テレワークとは?働き方改革との関係や導入メリット・ポイントを解説
目次
テレワークは働き方改革推進の重要な施策の1つです。企業にも従業員にもメリットが多く、ICT環境整備によりコミュニケーションやファイル共有の解決できれば、魅力的な職場環境の形成に役立ちます。
テレワークと働き方改革の関係について、理解を深めたい方もいるでしょう。そこでこの記事では、働き方改革の基礎知識やテレワーク導入の課題・ポイントなどを紹介します。
働き方改革にテレワークが重要な理由とは?
働き方改革は日本社会が抱えるさまざまな課題を解決し、「一億総活躍社会」を目指す取り組みです。重要な施策の1つにテレワークの推進があり、効果的に運用すれば企業も従業員もさまざまなメリットを得られます。
働き方改革推進の骨子となる法律として「働き方改革関連法」が順次施行されており、政府はテレワーク推進の各種支援策を実施中です。
「一億総活躍社会」を目指す働き方改革とテレワーク
働き方改革とは、「一億総活躍社会」を目指す取り組みです。日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児・介護との両立といった働き手のニーズの多様化に直面しています。この中で、生産性向上や就業機会の拡大、意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題です。
働き方改革は、働き手一人ひとりが多様な働き方を柔軟に選択でき、より良い将来の展望を持てる社会の実現を目指しています。柔軟な働き方の選択肢として重視されているものが、ICT(情報通信技術)を活用して時間や場所を有効に活用できるテレワークです。
企業全体の働き方改革推進につながるテレワーク
テレワークは、育児や介護を行う一部従業員に対する福利厚生策ではなく、企業全体の働き方改革を推進する施策の1つとして期待されています。インターネットやリモートアクセス、各種クラウドサービスなどのICTを活用するテレワークなら、オフィスから離れた自宅などの場所で柔軟な働き方が可能です。
テレワークを導入することで、以下のようなさまざまなメリットを享受できます。
・育児・介護期の従業員のキャリア継続と離職防止に役立つ
・無駄な移動などの時間的・身体的負担を軽減し、従業員のワークライフバランスを向上できる
・遠隔地の優秀な人材や障がい者など、通勤が困難な人材も雇用できる
・災害時やパンデミック時にも事業が継続できる
政府は働き方改革とテレワーク推進の各種支援策を実施中
2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革関連法」は、働き方の柔軟な選択ができる社会の実現と、働き方改革を総合的に推進する法律です。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の達成、多様で柔軟な働き方の実現などに関する改正法が盛り込まれています。
また政府は、働き方改革にとって重要なテレワークについて、多角的な支援策を実施中です。主な取り組みとして以下のようなものを挙げられます。
・テレワーク・ワンストップ・サポート事業:中小企業や地方でのテレワーク導入を支援する、ICTや労務管理に関する相談センターや個別コンサルティング
・各種助成金制度:中小企業向けの「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」やサテライトオフィス整備向けの「地方創生テレワーク交付金」など
・各種ガイドライン:「テレワークセキュリティガイドライン」や「中小企業など担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」「従業員向けハンドブック」など
・各種インセンティブ制度:「テレワークトップランナー2023 総務大臣賞」や「テレワーク月間」など
テレワークの就業形態は3種類
テレワークは勤務場所によって「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3種類に分けられます。最も一般的な就業形態はICTを活用した在宅勤務ですが、外回りの営業担当者などによるモバイルワークや、企業が整備・契約したサテライトオフィスで働くスタイルも導入可能です。
1.在宅勤務
在宅勤務とは、オフィスに出勤せず自宅を就業場所とする働き方です。1日の始業から終業まで自宅で働く「終日在宅勤務」なら、通勤時間はありません。午前のみ・午後のみなど1日のうち数時間のみ自宅で働く「部分在宅勤務」は、出社または帰社の通勤時間をずらせます。
フレックスタイム制と組み合わせて家事・介護・育児・趣味の時間を柔軟に確保するなど、プライベートとの両立がしやすい働き方です。
特に通勤に長時間かかる社員や、小さな子供がいる家庭、介護が必要で長時間にわたって家を空けられない社員にとっては、満足度の高い働き方といえるでしょう。会社とのコミュニケーションを密に取れるようにしておくことで、在宅でも効率の良い作業が実現できます。
2.モバイルワーク
モバイルワークとは、移動中(電車内や空港のラウンジなど)や顧客先、カフェやホテルのロビーなどを就業場所とする働き方です。取引先への訪問が多い営業部署にとって有効な働き方だといえます。会社を経由せずに取引先へ向かったり、近くの場所でデスクワークを行ったりすることで、営業活動の効率化が可能です。
ただし外部のインターネット環境を使う場合は情報漏えいの恐れがあることや、労働時間が把握しづらいことが問題点として挙げられます。解決のためにはセキュリティ対策を強化できるツールの導入や、労働時間が管理できるサービスを取り入れるとよいでしょう。
3.サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務とは、企業が整備したテレワーク拠点を就業場所とする働き方です。例えば、本社勤務者向けに支社オフィス内にテレワーク専用の作業スペースを設けたり、顧客先の近隣にあるコワーキングスペースを契約したりします。
複数名が同時に利用できる職住近接の環境を確保することで、通勤時間の削減や業務効率化、遠隔地の人材活用などにつながる働き方です。
また「地方創生テレワーク」にも期待が寄せられています。地方にサテライトオフィスを設けることで、従業員にはワーケーションやテレワーク移住という選択肢も生まれます。結果、地方での雇用や新規ビジネス創出などで、地方の活性化に貢献することが可能です。
テレワーク導入が企業にもたらすメリット
ここでは、テレワーク導入により働き方改革を推進するメリットを解説します。テレワークはオフィスに出社することなく、日々の業務を進める働き方です。出社をする必要がないことでどのようなメリットがあるのかを確認することで、導入に対する理解を深められます。メリットや注意点を確認してから、具体的な導入方法を検討するとよいでしょう。
人材確保がしやすい
テレワークの利点は、社員が働く場所を選ばないことです。よって導入することで、多くの優れた人材を確保できるチャンスが高まります。
例えばPCだけで業務ができる部署ならば、わざわざ出社の必要はありません。そのため遠方在住者や、海外在住者までも幅広く採用するチャンスが広がります。人手不足を解消し、より優秀な人材を確保することができるのが、テレワークのメリットです。
コスト削減につながる
テレワーク導入は、企業のコスト削減にも有効とされています。最初こそICT環境を整えるための予算は必要ですが、長期的に見れば削減できるコストはいくつもあります。
出社のための通勤手当や、オフィス縮小による賃料などが、テレワークにおけるコスト削減の一例です。厚生労働省が委託しているテレワーク相談センターのホームページによると、年間で約1,500万円ものオフィスコストの削減に成功した企業が紹介されています。コスト削減にテレワークの導入は効果的です。
災害時のリスク分散
テレワークを導入すると、大規模な災害時にも強い体制が整います。社員は通勤する必要がないため、交通網が機能せずとも、企業として適切な対応が取れるからです。
またテレワークによってクラウドサービスを導入していれば、データをクラウドにバックアップとして保存できます。災害でPCやサーバが破損しても、クラウド上にデータがあれば復元は容易です。万が一の事態に備えやすいのも、テレワークの魅力だといえます。
【関連記事:BCP対策とは?必要性やメリット、運用のポイントを徹底解説】
社員満足度の向上
テレワークは多くの場合社員の満足度が向上することが分かっています。通勤時間の削減や人間関係のストレスから解放されることが、社員の働きやすさにつながるとされています。
レノボ・ジャパン株式会社が2019年に調査した「テレワーク利用実際調査」によると、テレワーク未導入の従業者満足度は28.7%に対し、導入企業では56.0%と約2倍の差がつきました。
年代別でも20代の約7割が「働きやすい」と回答し、30代以降でも約半数から同様の回答を得ています。社員満足度が高い企業になる手段として、テレワークは効果的です。
テレワーク導入時の注意点
テレワークによる働き方改革は、社員の満足度や業務効率を高められるというメリットがあります。ただし導入には、懸念される問題点もあるので注意が必要です。導入前にしっかり対策を講じておきましょう。こちらでは企業が抱える主な3つの課題について解説します。
1.コミュニケーション不足になる
テレワークを導入すると、社員間のコミュニケーションが取りづらくなります。オフィスのように気軽な会話や相談をすることが難しくなるためです。特に社員教育や密に連絡が必要な業務では、顔を合わせてコミュニケーションを取れない勤務形態では効率が落ちる可能性もあります。
このためビジネスチャットツールを用いたスムーズな報連相や、Web会議システムによる「顔の見えるコミュニケーション」を取り入れることが大切です。業務ファイルのやり取りのしにくさは、クラウドストレージを活用することで解消できます。
2.導入コストが高額である
テレワークによる働き方では、社員が使用するPCなどの端末、通信回線や必要な備品を会社負担とすることがほとんどです。通信費などは一律で金額を決め支給したり、セキュリティの整ったノートPCを貸与したりする必要があります。
通勤費やオフィスのランニングコストが抑えられるテレワークですが、導入初期は想像しているよりもお金がかかる可能性があります。ただし前述の通り、テレワークを継続すれば月々の費用は比較的抑えられるため、初期費用は早期に回収できることも。さらに高性能なツールを利用すれば業務の効率化を図ることが可能です。
3.人事評価が難しい
人事評価は働き方改革においても重要な課題となっています。特にテレワークでは、上司や同僚の目がない場所で勤務するため、労務管理、勤務評価、教育などが難しくなります。
既存の評価制度のままでは、テレワーク下においては成果物のみで評価をすることになり、そのプロセスや内容までを見ることができません。
また、業務における社員間の不公平感も表面化するケースもあります。企業によっては、人事評価制度の見直しや、人事評価制度ツールなどの導入を考える必要があります。
テレワーク導入による働き方改革推進の課題
テレワークは働き方改革推進に役立ちますが、中小企業における導入率は依然低水準です。業種によっては導入不可と考えがちで、地方創生テレワークが進みにくい傾向もあります。ここでは、テレワークや働き方改革の推進にどのような課題があるのかを、マクロな視点で見ていきましょう。
中小企業のテレワーク導入率は依然低水準
企業規模(従業員数)とテレワーク導入率には強い相関性があります。株式会社東京商工リサーチが2023年3年に発表した調査報告書によると、規模が小さいほどテレワーク実施率は低く、規模が大きいほど「A.従前から導入していた割合」も「B.新型コロナウイルス対策のために導入した割合」も高い関係です。
従業員300人以上の企業のテレワーク導入率は73.0%(A:23.9%、B:49.1%)に上りますが、従業員10~19人の企業は22.5%(A:5.2%、B:17.3%)と、大きな隔たりがあります。
一方で、導入済み企業に対する「今後のテレワーク活用予定」の回答は、全ての規模で「活用する予定」が7割弱から8割で最も高い結果となりました。中小企業のテレワーク導入が進まない傾向はあるものの、政府による助成金制度などを活用し、安定運用につなげることも可能です。
(参考:『テレワークセキュリティに係る実態調査 調査報告書|株式会社東京商工リサーチ 』)
業種によっては導入不可と考えがちな傾向も
テレワークの導入しやすさは業種によって異なります。業種別に見ると、「A.従前から導入していた割合」も「B.新型コロナウイルス対策のために導入した割合」も、最も高いのは情報通信業(A:22.3%、B:67.0%)です。次いで金融・保険業(A:16.7%、45.6%)となっています。
運輸業・郵便業(A:2.9%、B:18.6%)や建設業(A:5.3%、B:17.7%)は、テレワークの活用方法が分かりにくいかもしれません。
未導入で導入予定もない企業に対する「テレワークを導入しない理由」の回答は、「職種としてテレワークが実施不可だから(全員現場での作業が必要な職種など)」が81.7%と最も高く、次いで「テレワークに適した仕事がないから」が42.2%となっています。
在宅勤務が難しいまたは不可能な業種でも、部門や地域によってはサテライトオフィスを活用すること、配送スタッフや現場社員などがモバイルワークを取り入れることも考えられるでしょう。
(参考:『テレワークセキュリティに係る実態調査 調査報告書|株式会社東京商工リサーチ 』)
地方創生テレワークが進みにくい傾向も
テレワーク導入率は都市部と地方という地域差もあります。地域別に見ると、「A.従前から導入していた割合」も「B.新型コロナウイルス対策のために導入した割合」も、最も高いのは関東(A:9.3%、B:36.7%)です。東北(A:2.5%、B:14.8%)や四国(A:6.2%、B:13.5%)、信越(A:4.6%、B:16.0%)などとは大きな隔たりがあります。
市町村別に見ると、東京都特別区(A:14.2%、B:52.5%)が突出して高く、自治体の規模が小さいほど導入率は低い傾向です。
また「テレワーク導入に当たっての課題」の回答を地域別や市町村別に見ると、全ての地域・区分で「テレワークに必要な端末等の整備」が3割半ばから4割強で最も高く、次いで「セキュリティの確保」となっています。
政府は地方創生テレワークの支援も行っているため、安全で使いやすいICT環境の整備を検討しましょう。
(参考:『テレワークセキュリティに係る実態調査 調査報告書|株式会社東京商工リサーチ 』)
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コミュニケーション課題は「Zoom」で解決
テレワークはコミュニケーション関連の課題を抱えやすい働き方です。オフィス勤務者にもテレワーカーにも、使いやすいWeb会議システムやビジネスチャットは必須といえます。おすすめツールは、ビジネスシーンで圧倒的シェアを誇る「Zoom」です。
Zoomが狭帯域でも安定利用できる多機能なWeb会議システムとして知られますが、「Zoom Team Chat(チームチャット)」機能やホワイトボード機能など、コミュニケーションやコラボレーションに役立つ多彩な機能が統合されています。1つのツールでオンライン会議も報連相も完結できるのは大きなメリットです。
またE2EE(エンドツーエンド暗号化)などのセキュリティ機能、プライバシー保護や雰囲気作りに役立つバーチャル背景機能なども備えます。安全な常時接続に対応でき、テレワーカーのモチベーション管理に活用しやすいのもうれしいポイントです。
【関連記事:【2023年最新】Zoom無料版の機能制限や有料版との違いを解説】
ファイル共有の課題は「Box」で解決
テレワーカーが効率的に業務を遂行するためには、安全なファイル共有システムも必須です。いつでもどこからでもアクセスできるクラウドストレージも整備しましょう。
おすすめツールは、容量無制限かつ世界最高峰のセキュリティレベルを誇る「Box」です。7段階のアクセス権限設定や70種類以上のログ監査など、エンタープライズレベルの豊富なセキュリティ機能に対応し、あらゆるファイルを安全に保存・共有できます。
社内外ユーザーの安全な招待や、オンライン共同編集に対応するのもポイントです。関連機能も豊富で、Box内でタスク・プロジェクト管理や電子サインも完結できます。さらに1,500以上の業務アプリと連携でき、既存のICT環境にBoxを追加するだけで、効率的な業務システムを整備できることも利点です。
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【関連記事:安全なファイル共有の方法は?ビジネスにおすすめのクラウドストレージも解説】
まとめ
テレワークは働き方改革の重要な施策の1つで、政府もさらなる普及と活用に向けて各種支援策を実施しています。多様な人材の確保やワークライフバランスの向上など、テレワーク導入のメリットを享受するには、コミュニケーションやファイル共有の課題を解決するためのICT環境整備が必要です。
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