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防災インタビューVol.72

水害から町を守る

放送月:2012年2月
公開月:2012年4月

小島 優 氏

国土交通省荒川河川局長

スカイツリーと舟運

スカイツリーと舟運について、お話ししたいと思います。舟運というのは文字の通り、舟で運ぶと書きますが、墨田区に今年の春スカイツリーがオープンしますが、この辺りは江戸の時代から網の目のように水路が張り巡らされているような所であって、今は川になっていたり水路になっていたりするのですが、実はその水路というのは、江戸時代に物を運ぶために人工的に掘られた運河です。江戸の下町地域では、もともとは水を使って舟で生活物資や産業に使う物資を運んでいたわけです。ただ、交通が近代的になって、陸上交通がかなり発達してきたため、なかなか水運自体が活発な状況ではなくなっているというのが昨今の状況ではあります。今回スカイツリーができるということをきっかけに、ぜひそうした水運を盛り上げていこうという機運が、かなり下町地域では盛り上がっています。

普段は今でも隅田川の水上バスや観光船は、かなりにぎわっていますが、それを江東内部河川とわれわれは呼んでいますが、網の目のように張り巡らされた、この水路の中に、ぜひ船で観光目的で入っていただいて、スカイツリーを眺めていただきたいと思っています。外国でもベネチアやパリでもそうですが、船を使った遊びというのがかなり盛んですので、「ぜひ下町でも」ということでやっています。これは防災にもつながっていくことだと思います。なぜ防災かといいますと、大震災のときは陸上交通が寸断されたりすることが十分起こり得るわけです。建物が倒れてきたり、避難するための車で交通渋滞が起こってしまって緊急物資を運べなかったり、救急車両が入れなくなったりということも、実際に阪神淡路大震災の時でも起こっています。そうした時に船を使って、救急で運ばなければいけないような方を運んだり、避難物資を船を使って運び入れるというような取り組みというのが、非常に今注目されています。

去年の大震災の時も、東京で交通まひが起こりました。そうした中でも水面自体は使えますので、船を使って人や物を輸送しようということで、特に防災の観点で川岸に船が着きやすいように船着き場を造ったり、船が通れるような水門に改修したりというような取り組みが今、東京都やわれわれ国交省などでも進められています。しかし、これは災害が起こったときだけ使おうといっても、なかなか難しい話なので、普段から使っていくことが大切です。

東京近郊の主な川である隅田川、荒川、江戸川は、部分的には水門などで閉じられて、入れない水面もあるのですが、実際は全部水面でつながっています。ですので、時間をかければそこを通れるというような状況です。まずは観光目的で、そうした船を活発に動かして、いざというときには、そういう船を使って人とか物を運んでいこうというような取り組みを進めていきたと思っています。

テックフォース ~緊急災害派遣隊~

われわれ国土交通省では、緊急災害派遣隊というものを持っていて、テックフォースという愛称で呼んでいます。これは災害が起こった際に、その自治体などに対して技術的な支援を行うために、国土交通省の職員を全国から派遣するというものです。例えば、自衛隊の災害派遣、警察・消防の緊急援助隊のような、国土交通省版の災害派遣だというふうに思っていただければよろしいかと思います。

私ども国交省は、全国に河川事務所を349ほど持っていますが、その中で川の技術の仕事、道路の仕事とか土砂災害に対する仕事など、さまざまな技術者がおりますので、そうした人間を被災地のほうに派遣して、災害時の復旧や自治体の行政支援を行っていくという取り組みをしています。

今回の東日本大震災の時も、東北地方にも300人近い人間を一時送ったりしておりますし、今回のタイでの大きな水害で日本企業も大変な被害を受けましたが、その際に、国土交通省の持っている排水のためのポンプ車を人と共にタイに派遣しました。水がたまってしまうと自然には排水できないので、ポンプを持っていって水をかき出す作業をして、工業団地の排水をお手伝いするような取り組みもしました。ぜひそうしたテックフォースがあるということを知って、使っていただければと思います。

災害を少しでも減らすために

われわれ役所でも、災害を防ぐための対策やインフラの整備、あるいは被害を減らすために情報を極力分かりやすく提供するという取り組みをやっております。一方で、それぞれ住民の方も防災に対する意識を持っていただいて、特に地形や雨の情報を知って防災行動に役立てていただくということが、防災のためには車の両輪として必要かと思います。ぜひそのへんを皆さまにご理解いただいて、被害を少なくできればと考えています。

そのためにも、まずはハザードマップを見ていただいたり、あるいは国土交通省ホームページで情報を得ていただければと思います。事務所のほうに直接お越しいただいても、そのへんのお話はできるかと思いますので、ぜひ私どもの事務所にもアクセスしていただきたいと思います。なかなか敷居が高いように思われていますが、気軽に立ち寄っていただければ、十分にいろいろな情報はお出しできると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

国土交通省のホームページを見ても役立つ情報はありますが、非常に情報量が多いので、どこを見ていいのか分からないということもあります。そのへんも含めて、荒川下流事務所のように、お住まいの近くの川の事務所やホームページにアクセスいただければ、その場所に即した情報が載っているかと思いますので、ぜひご覧いただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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