最も発生する可能性の高い身近な災害が火災。
災害のイメージとして水害や大地震といったものが浮かぶと思いますが、冷静に考えてみますと家で起きる火災が最も身近で多い災害であることが分かります。年間の発生件数も約4万件程度あります。
火災が発生して、はっと気が付いた時に火の高さが目線まで上がっていた場合、天井に火が届くまでどのくらいの時間がかかるかわかりますか?実はあるデータによると、たったの20秒程度と言われています。多くの家庭では、邪魔だからと消火器が玄関に置いてあります。マンションでは、共有部分の通路に消火器があるので、いざという時にはそれを取りに行けばいいと思っているかもしれません。火事が起きて、マンションの通路に消火器を取りに行って20秒で戻って来られるでしょうか。火事が起きても消火器を取りに戻って亡くなってしまうという方が非常に多くいらっしゃいます。
もう1つ、火災は天井に火が届くと消すことが出来ません。例えばろうそくから紙に火をつけようとした場合、火の上に紙を置きますよね。つまり火は熱なのです。熱は上にあるものをどんどん飲み込んで広がっていきます。ですから、火災が床にあるうちはそんなに早く燃え広がりませんが、天井に届いた瞬間に一気に燃え広がります。火災は時間との戦いで、天井に火が届くまでにすぐ初期消化が出来るかどうかがものすごく大切になってきます。初期消火の最も大切な武器が消火器です。私共が作っている投げる消火用具のようなものを備えていただき、素早く火を消すということが重要になると思います。
火災を発生させると犯罪者になってしまうことも
火災は、場合によっては発生させた人が犯罪者になってしまうことがあります。過去の裁判の判例をご紹介します。ストーブの近くにダンボールを置いたまま居眠りをしてしまい、火災が発生しました。火事を起こした人は、驚き慌ててその場から逃げてしまい、それによって火災が拡大してその結果死者が出てしまうという悲しい事件がありました。
このような事件では、なぜ火事が起きたのか、どういう原因で起きたのかということを調査されます。火事を起こした方が、注意・警戒をしてきちんと対応していれば、この火事は起きなかったという判断がなされた場合、ストーブの横に段ボールを置くということは、火事になることが安易に想像できます。それなのに、そんな危険なことをして居眠りをし、さらに逃げてしまったということで、この方は放火犯であるという判決が下されました。
火事というのは、拡大すると人の命を奪ってしまうことがあることから重過失を問われることがあります。重過失と認定されると、火災保険を毎月支払っていても利用できなくなってしまいます。例えばアパート、マンション、他の近隣住宅が全焼してしまった場合、その各部屋・各お家が契約している保険会社から、まとめて損害賠償請求が来てしまうこともあります。火災が起きないようにきちんと管理していれば、このようなことはありませんが、ちょっとした気の緩みで重過失と認定されてしまうと、あっという間にお金も取られてしまい、放火犯扱いになってしまいます。
火災というのは火事自体も怖いのですが、それによって人の命を奪ってしまったり、自分の人生も変わってしまうこともあるので、火を扱うときにはしっかり意識を持ち、お家で火事を起こさないように注意をしていただきたいと考えています。