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入退室管理システムの自作方法は?市販システム利用との比較も徹底解説

入退室管理システムは、オフィスを出入りするユーザーの管理に加えて、施設や空きスペースの効率的な運用や無人化にも活用できます。用途によって必要な要件は異なりますが、自作で対応できるケースもあります。

この記事では、入退室管理システムを自作する具体的な方法と、市販システムを利用する場合とのメリット・デメリットを解説します。スマートロック連携や遠隔管理など、要件に応じて適切な導入方法を検討しましょう。

入退室管理システムは自作もできる

入退室管理システムは、一般的には市販システムの中から要件に合うものを選んで利用します。ただし、自社でSE・プログラマー・インフラエンジニアなどが在籍し、開発体制を備えている場合は、自社リソースのみで設計から運用まで行うことも可能です。

実装方法は多岐にわたります。十分な技術力と資金があれば、スマートロックとの連携やスマホ解錠など、高度な仕組みを取り入れることもできます。

一方で、全てを自社リソースで完結させるため、市販システムを導入する場合と比べると、さまざまな課題が発生しやすい点には注意が必要です。

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入退室管理システムの具体的な自作方法

入退室管理システムをゼロから自社開発する場合、エンジニアの技術力や開発資金などの条件によって、実装できるシステムのクオリティや複雑さは変わります。ここでは、リソースの限られる組織でも取り組める自作方法を3種類紹介します。

PythonやLINE Messaging APIを活用したシステム開発

簡易的なシステムであれば、比較的安価かつ容易に実装可能です。例えば、社員証などのICカードと連動する入退室管理システムを作りたい場合は、Raspberry Piのような小型PCとICカードリーダーを用意し、Pythonで入退室履歴を記録・共有するプログラムを作成します。

履歴はPC内のCSVやExcelファイルに直接書き込めます。複数言語に対応できるエンジニアがいれば、SQLiteやMySQLを利用してデータベースを構築することも可能です。

さらに、遠隔で入退室状況を確認したい場合は、WebhookやLINE Messaging APIを利用してSlackやLINEなど外部アプリへ通知を送信できます。

GASやGoogleスプレッドシートを活用したシステム開発

JavaScriptをベースとする「Google Apps Script(GAS)」を使えば、比較的簡単にWebアプリを作成・公開でき、Googleスプレッドシートを活用した入退室管理システムも自作可能です。

例えば、従業員ごとのQRコードをタブレット端末で読み取り、登録済みメールアドレスへ自動通知する仕組みを構築できます。ドア付近にカメラ付きタブレットを設置し、GASで作成したWebアプリを起動させておきます。従業員情報をスプレッドシートに登録してQRコードを配布しておけば、端末にかざすだけで入退室通知メールが送信される流れです。

Excelで入退室管理表を作成

最もシンプルな方法は、Excelで入退室管理表を作成し、履歴を手入力する形です。プログラムによる自動化は伴わないため、従業員向けとしては利便性に限界がありますが、来客管理などでは必要となる場合があります。

Webで公開されている無料テンプレートを活用することもできます。入力の効率化には「データの入力規則」などの機能を使う程度で、導入や運用にエンジニアの専門知識は不要です。

自作と市販システムのメリット・デメリットを比較

入退室管理システムを自作する場合には自由度の高さがある一方、市販システムと比較すると運用面での課題も多くなります。

ここでは、導入や運用の負担、カスタマイズ性、メンテナンス、セキュリティなどの観点から、自作と市販それぞれのメリット・デメリットを解説します。

システム導入にかかる期間や費用

導入スピードでは市販システムが優れます。費用面では市販の方が高く見えますが、自作は人件費を含めると結果的にコストが膨らむことがあります。

【自作する場合】
ICカードリーダーと連携し、履歴を抽出するだけのシンプルなプログラムであれば比較的容易に開発可能です。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持たない簡単な仕組みなら、開発環境の整備費用も抑えられます。

ただし、要件定義から実装・テストまで全て自社で行うため、時間がかかります。人件費を含めれば高コストになる場合も少なくありません。サブスクリプションのような継続課金は発生しないものの、開発期間と人材コストは大きな負担になります。

【市販システム利用の場合】
市販システムは利用料を支払うだけで、洗練されたGUIを持つ多機能プログラムを利用できます。初期費用がかかる場合もありますが、料金体系は明確です。クラウド型ならオンライン契約後すぐに利用開始でき、導入支援サービスも充実しています。長期的な人材投入が不要で、想定外のコストも発生しにくいのが利点です。

カスタマイズの自由度

カスタマイズの柔軟性は自作が優位ですが、対応できる範囲は社内リソースに依存します。

【自作する場合】
自作ならカスタマイズに制限はありません。スマホ認証やスマートロック連携、予約・決済システムとの統合など、ニーズに応じた仕組みを自由に加えることができます。

ただし、機能を増やすほどプログラムは複雑化し、改修や全体調整の難易度も高まります。洗練されたシステムに成長させられるかどうかは、エンジニアの知識やスキルに大きく左右されます。本来業務を圧迫するうえ、継続的な開発資金の投入も必要です。

【市販システム利用の場合】
市販システムはパッケージ化されているため、大幅なカスタマイズは困難です。ただし、基本機能は揃っており、オプション追加やアップデートで多くのニーズに対応できます。ベンダーによっては要望に応じて機能追加や個別対応を行う場合もあります。

メンテナンスの負担

入退室管理システムの運用中には、プログラム不具合やシステム連携の不備など、さまざまなトラブルが想定されます。メンテナンス負担の面では市販システムが有利です。

【自作する場合】
自作システムは利用開始後に不具合が発生する可能性があります。例えば「認証が通らない」「履歴がデータベースに反映されない」といった問題が起きれば、社内SEが全て解決しなければなりません。コア業務と並行して対応するため後手に回り、システム停止が長期化するリスクもあります。

【市販システム利用の場合】
市販システムでは、ソフト・ハード両面のメンテナンスやアップデートをベンダーが実施します。トラブル時はサポート窓口を通じて助言が受けられ、社外の専門スタッフが解決まで対応してくれます。

セキュリティ対策

入退室管理は個人情報を扱うため、セキュリティ対策が必須です。IPAが公表している「入退管理システムにおける情報セキュリティ対策要件チェックリスト」に沿った設計・運用を満たせるかどうかも重要です。

【自作する場合】
自社でリスク要因を洗い出し、必要なセキュリティ機能を実装し、不審挙動を監視する必要があります。安全な運用を継続できるかは、担当者の知識や経験に依存します。

【市販システム利用の場合】
サービスによって機能は異なりますが、利用するだけで多要素認証など高度な仕組みを導入できます。監視カメラや各種センサーとの連携も容易で、厳格なセキュリティが求められる環境にも対応可能です。

【結論】入退室管理は市販システムの利用がおすすめ

入退室管理システムの自作が適しているのは、ごく簡単な仕組みで要件を満たせる場合に限られます。既にニーズに合うシステムを外部ベンダーが提供しているなら、サービス利用を検討するのが現実的です。

クラウド型のサービスなら比較的安価な月額料金で利用でき、開発や運用保守のコストを抑えながらセキュリティ対策の不安も解消できます。特にスマートロック解錠や決済システムと連携したい場合には、1つのシステムで一元管理しやすいクラウド型が有効です。

さらに、ベンダーによっては法人ユーザーへの併走支援を行い、個別の要件に応じた運用提案や機能カスタマイズにも対応してくれます。

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スマートロックやスマホ認証に対応した入退室管理システムは利便性が高く、ゲスト利用の多いコワーキングスペースでも重宝します。ただし、施設予約やキー管理システムと連携する際には、一般的なサービスでは複数のアプリやデバイスを使い分けなければならない場合があります。

よりシンプルに運用したいなら、LINEアプリだけで予約・決済・解錠まで完結できる「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」がおすすめです。ユーザーは施設のLINE公式アカウントを友だち登録するだけで予約でき、予約日時のみLINEからスマートロックを解錠できます。

事業者側は、クレジットカード決済(Stripe)による料金授受や監視カメラとの連携による遠隔監視が可能です。売上や予約状況、ライブ映像は専用ダッシュボードで一覧でき、清掃などの管理業務も同じシステム上で完結します。

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シェアオフィスや民泊に導入するスマートロック連携型の入退室管理システムには、会員別設定やゲストの連泊に対応できる機能が求められます。

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さらに、IPカメラ・センサー・家電コントローラーと連携でき、鍵と連動した動画撮影や空調管理も行えます。

API連携にも対応しているため、既存システムに組み込んで利用可能です。PMS(ホテル管理システム)と連携すれば、予約から時限キー配布までを自動化できます。無人運営でも高いセキュリティを確保しながら、効率的な施設管理を実現できます。

まとめ

入退室管理システムはPythonやGASを活用して自作することも可能ですが、自社リソースだけで要件を満たすシステムを開発・運用できるかどうかは慎重な判断が必要です。

施設運用に活用する場合は、スマートロック連携や遠隔管理に対応し、セキュリティと利便性を両立できる仕組みが求められます。さらに予約や決済などの周辺機能もシームレスに使える、法人向けシステムの利用を視野に入れるとよいでしょう。

入退室管理システムの導入を検討される際は、運用ニーズに合わせて最適なシステムを提案できるイッツコムへご相談ください。