事例から学ぶ!データ共有の課題とクラウドストレージの活用方法
目次
ファイルサーバーが基盤のデータ活用には管理・コスト面やアクセス制御などの懸念点があり、データ共有をクラウド化する企業が増えています。データ共有に課題があると感じており、クラウド化に成功した事例が知りたい方もいるのではないでしょうか。
ファイルサーバー依存の課題を把握し、業界別のクラウド化事例やクラウドストレージ導入でビジネス課題を解決した企業の事例を知ることで、自社に合ったデータ共有の仕組み作りを具体的に検討できます。
クラウドストレージ「box」の導入効果を知り、データ共有を効率化しましょう。そこでこの記事では、オンプレミス環境のデータ共有の課題と、業界別・企業別のクラウドストレージ導入事例についてご紹介します。
企業がファイルサーバーを基盤にデータ共有する課題
ファイルサーバーは社内LAN内のデータ共有には有効ですが、多くの課題があることで企業を悩ませています。例えば、バージョン管理の難しさや運用管理コストの肥大化、社外とのデータ共有には支障が生じることなどです。まずはファイルサーバー依存のデータ共有の課題を解説します。
バージョン管理の難しさ
自社運用のファイルサーバーでデータ共有すると、社外ネットワークからのアクセスは困難です。基本的に社内LAN内のみに使えるデータ共有方法なので、本社だけでなく支社や工場などでそれぞれのファイルサーバーを運用します。
複数拠点でファイルサーバーを運用するとデータが分散してしまい、それぞれの拠点でファイルの編集を進めるため、バージョン管理が難しくなるのは懸念点です。また、メールやファイル転送サービスにはバージョン管理の機能がありません。
運用管理コストの肥大化
ファイルサーバーに依存している企業では、各拠点でサーバー設備を調達・管理・運用します。それぞれのサーバーに同じ内容のファイルが保存されることも多く、複数拠点で重複ファイルが乱立している状況は珍しくありません。
各拠点で機器の調達費用や電気代・人件費が発生していますが、複数拠点のファイルサーバーは統合できないので、必然的にコストの無駄が生じます。
コラボレーションの難しさ
データ共有の主な目的は従業員同士や社外のコラボレーター、クライアントとの情報共有や共同編集です。しかし、メールやファイル転送サービスは一方的な情報の受け渡しで、双方向的かつ即時的なコミュニケーションには向きません。
ファイルサーバーで保存されたデータも社外からのアクセスは難しいので、コラボレーションに支障をきたすケースも多いでしょう。
紙資料でデータ共有する非効率さ
紙ベースの資料作成や情報伝達、承認プロセスを継続している企業は珍しくありません。紙は印刷費・郵送費や保存コストがかかり、劣化や紛失による情報損失も起こり得ます。
ペーパーレス化を求める企業は多い一方で、情報を電子化できる制度作りやツールの導入ができなければ、ペーパーレス化は進行しません。
セキュリティ上の懸念点も
メールは宛先の間違いによる情報流出が起こりやすく、ファイル転送サービスはサービス事業者側のセキュリティ対策不足による情報流出の事例もあります。
ファイルサーバーはクローズドなネットワークで運用するという意味で安全ですが、サイバー攻撃に対する十分なセキュリティ対策には多額のコスト投下が必要です。さらに、バックアップ体制の不備があれば、災害時にデータが完全に失われる恐れもあります。
クラウドストレージによる課題解決
従来のデータ共有方法にはさまざまな問題点があり、ファイルをどこに保存し、どのように共有するのかは大きな課題です。そこでクラウドストレージを導入する企業が増えています。
クラウドストレージはサービス事業者が管理するサーバーにデータを保存・バックアップし、専用アプリやWebブラウザを通じて、インターネット経由でデータ共有できるサービスです。クラウドストレージを導入すれば、メール・ファイル転送サービス・ファイルサーバーなどが抱える課題の多くを解決できます。
【業界別】データ共有をクラウド化した事例
ファイルサーバー依存のデータ共有は多くの業界にとって悩みの種で、課題解決のためにクラウドストレージを導入し、成功した事例も豊富にあります。ここでは、IT業界や出版・印刷業界など、5種類の業界でデータ共有をクラウド化した事例を紹介します。
IT業界
IT業界はファイルの作成・編集・共有をする機会が非常に多く、ファイルサーバーの運用やデータ活用に慣れています。一方で、ファイルサーバーの運用管理コストの高さが問題視されるケースや、災害発生時のデータ紛失やコラボレーションの難しさが懸念されるケースもあるでしょう。
コロナ禍でファイルサーバーのクラウド化が必要になった経緯もあり、クラウドストレージに移行するIT系企業が増えています。クラウドストレージに移行すれば自社でサーバー施設を持つ必要がありません。サーバーの保守管理はサービス事業者が実施するので、従業員は本来の業務に集中できます。
出版・印刷業界
出版・印刷業界の企業はクライアントや外注業者と頻繁にデータをやり取りするので、何らかのファイル共有の仕組みを構築しています。データ共有に重視されるのは、データをスピーディーにやり取りできることや、旧版・新版のファイルを見比べやすいことなどです。
しかし、メールやファイル転送サービスはメールサーバーの不調やサービス事業者のシステムダウンなどの恐れもあり、バージョン管理機能もありません。
クラウドストレージなら管理不要で24時間365日の安定稼働が期待でき、共有されたファイルはオンラインでスピーディーにプレビューできるので、業務効率化を求めてクラウドストレージを導入する企業が増えています。
建設業界
建設業界の企業は長期間にわたってクライアントとデータをやり取りします。写真・動画・図面データ、3DのCADデータなど、サイズの大きいファイルをやり取りするのが一般的です。
メールでは大容量ファイルが送りにくく、ファイル転送サービスはセキュリティ上の危惧が大きいほか、送受信したファイルの検索・管理の効率が問題になるケースもあります。
クラウドストレージを利用すれば大容量ファイルを期間無制限で保存・共有できる上、バージョン管理もしやすくなるのが利点です。現場でのデータ活用も容易になるので、クラウドストレージは重宝されています。
製造業
製造業の企業は営業部門・生産部門の連携が重要ですが、オフィスと工場が地理的に離れているケースも少なくはありません。各拠点でファイルを管理すると、バージョン管理が難しくなりミスも多くなります。それぞれの拠点でサーバーを管理するコスト面の無駄も懸念点です。
クラウドストレージを利用すれば、各工程で利用するファイルを一元管理できます。各拠点から同じバージョンのファイルを閲覧できることや、ファイルサーバーが不要になることもあって、クラウドストレージへの移行が進んでいる状況です。
教育・保育業界
教育・保育業界では学生や保護者向けに紙資料を作成する機会が多く、紙資料を作成・保存する非効率さが問題になるケースも多くあります。教育の現場では学生がタブレットやPCで学習し、レポート作成や試験も電子化するなどの施策を講じるケースが増えています。
この教育スタイルの変化と好相性なのがクラウドストレージです。学生や保護者は場所や時間を問わずクラウドストレージ上のファイルにアクセスでき、教育機関側に負担をかけることなくデータ共有できます。
【企業編】データ共有をクラウドストレージ「box」に切り替えた事例
クラウドストレージには多くの種類がありますが、業界問わず重宝されるサービスの筆頭は「box」です。企業にフォーカスしてクラウド化が求められた背景と導入効果を知れば、多くの業界でboxが採用される理由を納得できるでしょう。ここでは、boxの導入によってビジネス課題を解決した4つの事例を解説します。
ペーパーレス化による相乗効果
認可保育園を10園運営するA社は、ICTツールを活用して働きやすい職場環境作りを進めています。保育業界は「手書きの良さ」にこだわって紙を使うことが多い中、A社は「分かりやすく伝えること」を重視し、保護者とのやり取りをペーパーレス化することを決めました。
そこで柔軟なアクセス制御ができるboxを導入し、園同士の書類管理や情報共有にも活用し始めます。これによりデータ共有の効率化とナレッジの増加、重複作業の削減といった効果を生みました。boxはシンプルで使いやすく、IT嫌いな職員に浸透しやすかったこともポイントです。
現場で効率的にデータ活用
プラントメンテナンス事業を営むB社では、多くの従業員が現場に出向いて仕事をします。しかしデータはファイルサーバー依存で、現場から必要なデータにアクセスできず、オフィスに仕事を持ち帰らなければならない非効率な状況が続いていました。また、災害時のデータ紛失や事業継続性も不安視していました。
そこでBCP対策もあってboxを導入し、現場で効率的に仕事ができる環境を整えました。B社は3DのCADデータや写真・動画によるストレージ容量不足にも悩んでいましたが、容量無制限の有償版boxを採用することで、容量不足の問題も解決しています。
現場と営業のシームレスな連携
店舗での食品PRや試食PRを得意とするC社は、連日の案件対応でファイルサーバーの容量がパンクし、ストレージの増設を検討しました。しかし、ファイルストレージは調達・運用・管理にコストがかさみ、過去ファイルの整理も困難になるばかりです。
そこで複数のクラウドストレージサービスを比較検討した結果、容量無制限の有償版boxを導入します。決め手となったのは、boxはユーザーごとに詳細なアクセス権限を設定できることです。
導入後はクライアントへの提案にbox内の動画を活用し、試食PRの臨場感を伝えることが可能となりました。boxはインターネット環境さえあれば場所・デバイスを問わずアクセスできるので、店舗内でのPRや営業活動にも重宝しています。
社内コミュニケーション活発化で会議不要に
家事支援サービスを営むD社は、オフィスが全焼するという苦い経験を超えて基幹業務システムをクラウド化し、業務のIT化を進めてきました。しかしデータ共有はファイルサーバー依存なので、ファイル共有の不便さはネックです。
そこで複数のクラウドストレージサービスを比較検討した結果、ファイルサーバーをboxに移行することを決めます。決め手となったのはシンプルな操作性と管理の容易さで、従業員に浸透しやすい点です。
D社はboxの導入によって、場所・時間にかかわらず社内コミュニケーションを活発化させることに成功します。会議の前にはbox上でリアルタイムにファイルを共同編集し、論点を事前共有することで、議題によっては会議開催が不要となりました。
データ共有の課題解決とクラウドストレージ活用ならイッツコム!
クラウドストレージ導入によって多くの業界や企業でビジネス課題を解決した事例があります。しかし、データ共有の課題を解決するならクラウドストレージの導入が効果的ですが、サービスによっては機能やセキュリティ対策が不十分です。
最高水準のセキュリティ基盤を備えた有償版boxなら、クラウドの利点とファイルサーバー以上の機能の両方を享受できる上、安全にデータ共有できます。通信回線や通信経路のセキュリティの課題は、イッツコムのモバイル閉域接続で解決可能です。
boxは業界不問のベストソリューション
法人向けに開発されたboxは、徹底してセキュリティにこだわった設計です。7種類のアクセス権限設定や強力なアクセスログ管理・バージョン管理機能、データの暗号化と分散管理など、運用管理で懸念されるあらゆるセキュリティリスクを最小限に抑えます。
有償版は容量無制限かつ月額定額制である上、インターネット経由で安全なファイル共有ができるので、さまざまなビジネス形態・ニーズに低コストで対応できるのも利点です。シンプルな操作性とファイルサーバー以上の管理機能を兼ね備え、生産性向上や業務効率化に大きく役立ちます。
モバイル閉域接続で場所・デバイスを問わずセキュアにアクセス
データ共有のプラットフォームをboxに移行すると、メールやファイルサーバーが抱える問題をスマートに解決できます。しかし、社外でboxに接続する際の通信回線や、通信経路のセキュリティは懸念点です。
イッツコムの「モバイル閉域接続」は、PC・タブレット・スマホに専用SIMを挿入するだけで、閉域網を経由して社内LANに接続できます。別途通信回線を用意する必要はありません。boxを利用する際も社内LANを経由するので、セキュリティ強化やセキュリティポリシーの標準化に役立ちます。
まとめ
クラウドストレージの台頭により、ファイルサーバーでデータを保存・共有する必要性は薄れつつあります。クラウド化を選択した企業は、実際にファイルサーバー依存の多くの課題を解決しており、クラウドストレージの運用はビジネススタンダードといえる状況です。
イッツコムは有償版boxやモバイル閉域接続の他に、Web会議システム「Zoom」の有償版やSFAツールの「ホットプロファイル」など、多彩なICTソリューションを提供しています。データ共有のクラウド化と、それに伴うICT環境の整備は、複数サービスの組み合わせでICT環境をトータルアップグレードできるイッツコムにご相談ください。