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防災インタビューVol.185

情報の見える化による新しい防災

放送月:2021年2月
公開月:2021年6月

村上 建治郎 氏

株式会社Spectee 代表取締役 CEO

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

未来の防災

防災技術は、現在どんどん進化していっています。特にここ最近では、AIが出てきたり、ドローンの技術など、いろいろな技術が出てきて、それを防災に使っていこうという取り組みがされています。例えば災害が発生したときにドローンを飛ばして上空から被害状況を即座に判定することを進めたりしていますし、またドローンにAIアナウンサーの音声を搭載して、上空から避難を呼び掛けたりすることも、今できるようになってきています。

ドローンの技術は結構進んでいまして、われわれが神戸市と昨年実施した防災訓練の中で、ドローンを使って、人がいる場所を見つけ出し、ドローンがその場に近づいて行くという実験をしました。そこからAIアナウンサーの自動音声を使って、「避難所はこちらですよ」というのを音声で案内し、ドローンがずっと誘導して行ってくれるというようなこともできるようになっています。それまでは、災害が発生すると、防災無線で「避難してください」というような放送を流すことが多かったのですが、記憶にある方もいらっしゃると思いますが、東日本大震災の時に南三陸町で当時24歳の職員が、防災無線でずっと避難を呼び掛けていて、最終的に津波にのまれて亡くなってしまったというような悲劇もありました。災害が発生すると、やはり職員の方も被災者ですので、安全な場所に避難する必要があります。防災無線を使って避難を呼び掛けるというのもとても重要な仕事ですが、現在では、AIアナウンサーが自動音声で呼び掛けを行うこともできますし、ドローンも自動で飛ぶことができます。その他いろいろな技術がありますので、避難誘導をさせたり、避難場所をお知らせするというようなことは、人が防災無線を通じてやらなくても無人で行えるのではないかと思っています。

このように、未来の防災ということを考えたときに、より人が関わらずに無人でやっていくこと、完全に無人とは言えないとしても省力化していくというのは、とても大事なことだと思いますし、実際の職員の方々も、危険な場所、危険な対応については、ドローン技術や、AIアナウンサーの自動運転技術を利用して、より無人化していくことが必要だと思います。

実際、東日本大震災の時の津波や原発事故もありましたが、人が入れない場所というのもありますので、ロボティクスの技術を活用して、より無人化、省力化していって、AIやロボット、ドローンなどの技術を使って安全に防災対応していくというのがこれから必要になってくると思いますし、少しずつそういった技術が浸透してきて、防災の分野でも使われるようになりつつあると思っています。

正しい情報の活用

災害時の情報の利用についてお話ししてきましたが、特にコロナ禍においても、錯綜している情報の中から正しい情報を読み取ることの難しさがあると思います。災害時も結構そういうことが起きまして、例えば2020年の九州豪雨の際に、自治体では、避難所に避難するように指示を出したのですが、SNS上には「避難所がもういっぱいになっている」という情報が流れ、実際はこれはデマだったのですが、コロナ禍で人が多い所には行きたくないという心理も働いて、実際に避難すべき人が避難しないということが起きました。このような場合に、間違った情報を入手してしまうことで、間違った判断をしてしまう可能性が出てきます。情報の真偽を確認することは非常に難しいことではありますが、やはり情報を正しく取るということが重要です。情報の真偽を確かめることは、AIを持ってしてもなかなか難しいのですが、われわれの会社もAIで情報の正確性を判断して、最終的には必ず人が何度もチェックをしています。やはり一般の方も情報を受け取る時には、必ずその情報は本当に正しいのかを確認し、例えば自治体の公式のホームページに本当に書いてあるか、他のメディアを参照してみて、これは本当に正しいのかとか、そういった確認する癖を普段から付けておく必要があると思います。情報に惑わされないよう、普段から情報を確認するという癖を付けることが、とても重要になると思っています。

特に今、防災という側面で言うと、日本では、毎年のように何かしらの災害が起きています。地震や台風、最近は梅雨で前線が停滞して大雨になってしまうというようなことも起きており、災害大国になっています。災害対応というのは、普段からの心掛けがとても重要ですし、建物の耐震補強をしたり、ハードウエアでの災害対応も必要ですが、それだけではなく、これからは、AIを使った情報解析など、そういったソフト面での災害対応というのがとても重要になってくるのではないかと思います。正しい情報ソースで、正確な情報を入手し、必ず自分で確認するという姿勢がとても重要だということを心に留めていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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