観光マーケティングとは?成功させるポイントや成功事例を紹介
目次
新型コロナ感染拡大の影響で一時期落ち込んだ観光需要ですが、近年は再びニーズが高まってきています。ただし、観光業界は競争も激化しているため、より効果的なマーケティング活動を行い、集客することが重要なポイントとされています。
そこでこの記事では、観光マーケティングの基礎知識と、具体的な施策、成功させるためのポイントについて解説します。実際に観光マーケティングを実施し、成功した事例も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
観光マーケティングとは?
観光マーケティングは、全国の観光地や観光スポットで行われているマーケティング手法のことです。インターネットの普及に伴い、情報の発信・取得が容易になった今、いかに効果的な観光マーケティングを行えるかが集客や売上を左右する重要なポイントとなっています。ここでは、観光マーケティングの基礎知識と重要性についてまとめました。
観光マーケティングとは観光客を誘致する取り組み
観光マーケティングとは、地元を初めて訪れる観光客はもちろん、繰り返し訪れる人(リピーター)や、地域のファンを増やすために行う取り組み全般のことです。
近年は新型コロナウイルス感染拡大による観光・旅行ニーズの減少や、人々の価値観・旅行スタイルの多様化などにより、従来のような受け身型のマーケティングでは観光客を誘致できない状態に陥っています。効果的な集客を実現するには、観光マーケティングによって自社・自店のターゲット層にピンポイントでアプローチし、観光客を効率良く誘致することが大切です。
観光マーケティングの重要性
新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少した観光需要は徐々に回復傾向にありますが、感染拡大前と後では、観光ニーズに大きな変化が見られます。具体的には、以前よりも安全性が重視されている、コンパクトで無駄のない旅行計画を立てる、自然体験への需要増などです。
このような観光ニーズに応えるためには、地元や自社、自店の強み・魅力を洗い出した上で、ターゲット層に対する効果的なアプローチ方法を検討しなければなりません。多様化する観光ニーズに対応するためにも、観光マーケティングに注力することが重要です。
観光マーケティングにおける具体的な施策
観光マーケティングの施策は、大きく分けてWeb広告の活用、観光DXの推進、口コミの収集・分析の3つに分類されます。ここでは観光マーケティングの具体的な施策について説明します。
Web広告の活用
インターネットが広く普及した現代において、WebサイトやSNS、Googleマップなどに掲載するWeb広告の活用は、観光マーケティングに必要不可欠です。Web広告は、地元や自社の商品・サービスに関連するキーワード検索を行ったときの検索結果や、ユーザーの年齢・性別・居住地・SNS上の行動などのデータが登録されたSNS上などに表示される仕組みになっているため、より高精度なターゲティングを行えるところが特徴です。
Web広告の具体的な活用方法としては、特定のWeb広告サービスに掲載を依頼する、Googleマップに店舗の情報を登録するなどの方法があります。
観光DXの推進
従来の観光マーケティングはパンフレットやチラシの配布、ポスターの掲示、テレビCMの放映などが主流でしたが、近年はインターネットやデジタルツールを活用した観光DX化が進んでいます。
例えば、観光客の行動データを収集・集計し、分析データに基づいて顧客ニーズを的確に把握すれば、パーソナライズされたおもてなしを実現できます。また、IT技術を駆使したバーチャルツアーで地元の魅力を疑似体験してもらったり、多言語対応のデジタルサイネージで観光スポットやグルメスポットを案内したりすれば、旅行客の購買・観光意欲を効果的に高めることが可能です。
口コミの収集・分析
SNSや口コミサイトには、実際に地元を訪れたり、店を利用したりした人の体験談が数多く投稿されています。これらの口コミを収集・分析すれば、観光客がどこに魅力を感じたのか、あるいはどのような点に不満を覚えたのか、などの情報を把握でき、強みや課題の洗い出しに役立ちます。得られた情報を基に、サービスやアプローチ方法に改善を加えれば、より効率的な集客および顧客満足度向上につながるでしょう。
観光マーケティングを成功させるためのポイント
観光マーケティングを成功させるには、目標やターゲットの明確化、市場分析の実施などさまざまなポイントを押さえる必要があります。ここでは観光マーケティングを成功に導くための5つのポイントをまとめました。
目標を明確化する
観光マーケティングの施策を決める際は、目標を明確化しておくことが大切です。目標が定まっていないと、どのような施策を行うべきかも曖昧になり、観光マーケティングの効果が十分に得られなくなる可能性があります。
なお、目標は達成率がわかるよう、定量化できるものを設定するのがポイントです。例えば、集客率を前年比より◯%上げる、売上を◯万円増やすなど、達成可能な現実的な目標を設定し、徐々にステップアップさせていくと良いでしょう。また、目標の達成が難しい場合は施策の見直しを行うなど、適切に軌道修正することが大切です。
市場の分析を実施する
観光マーケティングを成功させるには、市場分析を実施し、観光客からどのような体験を求められているのか、どういった観光資源を提供できるのか、などの情報を正確に把握する必要があります。
市場分析には、その地域を取り巻く社会情勢や各種動向を把握するための外部環境分析と、顧客や商品・サービスなどから観光資源のポテンシャルを把握する内部環境分析の2種類があります。具体的な分析方法として、自社の強みや弱み、追い風となる要因(機会)、向かい風の要因(脅威)を掘り下げられるSOWT分析や、企業の外部環境を分析し、自社に与える影響を把握するPEST分析などがあります。
ターゲットを明確にする
観光地や店に何を求めるかはターゲットによって異なるため、前述した市場分析の結果を基に、アプローチすべきターゲット層を明確化しましょう。例えば、Web広告から収集したデータを基に、どのような年齢・性別・国籍の人が興味・関心を持ってくれているのかを明確化すれば、自然とアプローチすべきターゲット層が見えてきます。
ターゲット層がある程度定まったら、年齢・性別・地域(国籍)・ライフスタイル・趣味や嗜好などの情報を設定したペルソナを作成し、より具体的にニーズを深掘りしていきます。ペルソナを設定すると、社内におけるターゲット認識が統一化されるため、必要なサービスやアプローチ方法をイメージしやすくなるでしょう。
7つのPを設定する
観光マーケティングでは、以下7つのPを設定することが重要とされています。
Product | ターゲットの明確化・設定 |
Price | 商品・サービスに見合った料金の設定 |
Place | 販売チャネルの選択・拡大 |
Promotion | 商品やサービスを魅力的に見せる情報の発信 |
People(Personnel) | 観光人材の育成・確保 |
Process | 業務・販売プロセスの策定 |
Partnership | 自治体や観光事業者、地元住民との連携 |
7つのPを適切に設定し、活用できれば、観光マーケティングの効果を高められるといわれています。
マーケティング施策を実施する
上記4つのポイントを基に立案したマーケティング施策を実行します。ただし、いくら入念な準備を行ったとしても理想的な結果を得られるとは限らないため、マーケティングを実施した後は定期的に成果をチェックし、必要に応じて改善や見直しを行うことが大切です。
具体的には、「PDCAサイクル」をスムーズかつ継続して回していくことになります。PDCAサイクルの流れは、以下の通りです。
1.施策の計画を立てる(Plan)
2.計画に基づいて施策を実行(Do)
3.施策の有効性を評価・分析(Check)
4.計画の改善を実施(Action)
観光マーケティングの成功事例
観光マーケティングを取り入れて、集客や誘致に成功した例は複数あります。ここでは主な事例を4つの地域からピックアップしてご紹介します。
横浜中華街
横浜中華街は、料理から雑貨、土産店などさまざまな店舗が約630店もある日本最大の中華街ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって観光客が激減しました。
そこで、横浜中華街にある店や企業が加盟する横浜中華街発展会協同組合は、人流分析プラットフォームLAPを導入し、観光客の行動を可視化する施策を実施。中華街を訪れた人の属性や訪問時刻、滞在時間、街内の通行量などをデータとして収集・分析することで、特定のターゲットに合わせた施策を企画したり、開催したイベントの効果を評価したりする取り組みを実現しました。その結果、よりユーザーフレンドリーな街づくりに成功しています。
熊本県人吉球磨地域
宮崎県と鹿児島県に隣接する熊本県人吉球磨地域は、一級河川である球磨川の川下りや、国宝に指定されている青井阿蘇神社、日本百名城に選ばれている人吉城跡など複数の観光スポットがあることで知られています。
さらに近年では、自然体験に注目が集まっている現状を踏まえ、新たな観光の目玉として食に重点を置いた農泊を推進。地元の農産物を使った郷土料理を農家レストランで提供したり、簡易宿所の営業許可を得た農家民宿で個人旅行者の受け入れを行ったりと、現代の観光ニーズを満たすサービスの提供に力を入れています。その結果、農山漁村に興味を持つ人が増えた、地産地消による地域経済の活性化につながった、などの効果が上がっています。
長野県松本市
長野県松本市では、市の産業の大きな柱である観光の目指す姿を設定した「松本市観光ビジョン」を策定しました。
あらかじめ松本市の観光の現状を、観光入込客数やリピーター率、外国人宿泊者数などのデータで把握した上で、市役所職員向けと地域事業者向けのワークショップを開催。松本市内の観光資源の洗い出しや観光課題の整理を実施しました。その結果、市内全体での連携強化の必要性や、観光産業の担い手不足、冬季期間の観光需要の落ち込みなどの課題が明確になり、それぞれの問題を解決するための施策の立案に成功しました。
岐阜県下呂温泉
日本三大温泉の1つに数えられる岐阜県の下呂温泉ですが、東日本大震災の影響により、一時期宿泊者が激減した時期がありました。その際、下呂温泉全体の取り組みとして採用されたのがDX化の推進です。
行政・民間・地域社会が一体となって、デジタルを活用したデータ収集・分析を実行。AIを使った自動応答サービスの導入や、着地型体験プログラムの開発およびWeb予約システムの構築、電子クーポンの活用などの施策によって収集したデータを基に、さまざまなマーケティング施策やプロモーション施策を立案しました。
これらの施策は顧客満足度を固めると同時に、効率的なデータ収集も実現しており、新しい価値を創出する画期的な取り組みとして評価されています。
観光客の増加を目指すならイッツコムへ!
イッツコムでは、観光マーケティングに役立つ各種サービスの提供を行っています。ここでは外国人観光客の接客対応に役立つ「ポケトーク」と、地域の魅力発信に活用できる「デジタルサイネージ」の特徴を紹介します。
外国人観光客との会話をサポートする「ポケトーク」
ポケトークは、手のひらに収まるコンパクトボディでありながら、85の言語の翻訳に対応している高機能のAI翻訳機です。国旗をタップするだけで各国で使われている言語に切り替えられるため、「相手が何語を話しているのかわからない」という場合に便利です。翻訳結果は音声で出力できる他、カメラ機能を使えばテキストの翻訳も可能で、さまざまなシーンで活用できます。
よく使うフレーズの登録機能や、翻訳した会話のログ機能なども付帯されているため、接客内容の見直しやスタッフの語学学習などにも利用できるところが特徴です。
地域の魅力を発信できる「デジタルサイネージ」
イッツコムのクラウド型デジタルサイネージは、遠隔で配信できる素材(画像や動画)を変更できる便利なデジタルツールです。店舗の規模や用途に応じたさまざまなサイズのディスプレイに、好みの映像やテキスト、音声を流すことができるため、地元の観光スポットやグルメスポットの情報を魅力的に伝えられます。
小型サイネージなら店舗の陳列棚の脇などに設置できるため、商品・サービスの説明時に使用するのもおすすめです。また、万が一のトラブル発生時や、導入時の初期設定で困ったときなどは、専門オペレーターのサポートを受けられます。
まとめ
観光マーケティングは、その地域のターゲット層に対して適切なアプローチを行い、集客・誘致を目指すために必要な手段です。目標やターゲット層を明確化し、市場分析をしっかり実施した上で観光マーケティングを行えば、国内外の観光客を効率よく呼び込めるでしょう。
イッツコムでは、外国人観光客の接客をサポートする「ポケトーク」や、地域や商品・サービスの魅力を発信する「デジタルサイネージ」など、観光マーケティングに活用できるサービスを各種提供しています。観光マーケティングの一環としてDX化を推進したいとお考えの方は、ぜひイッツコムのサービスのご利用をご検討ください。