1. コラム
  2. コラム
  3. 生成AIの種類と特徴|代表的なサービスや活用例について解説

生成AIの種類と特徴|代表的なサービスや活用例について解説

生成AI(Generative AI)は、文章や画像、音声、動画など、まるで人間が作ったような新しいコンテンツを自動で生み出す技術です。ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルの進化により、ビジネスから教育、クリエイティブ制作まで幅広い分野で活用が広がっています。

この記事では、生成AIの仕組みや従来AIとの違い、代表的なサービスと活用シーンについて解説します。生成AIを自社業務に導入したい方や、基礎知識を整理したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

生成AIとは

生成AIは、既存のデータを学習した上で、新しい文章・画像・音声などを自動的に生成する人工知能の総称です。人間が書いたような自然な文章を作ったり、本物そっくりの画像を生成したり、音楽や動画まで作り出せるため、クリエイティブ領域だけでなく、ビジネスの自動化やアイデア出しにも活用されています。

ここでは、生成AIとは何か、従来AIとの違いも踏まえて解説します。

生成AIの仕組み

生成AIは、膨大なデータを読み込み、そこから特徴やパターンを学習します。その上で、ユーザーが与えたプロンプト(指示文)を解析し、「指示に最もふさわしい内容は何か」を確率的に判断しながら、新しい文章や画像などを生成します。

膨大な情報を統計的に処理し、自然なアウトプットを導き出す仕組みによって、柔軟にさまざまな分野へ活用できる点が特徴です。

従来AIとの違い

従来AIと生成AIの大きな違いは、「新しいコンテンツを生み出せるかどうか」です。従来AIは、既存データを基に分類・予測・識別といった判断を行うことが中心で、スパムメール判定や需要予測、顔認証などがその典型例です。

これに対し生成AIは、学習したデータを踏まえて新しい文章や画像を創造できる点で、大きな進化を遂げています。

【関連記事:生成AIとは?簡単に理解できる基本概要と実務で役立つ活用方法

生成AIの種類・活用例と代表的なサービス

以下は、主要な生成AIを種類別に整理した一覧です。生成AIは目的によって役割が大きく変わるため、どのような課題に向いているのかを把握しておくことが大切です。

種類主な特徴
会話生成AI人間のように自然な対話が可能。質問回答、文章作成、企画支援など幅広く対応
要約AI長文の要点整理に特化。議事録、講義内容、記事などを短時間で要約
記事生成AISEO記事、広告文、メール文など、文章生成に役立つ
画像生成AIテキストから写真・イラスト・アートを生成
動画生成AIテキストから映像を自動生成
音楽生成AIジャンル指定で楽曲を自動作成
コード生成AIプログラムコードの生成や補完を行い、開発を効率化
その他の生成AI3Dモデル、スライド、資料構成など特定用途向け

ここでは、生成AIの種類や活用例、代表的なサービスを紹介します。

会話生成AI

会話生成AIは、人間と自然な対話ができるよう設計された生成AIで、質問への回答だけでなく、アイデア出し、文章作成、調査補助など幅広い用途に対応します。大規模言語モデル(LLM)を基盤としており、膨大なテキストデータを学習しているため、多様な話題に柔軟に応じられる点が強みです。

企業では、顧客対応の自動化、社内ヘルプデスク、マニュアル整備、議事録作成などに活用され、生産性向上に大きく寄与しています。また、利用者のプロンプトに応じて柔軟に回答を生成できるため、専門知識がなくても高度なアウトプットを作成できる点も魅力です。

代表的なサービスには、以下が挙げられます。

  • ChatGPT(OpenAI)
  • Google Gemini(Google)
  • Claude(Anthropic)
  • Perplexity AI(Perplexity)
  • Microsoft Copilot(Microsoft)

要約AI

要約AIは、長い文章や会議の音声データを読み取り、重要なポイントを抽出して短くまとめることに特化した生成AIです。文章生成AIと似ていますが、「文章を要約する」という目的に最適化されている点が特徴です。

特にビジネス現場では、議事録作成、記事やレポートの要点把握、営業資料の整理など、情報を素早く理解する必要がある場面で活用が進んでいます。学生や研究者にとっても、論文や参考資料の内容を効率よく把握できるため、学習効率を高めるツールとして重宝されています。

代表的なサービスには、以下があります。

  • Notta(Notta)
  • Otter.ai(Otter.ai)
  • Upword(Upword)
  • Notebook LM(Google)

記事生成AI

記事生成AIは、ブログ記事、広告文、SNS投稿、メール文章、セールスコピーなど、幅広い文章を自動で生成できるAIです。マーケティングやコンテンツ制作の分野で特に利用が広がっており、企画段階のアイデア出しから実際のライティング、校正・修正までを一貫してサポートできます。

最大の魅力は、一定の品質を保ちながら大量の文章を短時間で生成できる点にあり、コンテンツ制作のスピードを大きく向上させます。さらに、トーンや文体を調整できる機能を備えたサービスも多く、ブランドに合わせた文章表現も容易です。

代表的なサービスには以下があります。

  • Jasper(Jasper AI)
  • Copy.ai(Copy.ai)
  • Writesonic(Samanyou Garg)
  • ChatGPT(OpenAI)
  • Claude(Anthropic)

画像生成AI

画像生成AIは、テキストによる指示を基に、写真、イラスト、アート画像などを自動生成できる技術です。従来はデザイナーの専門技術が必要だった作業を、文章だけで誰でも手軽に実行できるようになった点が大きな変化です。

広告用バナー、SNS用ビジュアル、商品イメージ案、漫画風のイラストなど、幅広いジャンルの画像を短時間で大量に生成できます。プロンプトの工夫次第で写実的な写真から抽象的なアートまで幅広く表現できる点も人気を集める理由です。

代表的なサービスには、以下があります。

  • DALL·E 3(OpenAI)
  • Midjourney(Midjourney)
  • Adobe Firefly(Adobe)
  • Canva(Canva)

動画生成AI

動画生成AIは、テキストで説明した内容を基に、高品質な動画を自動生成できる最新のAI技術です。従来は多くの工程が必要だった動画制作を、企画・撮影・編集なしで数分で完了できる点が大きな利点です。

既存動画の編集、スタイル変換、特定モーションの追加などに対応するサービスも多く、プロのクリエイターが映像制作の一部に取り入れるケースも増えています。企業では、プロモーション動画、商品紹介ムービー、研修用ビデオなど多様な用途で活用されています。

代表的なサービスには以下があります。

  • Sora(OpenAI)
  • Runway Gen-3(Runway AI)
  • Pika Labs(Pika Labs)
  • Synthesia(Synthesia)

音楽生成AI

音楽生成AIは、ジャンル、雰囲気、テンポなどを指定するだけでオリジナル楽曲を自動生成できる技術です。作曲家でなくても企画用のBGMやSNS動画の効果音、ゲーム音楽のアイデアを瞬時に作れるため、クリエイティブ制作の幅を大きく広げています。

ループ音源、メロディライン、歌入り楽曲など生成できる種類も拡大しており、個人クリエイターからプロの制作現場まで利用が広がっています。音楽理論や演奏力といった専門スキルが必要だった領域を、誰でも扱えるようにした点が大きな特徴です。

代表的なサービスには、以下があります。

  • Suno(Suno)
  • Udio(Uncharted Labs)
  • Mubert(Mubert)
  • Soundful(Soundful)

コード生成AI

コード生成AIは、プログラミング作業を効率化するためのAIで、コードの自動生成、補完、最適化、デバッグ提案まで行えます。定型作業の削減、品質向上、開発スピードの大幅な向上が期待でき、エンジニア不足が続く現代では特に重要な技術といえます。

開発者が「どう書くか」という作業から解放され、「何を解決するか」という本質的な設計やアルゴリズムの検討に集中できることも大きな利点です。初心者にとっては学習を助けるツールとして、上級者にとっては生産性を高める相棒として、今後も利用範囲が広がるでしょう。

代表的なサービスには、以下があります。

  • GitHub Copilot(GitHub / OpenAI)
  • Amazon CodeWhisperer(Amazon)
  • Tabnine(Tabnine)
  • Replit Ghostwriter(Replit)
  • AI Programmer(アズリアル / HashLab)

その他の生成AI

生成AIの応用は会話、画像、動画、音楽にとどまらず、特定業務に特化した幅広い領域へと広がっています。資料作成、3Dモデル生成、デザイン構成、クリエイティブ制作など、専門作業を自動化するツールも多数登場しています。

例えば、スライド資料特化型の生成AIでは、プレゼンテーションのテーマや構成を入力するだけで、デザイン性の高いレイアウトや適切な画像、グラフを自動で配置し、瞬時に資料を作成できます。3D生成分野では、写真や動画からリアルな3Dモデルを作成でき、ゲーム開発やXR領域などさまざまな業界で活用されています。

代表的なサービスには、以下があります。

  • Luma AI(Luma Labs):3D生成
  • Tome(Magical Tome):スライド生成
  • Beautiful.ai(Beautiful.ai)
  • Runway StyleFrame(Runway AI):映像構成

【関連記事:生成AIの活用事例7選!生産性向上などビジネス課題解決のヒント

生成AIの利用における注意点

生成AIは便利な技術ですが、万能ではありません。精度の高いコンテンツを瞬時に生成できる一方で、誤った情報を出力したり、著作権の問題を引き起こしたり、入力した情報が外部に漏れてしまうリスクも指摘されています。

ここでは、生成AIを利用する際に押さえておきたい注意点を紹介します。

ハルシネーションを起こす

生成AIは高度な言語処理能力を備えていますが、常に正しい情報を返すわけではありません。モデルは膨大なデータから「それらしく見える答え」を推測して出力する仕組みであり、この推測が誤ると事実とは異なる内容を提示してしまいます。これが「ハルシネーション」と呼ばれる現象です。

特に専門性の高い分野では、実在しない法律、学説、論文、統計データなどを生成してしまうこともあります。そのため、AIの回答は一次情報や信頼性の高い資料で必ず検証し、必要に応じて専門家がレビューする体制を整えておくことが重要です。

著作権・知的財産権に抵触する可能性がある

生成AIが作り出す文章、画像、音楽、動画などは一見オリジナルに見えることがあります。しかし、学習データとして扱われた既存作品の特徴が反映され、結果として特定の著作物に酷似した内容が生成されるケースもあります。

また、サービスごとに「生成物の権利の所在」や「商用利用の可否」などの規約が異なるため、用途によっては著作権侵害に発展する可能性もあります。企業が利用する際には、利用規約を確認し、生成物の権利範囲や利用条件を正確に把握することが不可欠です。

情報漏えいのリスクがある

生成AIに入力した情報は、サービス提供会社のサーバに送信され処理されます。そのため、企業秘密や顧客情報、個人情報など機密性の高い内容を入力すると、意図せず第三者に情報が知られるリスクがあります。

これを防ぐには、「入力してよい情報と禁止すべき情報」を明確にした社内ガイドラインを作成することが重要です。さらに、「学習に利用しない設定が可能か」「オンプレミスや閉域環境で使えるか」など、利用するAIのセキュリティ仕様を事前に確認しておく必要があります。

生成AIが悪用された事例もある

生成AIの発展に伴い、フィッシング詐欺やフェイクニュースの大量生成、なりすまし音声・映像の作成など、悪用事例も増加しています。高品質な文章を自動生成できることから、本物と見分けがつかない詐欺メールが大量に作られてしまうケースが代表例です。

さらに、ディープフェイク技術を使って著名人や企業関係者の顔や声を模倣し、偽の声明や発言を拡散させる事例も少なくありません。安全にAIを活用するためには、こうしたリスクを理解した上で、情報リテラシーの向上、生成物の真偽確認、セキュリティ対策の徹底が重要です。

企業が生成AIを有効活用するためのポイント

生成AIは、業務効率化から新規サービス開発まで幅広い領域で活用が進んでいます。しかし、導入して成果を上げるためには、単にツールを使い始めるだけでは不十分です。企業の文化や業務プロセスに合わせてルールや体制を整備し、従業員が適切に扱えるように支援することが欠かせません。

また、生成AIは強力な一方でリスクも内包しているため、ガバナンスや情報管理の観点からも整備が必要です。ここでは、企業が生成AIを効果的かつ安全に活用するために押さえておきたいポイントを解説します。

運用ルールを事前に決める

生成AIを企業で利用する際は、まず「どこまでをAIに任せてもよいか」「どのようなデータを入力してよいか」といった運用ルールを明確にすることが重要です。特に入力情報については、個人情報や機密情報を含むかどうかを厳密に判断する必要があります。

また、生成AIによって作成された内容には誤情報や倫理的に問題となる表現が含まれる可能性があるため、人間が最終確認するプロセスを定義しておくことも欠かせません。さらに、生成AIの使用目的を「社内資料の草案作成」「リサーチの補助」「コード補完」など具体的に定義しておけば、従業員が迷わず利用できます。

従業員のリテラシーを高める

生成AIを全社的に活用するには、従業員1人1人が基本的なAIリテラシーを身につけることが重要です。AIの仕組みや「できること、できないこと」を理解していなければ、過度な期待や誤った使い方が発生し、品質の低下やリスク発生につながります。

そのため、研修や勉強会を定期的に行い、プロンプトの書き方、情報の真偽チェック方法、著作権や情報セキュリティに関する基礎知識を学べる環境を整えることが必要です。また、AIの利用事例を社内で共有し、成功例や失敗例を蓄積していくことで全社的なナレッジが生まれ、より高いレベルで生成AIを活用できるようになります。

生成AIを活用するために必要な人材とは

生成AIを事業に取り入れて成果を上げるためには、適切な人材の確保が不可欠です。AI技術を深く理解しシステムを構築できる技術者だけでなく、ビジネスの目的に合わせてAIを設計し、運用をマネジメントできる人材も求められます。

また、生成AIの出力を適切に評価し使いこなすスキルを持つ担当者も必要です。ここでは、生成AI活用の活用をリードする職種と、必要となるスキルについて解説します。

具体的な職種

生成AIの活用をリードするためには、主に以下のような専門職種が必要とされます。

  • AIエンジニア、データサイエンティスト:AIモデルの構築、運用、チューニング、データ分析、アルゴリズムの改善などを担当し、技術面からAI活用を支える
  • プロンプトエンジニア:生成AIの出力精度を高めるための指示設計を行い、業務効率向上に直結する役割を果たす
  • AIプロダクトマネージャー:技術と事業をつなぐ架け橋として、AIを利用したサービスや業務改善施策を企画し、実装を推進する

必要なスキル

生成AIの活用には、専門的な技術力だけでなく、幅広いスキルが求められます。まず重要なのが「パーソナルスキル」です。パーソナルスキルとは、リーダーシップやコミュニケーション能力、批判的思考などを指し、AIの出力を評価し、改善策を考える際に不可欠です。

さらに、「ビジネススキル」として課題設定力やプロジェクト推進力も重要です。生成AIは万能ではないため、どの業務に適用すべきかを見極める力が求められます。

また、「デザインスキル」も欠かせず、ユーザー体験や業務プロセス全体を俯瞰し、AIをどのように組み込むと価値が最大化されるかを考える能力が求められます。

AIに関連する他のトピックが気になる方はこちら!イッツコムが詳しく解説

生成AIには多様な種類があり、業務効率化やクリエイティブ制作など、幅広いビジネスシーンで活用が進んでいます。もし「もっとAI活用の全体像を知りたい」「クラウド環境でのAI利用について理解を深めたい」「自社でどのようにAIを取り入れればいいのかヒントを得たい」と感じた方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。

「クラウドAIとは?メリットや導入時の注意点を知り業務に生かす」では、クラウドAIとは何か、エッジAIとの違いや導入メリットについて解説しています。

【関連記事:クラウドAIとは?メリットや導入時の注意点を知り業務に生かす

「多様なビジネス領域のAI活用事例21選!自社の成長につなげるヒント」では、6種のビジネス領域におけるAI活用事例や、ユニークな活用例をまとめて紹介しています。

【関連記事:多様なビジネス領域のAI活用事例21選!自社の成長につなげるヒント

まとめ

生成AIは、テキスト、画像、動画、音楽、コードといった多岐にわたるメディアを、人間の指示に基づいて自動で生み出す技術です。高い生産性向上や創造性の支援に大きく貢献する一方で、誤情報の生成、著作権問題、情報漏えいなどのリスクも存在します。そのため、正しい理解とルール整備、社内のリテラシー向上が不可欠です。

企業が生成AIを活用する際は、技術的な側面だけでなく、ビジネス目線での活用方法や体制作りを重視することで、より大きな効果を得られます。適切なガバナンスとリテラシーの基で生成AIを活用し、業務の効率化や新たな価値創造につなげていきましょう。