1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. コミュニティを守る「地区防災計画」
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.182

コミュニティを守る「地区防災計画」

放送月:2020年11月
公開月:2021年3月

金 思穎 氏

専修大学 人間科学部研究員
専修大学 社会知性開発研究センター客員研究員
福岡大学法学部 非常勤講師

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

コロナ禍における地区防災計画作り

神奈川県横須賀市にあるマンション「よこすか海辺ニュータウンソフィアステイシア」の事例について紹介したいと思います。このマンションは全国で初めてマンションの地区防災計画を作成しました。最初は人間関係が希薄だったのではないかと思われますが、地区防災計画づくりをはじめとするコミュニティの防災活動や定期活動を進めたら、マンションの住民同士が仲良くなり、高齢者や子どもの見守りをしたり、一緒に防災訓練で炊き出しをしたりということで、お互いに助け合うようになり、人間関係が良くなりました。そしてこのコミュニティの防災活動や良好な人間関係が評判になり、このマンションに移住したいという方がたくさん出てきたそうです。そのため、マンションの価格が10%程度上昇したということでも有名です。不動産価値まで上昇する活動をしているというのはすごいことですが、ここでは2009年の新型インフルエンザ発生前からマスク、うがい薬、アルコール消毒薬などの備蓄をして、感染症対策を進めていました。今回のコロナ禍でも早期にコロナ対策に取り組んでいました。

このマンションではないのですが、連合自治会加盟マンションで2020年3月に1人のコロナウイルス感染者が確認されたという事例がありました。しかし、このマンションでは共用施設の消毒などによる感染予防対策の徹底に加え、感染した方やその家族の方が外出しなくても大丈夫なように、コミュニティで買い出しを支援するなど、共助の考え方を徹底させました。その結果、それ以降は連合自治会加盟マンションでは1人の感染者も発生しませんでした。このようにして、自分たちで感染を止めたというのは、とてもすごいことだと思います。このように、日頃の防災対策は、感染症対策にもつながります。感染症も含めて危険を予測して、それを回避するという防災活動を日頃から徹底しており、感染された方が出た後も、感染された方、そのご家族をコミュニティの共助によって支えつつ、感染症の蔓延を防ぎました。これは日頃の人間関係や備えの延長ではないかと思います。やはり平時の取り組みが発災時にも問われるわけです。

コロナ禍での避難

コロナ禍を踏まえたコミュニティの防災活動を考えるに当たって、「避難」については重要な論点です。私は福岡大学法学部で、大学生の防災士資格取得のための講義をやっている関係で、福岡市鶴田校区での事例を紹介します。それは、2020年9月の台風10号の際のコロナ禍での避難の事例についてです。

この福岡市鶴田校区では地区防災計画があるわけではないのですが、高齢者、子どもの見守りを重視しており、社会福祉協議会の「高齢者ふれあいネットワーク」という住民や関係団体が連携して要支援者を支援する活動と連携し、福祉と防災を連携させています。2018年の西日本豪雨などでも早期避難に成功しています。2020年9月の台風10号の際には、特別警報が出ると言われていたこともあり、早期に避難所を開設し、受付で行政と連携して、避難者の名簿作成、発熱などがないかの聞き取り、検温、消毒などを進めたほか、避難者の受け入れ数を制限したり、避難所を分散したりしました。また、感染者が出た場合に備えて、隔離エリアや医療機関に運ぶための車両なども確保しました。実際には感染者は出ませんでしたが、その際の教訓を踏まえて、現在、避難所のレイアウトや人の動線などの見直しを進めています。

コロナ禍での避難となりますと、受付での検温、消毒から始まって、避難者間のスペースの確保、感染者が出た場合に備えた隔離スペースや搬送用の車両の確保などが必要になります。そのため、避難者の方も当然ですが、コミュニティの役員や行政の担当者の方々の負担も大変大きくなります。この校区の活動を先導されているリーダーの方は、奥さまが日赤病院の看護師長を務めており、また、福祉活動を防災活動と連携させて進めるなど工夫されてきました。それでもコロナ禍ではかなりご苦労されています。日頃からコミュニティの防災活動が進んだ地区でも、これだけ対応が難しく手探りで進めているということが言えると思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。