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防災インタビューVol.81

地域防災を考える ~渋谷区の災害対策から~

放送月:2012年11月
公開月:2013年1月

田山 宗昭 氏

渋谷区役所危機管理対策部防災課長

地震が起きる前に

地震に対する対策は、各地域の調査を生かして、きちんと対策を積み上げていく予定ですが、事前の対策の中で一番大事なのは、地域の防災力であり、一人一人の対策です。何回も繰り返しお話ししましたが、やはり地震が起きた直後は、行政は多分、地域に来ることができないので、役には立たないと思います。ですから、地震の揺れが来たときに自分自身がどのような行動をすればいいのか、避難所はどこなのかというようなことを事前に知って、対策を立てておく必要があります。

皆さんの周りに避難所、避難場所、一時集合場所があると思いますが、その違いはご存じでしょうか? 一時集合場所というのは「まず皆でそこに集まって、周りの様子を見ましょうよ」という場所です。避難場所、広域避難場所は、周りが大火事になってしまった場合に逃げる場所。避難所というのは家が壊れたり、火事に遭って行き先がなくて困っている場合に、仮設住宅が建つまでの間に仮に生活する場所で、学校の体育館などがよく使われます。このような違いがあるのですが、あまりよく分かっていない方も多いと思います。まず皆さんは、避難時の行動を事前に考え、水や食料、ラジオなどの必要なものを備蓄しておくことが必要です。また、あとは地域の皆さん、隣同士で助け合うことも重要です。「隣のおじいちゃん大丈夫かな?」「けがしていないかな?」そういうのを確認し合うことが大切で、渋谷区では自主防災組織で、皆さん本当に熱心に訓練しています。

区民が支える渋谷区の防災対策

渋谷区の防災対策というと、区役所の対策だと思いがちですが、実際には、渋谷区の防災は渋谷区民が支えています。普通、防災訓練というと起震車に乗ったり、消火器の使い方を訓練したり、バケツリレーなどを行います。これもとても大事ですが、渋谷区では、地震が起こった後、時系列に従って訓練をしています。例えば今、地震がグラッと起きたとしたら、まずは自分の身の安全の確保をします。次に1カ所に集まって、そこでお互いの安否を確認します。そして、近所のおじいさんやおばあさんがどうしているかを確認するために、それぞれが点検して回ります。その後、実際に車いすを押しながら避難所となる学校に行きます。避難所では受け付けをしたり、班編成をしたり、ご飯を準備したり、医療救護をやったりします。そういった役割分担をして実践的に、時系列と言いますが、時間を追っていろいろ変わっていく対策を実際に訓練でやってみています。これを住民の人たちだけの手でやっていくということが随分進んでいます。おかげさまで去年、『日経グローカル』という行政の専門誌が、全国1800の自治体にアンケート調査をやった結果、渋谷区は地域の防災力で全国1番になりました。

渋谷は意外に下町的な良さが残っている街ですが、渋谷の発展のきっかけは関東大震災でした。関東大震災の時に下町で被災した人が渋谷の方に集まってきましたが、渋谷区で関東大震災の死者は19人でした。渋谷というのは地盤が意外に強くて、地震の揺れには実は強い地域です。渋谷には下町の老舗が百軒集まってできた繁華街、百軒店(ひゃっけんだな)という場所があります。この渋谷で現在、街に来る人たちを守るため、そして住民を守るために防災対策が進められています。帰宅困難者に対しては協議会がしっかりと支え、区民の人たちは地域の皆さんが支えています。勤めている方、学生の方、住民の方、それぞれ一人一人が渋谷の防災を支えています。これがやはり、防災力ナンバー1になったゆえんではないかと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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