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人手不足の業界は?原因や必要な対策を詳しく紹介

現代日本は、多くの産業において慢性的な人手不足に悩まされている状態にあります。中でも医療・福祉業界や建設業といった特定の業界は人手不足が深刻化しており、事業を継続・発展させるためには何らかの対策を講じる必要があります。

そこでこの記事では、人手不足が発生している原因や、特に人手不足が深刻化している業界、必要な対策について解説します。人手不足の悩みを抱えている方や、限られた人材で業務を回すための方法を模索している方はぜひ参考にしてください。

多くの業界で人手不足が発生している原因

内閣府の発表によると、2024年6月時点の雇用人員判断DI(企業の雇用人員の過不足を測る指標)は、全規模全作業ベースでマイナス35%ポイントとなっており、「不足」と回答した企業が「過剰」と回答した企業を大きく上丸結果になっています。

なぜ多くの業界で人手不足の問題が生じているのか、その理由は大きく分けて4つあります。

(参考:内閣府『令和6年度 年次経済財政報告 第2章 人手不足による成長制約を乗り越えるための課題 第1節』

少子高齢化による労働者不足

日本の生産活動を中心となって支える15~64歳の人口(生産年齢人口)は、2024年12月1日時点で7,374万1,000人で、総人口の59.6%となっています。日本の生産年齢人口は1990年代にピークを迎えた後、右肩下がりに減少し続けており、2065年には5割程度に低下すると見込まれています。

生産年齢人口はコアな働き手であるため、減少するほど労働者不足も顕著です。今後も生産年齢人口の増加は当分見込まれないことから、女性やシニア層の社会進出を促すとともに、現在の人手のみで効率良く業務を回す工夫を取り入れる必要があるでしょう。

(参考:総務省統計局『人 口 推 計- 2025年(令和7年) 5 月 報 -」』
(参考:内閣府『人口減少と少子高齢化』

転職市場の活発化

以前に比べて、転職市場が活発化したことも人手不足の原因の1つに挙げられます。近年はインターネットの普及や転職支援サービスの展開などから、転職活動のハードルが低くなっており、早期離職する方も少なくありません。実際、総務省が発表したデータによると、直近(2023年12月)の就業者のうち、転職者は325万人、転職等希望者は1,035万人に上っており、いずれもここ数年連続で増加傾向にあります。

企業の方も自社の人手不足を補うために中途採用枠を増やすなど、転職希望者を受け入れる体制を整えており、以前に比べて人材の流動性は高くなっているといえるでしょう。
(参考:総務省統計局『直近の転職者及び転職等希望者の動向について』

働くことに対する価値観の多様化

近年の労働者は若者を中心として、待遇や人間関係だけでなく、仕事を通じて、知識やスキルを得られる環境かどうかも重視する傾向にあります。その結果、「より多くの経験を積みたい」「自分のスキルを養える職場に行きたい」と考えたとき、さほど抵抗なく他の業種や職種に転職する人が多いようです。特に近年は転職活動の活発化により、転職を希望すればすぐに行動を起こせる環境が整っているため、企業の中には早期離職に悩まされているところも少なくありません。

労働者の海外流出

現代はビジネスのグローバル化が進み、働く場所を海外で見つける人も増えてきました。2024年10月1日現在の海外在留邦人数調査統計によると、2024年における海外在留邦人数は約129万3,000人に上っており、うち4割強に当たる約58万人が永住者となっています。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、長期滞在者は2020年を境に減少傾向にありますが、一方で永住者は2020年以降も微増しており、海外に拠点を移す人が増えている事情がうかがえます。

もちろん、長期滞在者や永住者の全員が生産年齢人口というわけではありませんが、インターネットの普及によって海外との垣根が低くなっている今、働き手が海外に流出しているケースは決して少なくないと考えられます。

(参考:外務省『海外在留邦人数調査統計 令和6年(2024年)10月1日現在』

特に人手不足が深刻な業界

人手不足はどの産業にも起こり得る問題ですが、中でも以下5つの産業は特に労働者不足が深刻化しています。

  • 医療・福祉
  • 建設業
  • 運輸業・郵便業
  • 旅館・ホテル
  • 情報通信サービス

なぜこれらの業界は特に人手不足に悩まされているのか、その理由を詳しく説明します。

医療・福祉

現代日本は少子高齢化の影響により、医療や介護福祉へのニーズが急速に高まっており、人材の供給が追いつかない状態にあります。

もともと医療・福祉は重労働とされる仕事ですが、そこに人手不足が重なったことによって労働者一人当たりの負担がますます大きくなり、心身の限界から離職する人も少なくありません。特に福祉業界については賃金の低さも大きな問題となっており、介護福祉に関連する資格やスキルを持っていても、就職・転職を希望する人が少ないというのが実状です。また、2024年4月からは医師の時間外・休日労働上限規制が開始されたことから、現場では「人手不足なのに働けない」というジレンマも発生しているようです。

建設業

2023年における建設業就業者数の平均は483万人で、ピーク時であって1997年に比べると約30%も減少しています。若年層の働き手が不足していることに加え、当時現役で働いていた労働者の高齢化が進んでいるのが大きな要因です。

新たな働き手が不足している理由の1つに、他産業に比べて賃金が安く、就労時間が長いという過酷な環境があり、建設業では業界を挙げての賃上げに取り組んでいます。また、日本の多くのインフラは高度経済成長期以降に整備されたものであり、今後は老朽化を解消するための設備工事が加速度的に増える見込みにあります。しかし、現時点では需要増に対応できるほどの人材を確保できておらず、人手不足はますます深刻化すると予想されています。

(参考:厚生労働省『建設業を取り巻く現状と課題について』

運輸業・郵便業

運輸業や郵便業では、事業に必要不可欠なトラックドライバーの高齢化が進んでいます。厚生労働省のデータによると、道路貨物運送業における40歳~54歳までの割合は全体の44.3%、65歳以上は10%と、いずれも全産業の中で高い数値です。今後、中年層やシニア層が次々に退職した場合、ドライバーのなり手がいなくなり、人手不足がより深刻化する恐れがあります。

さらに、2019年4月(中小企業は2020年4月)より適用開始されたドライバーの時間外労働の上限規制や、EC市場規模拡大に伴う需要増が招く早期離職問題などが重なり、事業の継続が危うくなっている企業も少なくないようです。

(参考:厚生労働省『トラック運送事業をめぐる現状及び2024年問題への対応について』

旅館・ホテル

旅館・ホテルは他の産業に比べて離職率が高く、慢性的な人手不足に陥っています。厚生労働省が毎年実施している雇用動向調査の結果によると、2023年における宿泊業・飲食サービス業の離職者率は26.6%となっており、主な産業の中では生活関連サービス業、娯楽業の28.1%に次いで高い数値です。離職率が高い理由については、重労働なのに賃金が他の産業より安い(月給約25万9,000円)ことや、インバウンド需要の急増などが挙げられます。

(参考:厚生労働省『令和5年雇用動向調査結果の概況』
(参考:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査(産業別)』

情報通信サービス

情報通信サービス業における人手不足の大きな原因は、IT人材の需要増にあります。近年はどの産業でも人手不足やコスト減の一環としてDX化を推進しており、IT人材は引っ張りだこの状態です。他の産業にIT人材が分散したことで、情報通信サービス業に就く人材が減少したことが人手不足の要因と考えられています。また、IT人材は専門的な知識やスキルを求められ、人材そのものの母数が少ないことも原因のようです。

人手不足の業界において必要な対策

人手不足の大きな要因である少子高齢化は今後も加速化していくと予想されるため、現時点で人手不足の問題を抱えている業界は早急に然るべき対策を講じる必要があります。

ここでは人手不足が深刻化している業界が実践すべき対策を5つご紹介します。

DX化を推進する

DXとは、AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を駆使して業務フローを改善したり、新たなビジネスモデルを創出したりする取り組みのことです。例えば、日々の電子決済や勤怠管理、業務管理などにクラウドサービスを取り入れてアナログ業務の効率化を図る、AIを活用して一部の業務を自動化するなどです。建設業などの現場作業においては、ドローンを活用して点検業務を行う事例も増えています。

これらの取り組みによって業務フローや業務効率が改善されれば、現在の人材だけで業務を効率よく回せるようになります。新たなシステムやツールの導入コストは生じますが、業務効率化に伴うコスト減を期待できるため、長い目で見ればコストパフォーマンスに優れているでしょう。

業務の無駄を省く

現在の業務フローを改めて見直すと、これまで当たり前に行ってきたことの中に無駄が見つかるケースが多々あります。まずは日常的に行っている業務フローをチャートにして可視化し、無駄なプロセスを踏んでいないか、業務内容に重複が生じていないかをチェックしてみましょう。

工数やコストのかかるプロセスがある場合は、やり方を見直すか、場合によっては丸ごと省くのも1つの方法です。ただし、必要な業務まで省くとサービスや製品の品質が低下する恐れがあるため、慎重に検討する必要があります。

アウトソーシングを検討する

自社でどうしてもまかないきれない業務がある場合は、外部業者に業務を委託(アウトソーシング)するのも1つの方法です。アウトソーシングできる業務は、営業から人事、労務、経理、事務、システム開発など多岐にわたるため、自社でカバーできない部分のみピンポイントで委託することも可能です。人手が足りないというだけでなく、専門的な知識・技術を持つ人材がいないという場合も、外部のプロフェッショナルに任せれば人材の採用や育成の手間を省けるでしょう。

働きやすい環境を整える

人材の早期離職を防ぐためには、労働者にとって働きやすい環境を整えることも大切です。具体的には、長時間労働の是正や多様な働き方の推奨、有休や育休の取得推進などが挙げられます。

また、スキルアップやキャリアアップを目指す労働者向けに、独自の教育制度や評価制度を設けるというのも1つの方法です。さらに、現場の声を反映したオフィスレイアウトを採用する、コミュニケーションやリラックスを目的としたスペースを設けるなど、働く場所の改善にもこだわってみましょう。

外国人雇用を推進する

少子高齢化が加速化している日本では、働き手を国外に求めることも考える必要があります。実際、厚生労働省が発表しているデータによると、人手不足が顕著な業界(宿泊業や建設業、医療・福祉、情報通信業)では積極的に外国人労働者を雇用しています。

国でも、一定の技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れる特定技能制度の導入や、外国人労働者の生活支援や就業支援を行う登録支援機関を設置するなど、外国人労働者を受け入れる政策を実施。以前に比べると外国人を雇用するためのハードルは低くなっているため、業務に応じて外国人の雇い入れを検討してみても良いでしょう。

人手不足のお悩みを解決するならイッツコムへ!

イッツコムでは、人手不足に悩んでいる法人向けのサービスとして、業務効率化に役立つコネクティッドポータルとコネクティッドスペースシェアを提供しています。

ここでは2つのサービスの特徴と魅力を紹介します。

鍵の受け渡しを効率化できる「コネクティッドポータル」

コネクティッドポータルは、レンタルスペースの鍵の受け渡しを簡易化する便利なサービスです。近年は働き方の多様化の一環として、シェアオフィスやコワーキングスペースなどを活用するビジネススタイルが増えてきていますが、管理者と利用者の間で鍵の受け渡しを行わなければならないところがネックでした。

コネクティッドポータルを利用すれば、専用アプリとスマートロックを利用して解錠できるようになるため、面倒な鍵の受け渡しを省けます。また、API連携を行えば自社システムとダイレクトに連携できるため、物件や施設の予約も手軽になります。

予約業務を自動化できる「コネクティッドスペースシェア」

コネクティッドスペースシェアは、LINE上で施設の予約から解錠、料金決済まで行えるサービスです。予約→決済→時限キーの付与まで、人を介さずに運用できるため、予約業務を自動化することが可能です。

なお、LINEアプリがインストールされていれば他に専用アプリをダウンロードする必要がなく、すぐにサービスの利用を開始できるところも大きな利点です。前述したコネクティッドポータルにより、鍵の受け渡しも不要で、シェアスペースの利用にまつわる業務を大幅にスマート化できるでしょう。

まとめ


少子高齢化が進む現代日本では、どの産業でも人手不足が大きな問題となっており、早急な対策が求められています。人手不足に悩んでいる、あるいは今後人手不足が深刻化する可能性がある場合は、DX化や無駄のカット、アウトソーシングの活用など、さまざまな工夫を取り入れて人手不足を解消するよう努めましょう。

イッツコムでは、人手不足解消をサポートするサービスとして、鍵の受け渡しを省くコネクティッドポータルや、施設の予約業務を自動化するコネクティッドスペースシェアを提供しています。DX化や業務効率化を目指している方は、ぜひお気軽にイッツコムにご相談ください。