な気象の変化に対応するには、情報を早く入手するということが必要です。そのために、われわれは「Xバンドレーダー」というもので、今雨が降っている状況を細かく、ほぼリアルタイムで、インターネット経由で提供しています。誰でも見ることができますので、検索して見ていただければ「今ここに非常に強い雨が降っている」という情報を、細かく色分けをして分かりやすく提供しています。ぜひご覧いただければと思います。これは検索エンジンで「Xバンド」と入力していただければヒットしますので、そこを見ていただくか、もしそれで駄目ならば「川の防災情報」というようなキーワードで検索していただければ、実際に関東の、東京のこの辺りに雨が降っているとか、雨雲が発達しているという状況を見ることができますので、ぜひ見ていただければと思います。これは、ほぼ1分間隔ぐらいで更新をしていますので、自分のお宅の上に雨がいつ頃来そうかというのも、見ていただければ分かります。まだご存じない方もいるかと思いますが、ぜひご活用いただければと思います。
ハザードマップを災害に生かすために
最近はハザードマップも作られていますが、これは水害が起こったときに、どのくらいの深さで、その地区は浸水するのかというような情報と、どこに逃げればいいのかという情報を地図の上に書いているものです。このようなハザードマップは、ほぼ全国の自治体で作られていますので、ぜひそれぞれお住まいの所のハザードマップをご確認いただければと思います。
まずはハザードマップをよく見て、自宅や会社の周辺を見ておき、頭の中に入れておくことは大切です。必ずしも本当にその被害が起こるかどうかというのは、やはり起こってみないと分からないですし、この前の大震災のようにハザードマップ以上の災害が来ることもありますので、全くそれだけを見て安心してしまうというのも逆にまずいのですが、大体このくらいの被害が起こるかもしれないというのを頭の中でシミュレーションしていくことで、だいぶ被害の大小が変わってくるのではないかと思っています。
東京周辺は土地が低い所が多いので、実際に津波が来た場合の被害については、今回の地震を受けて「まずはどのくらいの高さの津波が来る可能性があるのか」「では、どれくらいの津波の高さまで防御できるような堤防を造っておくべきか」というような議論がちょうど今なされているところです。今の段階では「絶対大丈夫」とも言えないのですが、本当に巨大な10メートルを超えるような津波が襲ってくるというような想定にはなっていません。東京湾は、湾が奥に広がっていて水深が浅いので、今までは比較的津波の影響は少ないのではないかと言われていましたが、今回の地震を踏まえて最初から、ゼロから検討しているということかと思います。
今、われわれは、このハザードマップについてアンケート調査をしていますが、「地図を見て、そのまま戸棚の中にしまってしまった」「見ていない」「もらった時は見てみるけれど、すぐそれを忘れてしまう」というような結果が出て、なかなかハザードマップも実際には伝わっていないというような傾向もあります。どうしたらそれを見ていただけるか、ということも今後、検討していかないといけないと思います。
ハザードマップは全戸配布している自治体も多いですが、もらったきりということも少なからずあるというふうに聞いています。そういうことが極力ないように、今では「丸ごと町ごとハザードマップ」といいまして、町中に立っている電柱に「ここの地域はここまで浸水する恐れがあります」という印をつけたり、その電柱に「避難場所はこちらです」というような案内を書いたりという工夫をして、必ずしもその紙を見なくても、その現地で「じゃあどっちに逃げればいいんだ」とか「ここはどのくらい水が来るんだ」というようなことを示す、水害や津波に対する取り組みをやっています。普段でも東京湾では毎日2メートルぐらい、干潮と満潮の間で水位の変動をしていますが、その水位がリアルタイムで出るような電光表示板が江戸川区役所の前に付いていたり、「過去にここまで水が来ました」というようなサインを各学校にされたりとかいうことで、さまざまな形で一般の方々に、潜在的な危険性を知っていただくというような取り組みが行われています。